質の良い睡眠には障壁がいっぱい
厚生労働省による平成30年度健康実態調査によると、実に80%以上の人が睡眠に関して何らかの悩みを持っていることがわかっています。誰もがぐっすり眠りたいと望みながらも「睡眠」はなぜ、こんなに難しいことなのでしょうか。
平成30年度健康実態調査
■睡眠はコントロールできない
質のよい睡眠には次の2つの条件があります。
・副交感神経(リラックスの神経)を優位にする
・メラトニン(睡眠物質)を分泌させる
もし、この二つを自らの意思で操作することができれば、努力や意識だけで睡眠をコントロールできたはずです。しかし、①は自律神経、②はホルモンが司っており、心臓を動かす、食べた物を消化する、と同じように、私たちの意思とは関係のない働きです。睡眠は体のバイオリズムの反応で沸き起こるものであり、私たちができるのは睡眠のバイオリズムを崩さないようにすることしかないのです。
■眠いのに眠れないのなら脳疲労を疑おう

疲れているしあくびも出る。眠いはずなのに、目を閉じると余計に頭の中をぐるぐる、不毛な思考が止まらない。早く寝ようと布団に入ったのに気づけば夜中…。そんな寝付きの悪さがあれば、脳が疲れている証拠です。日中に使った脳のスイッチが切れないまま、脳が休息モードに入れずにいるのです。この脳疲労は寝付きを悪くするだけでなく、夜中に起きてしまう中途覚醒や、朝早く目覚めてしまう早朝覚醒の原因にもなります。また、蓄積すると日中にも、考えがまとまらない、集中力が低下するといった悪影響が出てきます。
■安心して眠ることの大切さ

眠りにつくときに脳の思考が止まっていることが、質のよい睡眠に欠かせないことは前述のとおりです。しかし、脳疲労がなくても無意識に思考を始めてしまう、もう一つの原因があります。それが不安です。サプライズやプロポーズの前日なら、眠れない夜も楽しみのひとつかもしれません。しかし、「寝坊しないだろうか」「明日のプレゼンはうまくいくかな」「何か忘れている気がする」そんな日常的な不安はあなたの睡眠の質を落とします。安心感の中で目を閉じることが、気持ちのいい目覚めへのベストプラクティスなのです。
■メラトニンは10代から激減する
睡眠物質の異名を持つメラトニンは、脳内の松果体において生合成されるホルモンの一種であり、概日リズムの調整作用をもっています。網膜に受けた光刺激で分泌が抑制されるため、日中は分泌が少なく、夜間に増加して眠気や体温低下を引き起こします。しかし、夜間でもスーパーやコンビニなど1000ルクスを超える強い照明を浴びると、メラトニンの分泌量は低下し、よい睡眠を阻害することがわかっています。また、メラトニンは年齢によって大きく変化しており、下の図のように10代でピークを迎えた後は激減し、その後も低下し続けます。年齢とともに熟睡できなくなるのは、生態的には正しい反応なのです。

睡眠の質をあげて毎朝爽快!今日からできる方法5選 | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)
https://business-life.jp/active-health-for-office/18407朝、目が覚めると「よく寝た~!」と伸びをして颯爽とベッドを降り、カーテンを開けて「今日もがんばろう」と一日をスタートする。そんな朝を毎日過ごせたら…そう思いながらも理想のまま、という人は多いでしょう。現実は、目覚ましのスヌーズと戦い、「起きなきゃ」と言いながら体は動かず。ようやく起き上がっても頭は重く、あくびをしながら最低限の支度をするのがやっと…。 どんな朝を迎えられるかが、一日の充実度にも反映
元記事「睡眠の質をあげて毎朝爽快!今日からできる方法5選」は2021年2月2日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。