レジリエンスを高める4つのポイントーマインドフルネスでしなやかな心へ

レジリエンスを高める4つのポイントーマインドフルネスでしなやかな心へ

日々のストレスが原因で人に当たってしまうことはありませんか。破滅的な方法でストレスを発散していては、心身の健康や人間関係に悪影響を及ぼしかねません。この記事では、現代の人々に求められている能力「レジリエンス」を紹介します。


レジリエンスとは

「レジリエンス(resilience)」とは、「復元力」「回復力」「弾力」などと訳される言葉です。
たとえば、地震や豪雨が頻発する世界屈指の災害大国・日本では、大規模災害に対して、被害を最小限に留め、迅速な復旧・復興を可能にするために「国家強靭化(ナショナル・レジリエンス)」が推し進められています。

ストレスにしなやかに対応する力
心理学の領域では、アメリカの心理学者ボナノによって「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することのできる能力」と定義されています。

しばしば「ストレス耐性」と同義で扱われるため、「周囲の影響を跳ね返す”鋼”の心」というイメージを持たれがちですが、厳密には正しい表現とは言えません。レジリエンスは周囲の影響に対して柔軟に適応できる力であり、言うなれば”竹”のような「硬さ」と「しなやかさ」を合わせ持った心だと言えるでしょう。

なぜ現代の人々に必要なのか

新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の拡大により、メンタル不調に陥る「コロナうつ」が社会問題化しました。一方で、コロナ禍をきっかけにして、自宅での筋トレを習慣化した人、食生活を改善した人、ワークライフバランスを見直した人等々、ポジティブな方向に自分を変えた人も少なくありません。

困難なできごとは、必ずしも人生の結果をネガティブに決定づけるものではありません。自分でコントロールしたり、修正したり、成長したりできる部分がたくさんあります。それがレジリエンスの役割です。レジリエンスを高めることは、困難な状況を乗り越えるのに役立つだけでなく、その過程で自分を成長させ、さらには人生を向上させる力となるのです。

レジリエンスを育むには

ストレスへの耐性は性格の問題で鍛えられないと思われるかもしれません。しかし、レジリエンスは特別な能力ではなく、誰もがポテンシャルを持っています。アメリカ心理学会(APA)は、レジリエンス向上を目指すために、

・つながり
・健康
・目的
・健全な思考
の4要素に基づく行動を提案しています※1。

人とのつながりを築く

自分の気持ちに共感してくれる人、信頼できる人といった理解者の存在は、困難な状況にあっても自分が一人ではないことを思い出させてくれます。

まずは、家族、恋人、友人、会社の仲間など、今つながっている人との時間を大切にすること。そして、ボランティア活動や趣味の教室など、目的意識や喜びを提供してくれるコミュニティに参加してみるのも手です。

心身の健康を育む

栄養バランスのとれた「食事」、十分で良質な「睡眠」、適度な「運動」といったポジティブなライフスタイルを心がけることで、ストレスへの適応力を高め、不安や抑うつなどの感情の影響を軽減することができます。

大きな失敗や悲しい出来事に遭遇すると、その痛みをやけ食いなどで隠したくなるかもしれませんが、それでは心を癒すことはできません。ストレスを完全に排除しようとするのではなく、ストレスに対処するためのリソースを体に与えることに重点を置きましょう。

目標に向かって積極的に行動する

現実的な目標を立て、達成したいことに向けて、小さなことでも良いので定期的に実行しましょう。

達成できなさそうなことに目を向けるのではなく、「自分が行きたい方向に進むために、今日できることは何か」と自問してみてください。その過程で大なり小なり苦労をした結果、何らかの点で自分が成長したことに気づき、自分の価値を発見できるかもしれません。

物事を前向きに捉える

ポジティブな心持ちは、困難に直面したときの回復力に大きく影響します。

強いストレスを感じる出来事を変えることはできないかもしれませんが、その出来事をどう解釈し、どう対応するかは変えることができます。変化を受け入れることで”変えられる状況”に目を向け、前に向かって踏み出すことができるのです。

マインドフルネスを活用しよう

マインドフルネスとは、”ただ目の前のことに集中する姿勢”であり、呼吸や体感に意識を向ける「メディテーション(瞑想)」などが主なアプローチ方法です。

瞑想というと精神統一や一リフレッシュ効果がイメージされがちですが、マインドフルネスの効果はそれだけではありません。継続することで、脳疲労の緩和、自律神経の調節、精神が安定することによる対人関係の改善なども期待できるため、「つながり」「健康」「目的」「健全な思考」という4つの戦略を実践する上で、大きな手助けとなるでしょう。


※1「Building your resilience」AMERICAN PSYCHOLOGICAL ASSOCIATION:https://www.apa.org/topics/resilience


元記事「レジリエンスを高める4つのポイントーマインドフルネスでしなやかな心へ」は2021年9月10日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。


レジリエンスを高める4つのポイントーマインドフルネスでしなやかな心へ | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)

https://business-life.jp/active-health-for-office/18689

「人に冷たく当たってしまう」「お酒やタバコの量が増えている」日々のストレスが原因でこのような行動をしていませんか?破滅的な方法でストレスを発散していては、心身の健康や人間関係に悪影響を及ぼしかねません。そこでこの記事では、現代のビジネスパーソンに求められている能力「レジリエンス」について紹介します。 レジリエンスとは? 「レジリエンス(resilience)」とは、「復元力」「回復力」「弾力」など

この記事のWriter

大学で心理学・精神医学を学び、その知識を深めるためアメリカに留学。帰国後、ヨガ・瞑想インストラクター、ダイエットジムReborn myself六本木本店店長・スーパーバイザー等を経て、2017年、日本初の疲労回復専用ジムZERO GYMのプログラムディレクターに就任。またダイエット指導経験から、独自の食欲鎮静メソッド「食事瞑想」を確立、ミスワールド日本代表の審査員やボディメイクも手掛ける。2019年3月、NHK WORLD JAPAN「Medical Frontiers」に出演し、世界160の国と地域にヨガと食事瞑想を伝授。著書に『エグゼクティブ・コンディショニング』等がある。

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