20分という時間差は、空腹ホルモン(グレリン)と満腹ホルモン(レプチン)が別の場所から出ていることから起こります。空腹ホルモンはダイレクトに「胃」から分泌されるのに対し、満腹ホルモンのほうは「脂肪細胞」から発せられます。脂肪細胞に到達するまでには、食べ物が胃に入ってから血液を経由しなければなりません。その間にも、胃は「おなか減ったよ~」という信号をどんどん出し続けているため、ガツガツ食べすぎると、満腹感を感じる前に大量のカロリーを摂取することになり、満腹のサインが出る頃には、胃が量を詰め込みこれ以上食べられなくなった状態に達してしまうというわけです。
それを回避するには、胃がきちんと満腹感を得られる食べ方をすればいいのです。そのポイントが、「温度」と「重さ」です。
食べながら腹八分目の境界線を見つける
胃に入った食べ物の重さと温度を感じることで、自然と胃からの「これで 充分」「もういらない」という声を感じられるようになっていきます。腹八分目できちんと食べることをやめられる人は、胃の感覚を感じとることに長けています。
では、「これ以上食べるとつらいな」というところを、これから一緒に見つけていきましょう。
満足感の決め手は 「ほかほか」「とろとろ」
胃の満足感をわかりやすく高めてくれるのは、まず「温度」です。温度は胃に直接的に満足感を与えてくれるので、自然と食欲が落ち着きやすくなります。エネルギーを余分に摂りすぎると、無駄な消化活動を強いることになり、かえって疲れてしまいます。温度」は胃ですぐに感じとりやすく、誰でも実感しやすいので、満足感をすぐに高めたいときには温度を利用しましょう。
満足感を継続させるために飲むのであれば、次のような食べ物がオススメです。
・お味噌汁などの発酵食品
・生姜湯などのとろみのあるもの
・温かい乳製品
パンよりごはんで重さを感じる
胃の満足感を高めるもう一つのポイントが「重さ」です。
「夕飯は食べたはずなのに、まだ何か食べられるものがないかと探してしまう」「おにぎりであれば1個で十分なのに、パンになると2個も3個も入ってしまう」、これらの原因はどちらも胃に「重さ」が足りていないこと。満足感を得るためには、胃で、ある程度の重さを感じることが必要です。炭水化物はごはん、パンよりお米がオススメです。おにぎり1個で胃にかなりの重みを感じるため、食べ過ぎを未然に防ぐことができます。
手間・時間・お金をかけなくてもミラクルが起きる?満腹を感じる方法
自分の舌先で感じている味覚に集中すること。そして、胃で感じている温度と重みをしっかり受け取ること。食欲鎮静できるかどうかは、この2点にかかっています。ですから、
①まずは舌先に食べ物をあててじっくりと味わい、
②次に胃で温度と重さを感じる
を実践してみましょう。とてもシンプルですが、より効果を高めるためには、①と②の連携が大事になってきます。胃に負担をかけたくない方は、「ひとくち食べたら胃の声を聴く」ようにしてください。
元記事「満腹感の決め手は「ほかほか・とろとろ」?どか食い・むちゃ食いを防ぐ胃のトレーニングとは」は2018年3月22日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。
満腹感の決め手は「ほかほか・とろとろ」?どか食い・むちゃ食いを防ぐ胃のトレーニングとは | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)
https://business-life.jp/food/9517「一生太らない魔法の食欲鎮静術 食事瞑想のススメ」(著:松尾伊津香)より 食べながら腹八分目の境界線を見つける 「20分待つと少量でも満腹になれる」という話を聞いたことがありませんか? 食べ物を口にしてから「お腹いっぱいだ」と感じるまでには、だいたいそれくらいの時間がかかります。 だから多少の物足りなさを感じても、20分待てば自然と満腹になり、食べ過ぎなくて済むというものです。 20分という時間差