NEAT(ニート)生活で消費エネルギーが増加!?

NEAT(ニート)生活で消費エネルギーが増加!?

NEAT(ニート)とは、私たちが日常的に行っている“運動以外”の動作で消費されるエネルギーのこと。肥満などの生活習慣病対策として、日々のNEATを増やす取り組みが注目されています。この記事では、座っている時間の長いデスクワーカーに向けて、NEATから日々の消費エネルギーを意識的に増やしていく「ニート生活」のポイントを紹介していきます。


NEAT(ニート)とは?

NEAT(ニート)とは、Non-Exercise Activities Thermogenesisの略で、日本語では直訳して「非運動性熱産生」です。「非運動性」とあるように、仕事、家事、通勤、通学、階段昇降、子どもとの遊び、犬の散歩、買い物など「運動以外の日常生活の動作による消費エネルギー」がNEATに該当します。

1日の生活で消費されるカロリーは、基礎代謝量+身体活動量+食事誘発性熱産生の3要素からなります。このうち、身体活動量(「運動」+「NEAT」)は、1日の総エネルギー消費量の約30%を占めています。

「運動」より「NEAT」から見直すべき理由

ここで、身体活動量を増やすなら運動を始めたほうが効果的だろうと思う方もいるでしょう。

しかし、運動不足を解消しようと急にランニングや筋トレを始めるのはあまりオススメしません。というのも、週に2回程度の運動をはじめても、70%程度の人が1年以上継続できていないという厚生労働省の調査結果※1もあるように、運動の習慣化は多くの人にとって大変難しいからです。

運動が続かない。忙しくて時間が確保できない、時間があってもすでにクタクタ…。運動習慣をつけようとして挫折してきた方や、仕事や家事に追われている方は、まずは日々の何気ない動作(=NEAT)を意識的に増やすことが消費エネルギーアップに効果的なアプローチになります。日々の生活において身体活動量を増やせれば、時間とお金の節約にもなり一石二鳥なのです。

NEATを増やす3つのポイント

ここからは「ニート生活」のポイントを3つほど紹介していきます。

①METs数値の高い生活動作を取り入れる

METs(メッツ):metabolic equivalentsとは、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動強度を示す国際的な単位です。例えば、普通歩行=3メッツ、階段を速く登る=8.8メッツ、バドミントン=5.5メッツ、ジョギング=7.0メッツ……といった具合に、運動の種類・種目によって運動強度が数値化されています。

厚生労働省は、身体活動量の基準(18〜64歳)として、「強度が3メッツ以上の身体活動を、週に23エクササイズ 行う。」と示しています。※2

23エクササイズとはどういうことかというと、「1メッツ×1時間 = 1エクササイズ」を基準に計算します。3メッツの運動を23 エクササイズやるには、7時間ちょっと(23÷3= 7.66……)かかり、この運動量を7日間で等分すると、3メッツの運動が1日1時間必要ということになります。

※『健康な数値』猪俣武範より作成

たとえば、普通歩行は3メッツですので、有名な「毎日1時間歩くのが健康に良い」という言説にもうなずけますね。

・職場との行き帰りで遠回りや早歩き、大股歩きをする。
・エレベーター・エスカレーターの代わりに階段を使う。
・自動車ではなく自転車。自転車ではなく徒歩で買い物に行く。

など、移動時間を活用してメッツを稼いでみてください。

②座りすぎ状態を改善する

長時間の座位は、エネルギー消費の減少や血流悪化を招き、その影響は肥満、集中力の低下、肩こり・腰痛などにつながります。2018年に米国で行われた調査※3では、1日の座位時間が6時間以上の人の総死亡リスクは、3時間未満の人に比べて約19%高く、癌、糖尿病、自殺、COPD、アルツハイマー病など様々な病気の死亡リスクを高めると報告されていました。

デスクワーカーや在宅勤務などで外出時間が減った方は、なるべく座らない生活を心がけることから始めましょう。

立っているだけでカロリーをより多く燃焼できる
欧州の医学誌「European Society of Cardiology」にて発表された研究※4では、46件の研究をもとに、座っているよりも立っている方がより多くのカロリーを消費するかどうかが検証されました。結果、立位の時では、座位の時と比べ、1分当たり0.15kcal多くエネルギーを燃焼すると判明しています。

これは、体重が65kgの人が1日6時間立っていた場合、座っている場合と比べ、1日に54kcal多く燃焼することになり、体重を1年間で2.5kg、4年間で10kg減らすことができる計算になります。

1時間に最低1回は席を立つ
座り仕事が多い方は、意識的に休憩をとりつつ、身体活動量を増やしていきましょう。

1時間ごとに席を立ってストレッチをする。
昼休みに外を数10分歩く。
電話や電子メールだけで済まさず、相手に直接話に行く。
などの対策を職場で習慣化することで、座りすぎによる血流悪化を改善できます。

また、正しい姿勢で作業する、スタンディングデスクなどを活用して立位で作業するなど、作業中もNEATを増やしてみましょう。慣れないうちはかえって疲れるかもしれませんが、やがて業務への集中力向上や疲労感の軽減などにつながっていきます。

③「ニート生活」を楽しむ

家事の合間や電車待ちの時間など、隙間時間も活用しましょう。スクワットなどの軽い筋トレや、肩こり解消ストレッチなど、自分の体の悩みを解消できるものをいくつか覚えておきましょう。スマートフォンのダイエットアプリも「ニート生活」を大いにサポートしてくれる味方です。歩数記録や消費カロリー計算機能が備わっているアプリを使えば、自分が通勤や家事労働でどれだけカロリーを消費しているかをチェックできます。

日常動作を事細かに記録するのを億劫に感じる場合は、自分が気になった時だけ確認する使い方もできます。「いつもは車を使うけど、今日は歩いて買い物に行ってみた」。そんな日にアプリを開いてチェックしてみましょう。自分の頑張りが数値化できると、NEATも楽しく増やせるはずです。

■出典

※1:厚生労働省『身体活動・運動』:https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html#:~:text=%E9%81%8B%E5%8B%95%E7%BF%92%E6%85%A3%E3%81%AF%E9%A0%BB%E5%BA%A6%E3%80%81%E6%99%82%E9%96%93,9%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A0%84%E9%A4%8A%E8%AA%BF%E6%9F%BB)%E3%80%82

(2021/02/26 閲覧)

※2:厚生労働省『健康づくりのための身体活動基準』: https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xppb.pdf

※3:『Prolonged Leisure Time Spent Sitting in Relation to Cause-Specific Mortality in a
Large US Cohort』:https://academic.oup.com/aje/article/187/10/2151/5045572

※4:『Stand up. It could help you lose weight.』:https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Stand-up-It-could-help-you-lose-weight?hit=wireek

・『健康な数値』猪俣武範 クロスメディア・パブリッシング

元記事「NEAT(ニート)生活で消費エネルギーが増加!?」は2021年3月8日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。


NEAT(ニート)生活で消費エネルギーが増加!?【動こう!デスクワーカー②】 | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)

https://business-life.jp/active-health-for-office/18475

ニート生活?……仕事も家事もしないで過ごすこと? いえ、違います。NEAT(ニート)とは、私たちが日常的に行っている"運動以外"の動作で消費されるエネルギーのこと。肥満などの生活習慣病対策として、日々のNEATを増やす取り組みが注目されています。 この記事では、座っている時間の長いデスクワーカーに向けて、NEATから日々の消費エネルギーを意識的に増やしていく「ニート生活」のポイ

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