飲み込むベストタイミングは「食べ物の形がなくなったら」
舌先でしっかりと味わえるようになっていくと、一つ壁にぶつかります。それはいつ飲み込んでいいかわからなくなるということです。
舌先で味を感じていると、ある瞬間から嫌な食感が出てくるときがある。食べ物から味が抜けてスカスカの物体になってしまい、飲み込みたくなくなります。その理由は、飲み込む衝動をブロックしすぎたがために、かえって飲み込むタイミングに迷ってしまうからなのです。
舌先と胃をつなげれば「飲み込むタイミング」がわかる
このように、飲み込めなくなってしまう原因は、舌先と胃をつなげていないからです。体というのはすべてつながっていて、各器官が「自分の分」を持っています。すべてをこなせる完璧な器官はなく、各々が得意分野を持っていて、自分の役割を果たしたら次の方へバトンタッチを行うのです。
消化とは体の中に食べ物を取り入れる作業ですが、全身の器官が力を合わせて行います。消化にかかわる内臓には、食道・胃・すい臓・小腸・大腸・肝臓など、様々 です。それくらい消化とは体にとって負担になる作業であり、一致団結して行うのです。
そのトップバッターを務めるのが口。では、なぜ口でものをかみ砕くのでしょう?それは、胃の負担を減らしてあげるためです。
胃は胃液ですべての食べ物を溶かすことができますが、すべてのものをそのまま胃に入れては負担が多すぎてしまうため、口でかみ砕いてから体内に入れるのです。病気の人におかゆをつくるように、口が胃にやさしい形に変えてあげるのです。
では、どれくらいかみ砕いたら胃に一番優しい大きさになるのでしょう。実は、それを判断するのが舌先です。舌先で食べていると、胃にやさしい状態がわかるようになります。わかりにくい方は最初は食べ物の形がなくなるまでを目安にしてください。
それ以上噛むと味がなくなり不快感を覚えたり顎が疲れたりする方もいますが、そこまで頑張らなくても胃がそのあとを受け持ってくれますので、ここまでだろうと思えたら安心して胃にバトンタッチしましょう。
心地の良い空腹感を
本当の味わい方が身についてくると、自分が思うほど食事を欲していないことに気づき、「お腹減っているな~」と自分のお腹を客観視できるようになります。胃が空っぽという体の軽さもありますが、単なる「食べたい」に左右されない心の安定感が本当に心地よくなるはずです。これこそが目指していきたい「心地の良い空腹感」です。
「食べたい!」という衝動に左右されなくなると、「どれくらいお腹が減ったら食べていいの?」という疑問にぶつかるときがきます。その正解は、あなたのライフスタイルに合わせて食べられるようになることです。そうすると、お腹が減っても感情が揺さぶられなくなり、仕事や家事に合わせて食事ができるようになります。
そして、食べる時間も食べるものもすべて自分でコントロールできるようになるのです。ここからがダイエットのスタ-ト地点であり、無茶な食事制限の必要はないとおわかりいただけるのではないでしょうか。
そもそも食べ物が消化される時間には違いがあります。三大栄養素場合はこちら。
● 炭水化物・・・食後1時間半~2時間
● 脂質・・・食後3時間~4時間
● タンパク質・・・5時間~6時間
タンパク質の中でも脂質の少ない魚や卵の白身は、早く消化されるという報告も挙がっています。肉や魚、豆類は、食後6時間前後ほどかかるというのが定説です。タンパク質を食べたから必ず5~6時間もつ、とは断言できませんので(季節や性別でも違いは出ます)、これらはあくまである程度の目安です。
ただ、空腹感は胃が軽くなることで感じるものなので、消化の早い炭水化物だけ、という食事は「食べたい」を加速させるのではないかと思います。こんな知識も参考にしつつ、食欲をコントロールしてみてくださいね。
元記事「『よく噛んで食べる}ってどのくらい?実は「舌先」が重要だった!」は2018年8月8日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。
「よく噛んで食べる」ってどのくらい?実は「舌先」が重要だった! | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)
https://business-life.jp/food/10062「一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ」(著:松尾伊津香)より 私が提唱する、きれいに痩せてリバウンドしないダイエット法「食事瞑想」は、普段の食事の"味わい方"を変えて食欲を鎮めるというものです。 舌先にものをあてる → 胃の感覚を研ぎ澄ます 「食事瞑想」ですべきことは、たったこれだけです。 詳しくはこちら→「「よく噛めば満腹になる」の落とし穴。太る食べグセ、原因は「