イライラ解消にはとにかくウォーキング。ストレス脳を打破する3つのポイントとは

イライラ解消にはとにかくウォーキング。ストレス脳を打破する3つのポイントとは

「なぜかイライラが止まらない」「仕事のストレスで何も手につかない」「とにかくイライラを解消したい」……。 そんな悩みを抱える人にオススメなのがウォーキング。なんとたった12分歩くだけでメンタル改善&集中力アップが見込めるのだとか。パンク状態の脳をクリアにするため、ウォーキング効果をさらに高める「3つのポイント」をお教えします!


ウォーキングのメリットは?ストレス解消&脳機能向上も

長時間のデスクワークをこなすと、帰宅後はぐったり…。ちょっとしたことでイライラや不安を感じる…。

これはストレスや血流悪化で脳に負荷がかかり、「脳疲労」が蓄積されている状態。この状態の脳をリフレッシュするには「アクティブレスト」(積極的休養)が有効です。アクティブレストとは、体と脳の疲労回復を目的とした軽い運動のこと。運動によって酸素を含んだ血液が各細胞へ十分に供給されると、脳に蓄積されたストレスをリセットすることができるのです。

この「アクティブレスト」をはじめる人にオススメしたいのは、何と言ってもウォーキング。負荷が軽く、気軽に始めやすいがゆえに効果も小さいと思われがちですが、脳機能への効果は数々の研究で証明されています。

【ウォーキングの効果1】ストレス減少&ポジティブな気分になる

2014年に行われた研究では、1日30分のウォーキングで全身のストレスレベルが下がったという結果が出ました。(※1)

この実験では、330人に朝または夕方に12週間、少なくとも1日30分以上歩いてもらって計測。その結果、このウォーキングプログラムによって体内の炎症レベルが減少。体内の炎症レベルは疲労やストレスの度合いを測るのに利用されているため、「30分のウォーキングでストレスが減る」と言えるでしょう。

また、アイオワ州立大学が発表した2016年の研究では、「ウォーキングはメンタルと集中力に強力なメリットを与える」という結論が出ています。(※2)

この実験では「12分間を歩いて過ごしたグループ」と「座ってビデオを見て過ごしたグループ」のメンタルを比較。すると、前者の方がポジティブな気分が上昇したと言います。

つまり、1日30分ウォーキングをすると→ストレスが減り、自然にポジティブになれる!

【ウォーキングの効果2】発想力アップ!アイデアが生まれる

アップル、フェイスブック、ツイッターの創業者たちは「散歩ミーティング」の推奨者として知られています。並んで歩くことで一体感が得られ、運動することで集中力が高まるというのがその理由。この取り組みは斬新なアイデアを生むという意味でも有効である事がスタンフォード大学の研究で明らかになっています。

この研究では被験者にトレッドミルでウォーキングをさせ、その後GAUテスト(創造的な発散的思考を測るテスト)を実施。すると、座っていた場合に比べ81%スコアが増加したのだとか。
また、歩く場所によっても効果が変わる。トレッドミルで歩いた場合や車椅子で外に出た場合、そして屋外を歩いた場合を比較すると、斬新なアイデアを思いつく確率がもっとも高くなるのは屋外を歩いたときであることがわかりました。(※3)

つまり、外でウォーキングすると→斬新なアイデアが生まれやすい!

イライラが消える!ウォーキングのポイント3つ

数々のメリットがあると証明されているウォーキング。イライラでパンクしそうな脳をスッキリさせたい場合、最低限押さえておきたいポイントは3つ。

【ウォーキングのポイント1】時間:まずは12分歩いてみる

前述のアイオワ州立大学の実験では、被験者は12分のウォーキング後にポジティブな気分が上昇。つまり、最低12分継続して歩けばメンタル改善効果が期待できるということ。徒歩1分=80mとすれば、12分で960m。約1kmのウォーキングなら気軽にチャレンジできるので、出勤時や昼休憩時に「12分」の確保を意識してみては。

【ウォーキングのポイント2】歩数:1日7500歩を目指す

2016年に発表された国立再生可能エネルギー研究所の実験では、278人の日常の歩数と、肥満率・睡眠の質との関係が調査されました。すると1日7,500歩を超える人々はそれ以下の歩数の人々に比べ肥満率が減り、睡眠の質が高くなるという傾向が見られたそう。(※4)
つまり、1日最低7500歩歩けば肥満防止&睡眠の質向上が狙えるということ。睡眠の質とメンタルは密接に関係していることがわかりました。ウォーキングによって睡眠の質が高まれば、睡眠不足が原因のイライラもやわらぐのではないでしょうか。

【ウォーキングのポイント3】脳内:瞑想以外に使わない

ペンシルバニア州立大学の実験では158人の学生に屋外を歩くように指示し、その際に屋外の光景、音、自分の感覚に集中するように求めました。その結果、参加者のストレスや不安が激減。(※5)
「自分の感覚に集中する」方法はマインドフルネスや瞑想と共通するもの。どうやら歩きながら瞑想状態になると、さらなるメンタル改善効果が見込めるようです。

ウォーキング中についスマホをいじったり、歩きながらラジオを聞くという人もいますが、情報を摂取しながら歩くのはマインドフルな状態とは言いにくいもの。ストレス解消目的のウォーキングなら、スマホは閉じておくか、家に置いてきてから始める方が望ましいと言えるでしょう。

スマホの歩数計より「万歩計」がおすすめ

ウォーキングは気楽に始めやすい。たった12分でストレス解消効果があるというのだから、隙間時間にすぐ歩き始めるといいだろう。その際に心がけたいのは「荷物を減らす」ことだ。

「ウォーキング中にお金が必要になるかも」

「英語のリスニング勉強をしながら歩こう」……。

ウォーキングのためにあれこれ準備をしていると、「思い立ったら即ウォーキング」は難しくなる。重い荷物を背負って歩けば、疲労感や痛みで歩くこと自体に集中できなくなるだろう。不健康な歩き方をしないためにも、余計なものはなるべく持たない方がいい。

そこでオススメしたいのは「万歩計だけ持って外に出る」という方法。というのも、筆者自身がこの方法で1日の歩数を増やすことに成功したからだ。

万歩計には以下のような3つのメリットがあります。
・歩数記録に特化しており、スマホよりも軽い
・「歩くと数字が増える」というシンプルさで、気が散らない
・現在の歩数をストレスフリーに確認できる

ウォーキングに音楽は不要??

余計なことを考えずに歩くためには、音楽プレーヤーすら持たない方がいいとは限りません。
「ウォーキングすると動悸や息切れが起こる」という人の場合、音楽を聞きながらのウォーキングすることで自律神経が整い、リラックス効果が得られるということが東北大学の研究によって明らかになっています。(※6)

ウォーキングなどの運動をすると、交感神経の興奮状態がなかなかおさまらなくなり、動悸、息切れ、胸の圧迫感や痛み、あるいは不整脈などの症状があらわれることがある。心臓の機能には異常がないため心電図などの検査を受けても異常が認められないことが多いが、こうした症状は運動を続ける上で妨げとなる。
そうした場合は、音楽を聴きながら運動をすると、心臓の動きが安定する可能性がある。運動によるストレスをためないためにも、音楽を聴きながらウォーキングを行うと効果的だ。

ちなみに自律神経を整える音楽の選び方にもコツがあるようで、自律神経研究の第一人者、順天堂大学の小林弘幸先生によると、

・テンポが一定でゆったりした曲
・音階の変化が少ない、4~5分程度の曲
・過去の記憶を呼び起こす余韻ある曲

などが副交感神経の活動を高め、気分を落ち着かせる効果があるそう。

出勤時や昼休憩時、帰宅途中にウォーキングを取り入れれば、イライラでいっぱいの脳を定期的にリセットできることでしょう。

参考文献

※1:Xiao-Qing Lian「The influence of regular walking at different times of day on blood lipids and inflammatory markers in sedentary patients with coronary artery disease.」Preventive Medicine Volume 58, January 2014, Pages 64-69
※2:Miller, Jeffrey Conrath,Krizan, Zlatan「Walking facilitates positive affect (even when expecting the opposite).」Emotion, Vol 16(5), Aug 2016, 775-785
※3:Oppezzo, Marily,Schwartz, Daniel L.「Give your ideas some legs: the positive effect of walking on creative thinking.」Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, Vol 40(4), Jul 2014, 1142-1152
※4:Mantovani AM, Duncan S, Codogno JS, Lima MC, Fernandes RA.「Different Amounts of Physical Activity Measured by Pedometer and the Associations With Health Outcomes in Adults.」J Phys Act Health. 2016 Nov;13(11):1183-1191
※5:Chih-HsiangYang,David E. Conroy「Momentary negative affect is lower during mindful movement than while sitting: An experience sampling study」Psychology of Sport and Exercise Volume 37, July 2018, Pages 109-116
※6:Jia T1, Ogawa Y, Miura M, Ito O, Kohzuki M.「Music Attenuated a Decrease in Parasympathetic Nervous System Activity after Exercise」PLoS One. 2016 Feb 3;11

元記事「イライラ解消にはとにかくウォーキング。ストレス脳を打破する3つのポイントとは」は2019年9月3日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。

イライラ解消にはとにかくウォーキング。ストレス脳を打破する3つのポイントとは | BUSINESS LIFE

https://business-life.jp/mental/16075

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