電気工事会社を変える電気工事会社!? 株式会社電建 【電気企業インタビュー】

電気工事会社を変える電気工事会社!? 株式会社電建 【電気企業インタビュー】

「電気工事会社」のイメージというと、どういうものがあるでしょうか。 少し職人気質な方たちが、現場作業をこなしている様子? 体力のいる仕事? 建設業者のもと、過酷な環境で働いている光景? 3K(きつい・きたない・きけん)? そんなイメージを持たれている方も多いのかもしれません。 今回インタビューに訪れた電気工事会社さんはそのイメージとは全くかけ離れていました。 電気工事を目指す人たちに、是非とも知っていただきたい会社さんです。


田んぼは電建さんのトレードマーク ~ 田んぼがリクルートサイトのメインになっている理由 ~

電建さんのビルに着きました。
白を基調としたとてもきれいな自社ビル。
入り口は作業場や駐車場にもなっているガレージですが、掃除道具や作業道具が整然と並べられ、ものすごく整っています。

2階の事務所へ上がると、部屋もガラス張りで見通しが広く、机の上にはドリンクメニューもあり、本当にカフェのような穏やかな空気が流れていました。

そしていつの間にか前には(株)電建 松本社長がいらっしゃっいました。

(株)電建 
代表取締役 松本晃幸

落ち着いた雰囲気に、鋭いまなざし、でも笑う姿は豪快
お若いのに経営者としての貫禄を漂わせる社長の松本さん率いる株式会社電建さん。

ホームページを事前に見させてもらっていたのですが、これがとても分かりやすい。
受電設備のことも優しく書いてあり、お客様の読みやすさを第一に考えられています。
僕自身、電気のことはまだ勉強を始めたばかりの状態ですが、とても参考にさせていただけたので、ご覧になっている方も是非見てみて頂きたいです。
https://www.m-denken.com/

ホームページでは、電気工事に関する事も多数書いているのですが、目立つところに田んぼの写真があります。

「電建ライス倶楽部」

そこを押すとリクルートページに移ります。
https://www.m-denken.com/recruit/
電建さんは会社で京都の美山で田んぼを耕していると、書いています。

「なぜ自社のリクルートページで、田んぼを前面に押し出したのでしょうか?」


そんな質問からインタビューはスタート。
すると電気工事会社が田んぼを始めたきっかけから話は始まる…

「僕はずっとトライアスロンをやっていて、その知り合いから田んぼをやらないかと勧められたんです。でもやるのは大変だと分かっていた。だから断ろうと思ったのですが… ちょっと待てよと。これ、お客さんとかも呼んだらここでコミュニケ―ションでき、僕らも知ってもらえるプライベートな付き合いできるなと。よくゴルフ行って仲良くなったりするじゃないですか。その代わりに田んぼで仲良くなればいい。お客さんも自分のところのお客さんを連れてこれたら、お客さん同士もいいし、僕らももっといい。社員の家族も連れてこれて、人間同士の付き合いをここでできたらもっと仲良くなれる。これ最高やなと」

「それに育てるという過程で、PDCAもそこで回すことができる。こうやったらこうだったと。これ正に経営力なんですよね。肥料まきすぎたとか失敗もあり、天候にも左右されながら。急に不況になったり、法律が変わったりっていうのが一緒なんです。絶対学べるなと思って始めたんですね」

田んぼ作りは会社にとってたくさんの経験と学びを会社にもたらしてくれる。深いコミュニケーションの場づくりにもなる。その田んぼ作りも今年で3年が終わり、その中でも一番うれしかったことを話してくれました。

「僕一番うれしかったのは社員さんの子どもさんが、お母さんに手紙書いてくれたことです。「お母さん、田んぼをやってる会社に勤めてくれてありがとう」と。子どもは僕らの予想以上に田んぼを楽しみにしている。子どもにしたら遊びなんですよ。僕らちょっとした労働っていうイメージがある(笑) 3年目になったらね、去年よりもお手伝いするようになってね。子ども達はそこですぐ仲良くなって。僕らも見習わなアカンなと思いますし、子ども見てると幸せな気分になります。自分の子どもは大きくなってるんで、ちっちゃい時にこういう環境があればなという風に思いました。これ続けていきたいですね」

子どもにとっても必要な場所。子どもの話をするときに優しい表情になる松本社長。それは今後の田んぼでのビジョンにもつながっていきました。

「今、就労困難者とか、色んな壁にぶち当たっている人がいます。これって大人の責任やと思うんですよ。社会の責任。損得勘定、勝ち負けに走り過ぎた日本の結果なんですよね。日本の子どもって世界でぶっちぎりのトップで孤独を感じてるんですよ。2位の倍ぐらいあるんです。それもね、どうしたもんかなと思って。僕ができることっていうと、そこでグループホームみたいなのを作って社会に出ていく準備、そういう場所が作ること。

例えば鬱になってしまった子がね、農作業をやるとかなりの回復率が見られるっていうデータがあるんです。規則正しい生活をして、生き物を育てる。共同で作業をする。それから元気になって、自分の会社に入ってくれてもいいし、知り合いの会社に紹介をしてもいい。それに僕はここで商売をしようと思っています。生産するものに付加価値つけて、ホンマの収益を得たい。じゃないとそこに人が住まないんです。そこで生活できる場所を作りたい。それは不可能ではないと思ってるんです。企業家としてそれがしたい。結果的に、そういう風に田んぼがウチの会社のトレードマークになったんです」

田んぼは社会に出るまで準備する場所にもなっていきそうです。そんな素敵な田んぼは電建さんのトレードマークになり、経営戦略にも使われるようになっていったと語られました。

「以前のテーマは他社との差別化だったんです。でも他社との差別化って、それは大事なんですけど、どうしても、比べてしまってるじゃないですか。比べたくないんですよ、人と。僕らの独自のワールドを作ろうということで。フッと考えると、田んぼだったんです。無農薬の田んぼやってる電気屋であることって僕らにとって特別なものちゃう?となって。

だから今年の夏の産業フェア(※あまがさき産業フェア)でもお米しか展示してないです(笑) お客さんが来て「何屋さんですか?」って(笑) 浴衣来て、お米並べて、農家の写真をパネルで作って貼って。それしかやってないです。なんの目的かよくわからないです(笑) まあ、目的があるとすれば、僕らを知ってもらいたいという思いですよね。そこで色んな人が立ち寄ってくれて、お米炊いて「どうぞ食べていってください」って言って、食べてもらって。それだけでしたけどね。仕事に何にも結びついていない。でもそういうことをやり続けることが僕らにとって大切なんです」

田んぼを通して電建さんがやろうとしていることを知ってほしい。そしてそこに共感してくれる人とつながるため、リクルートページのトップ画像に田んぼが選ばれたという事なのですね。そこに共鳴して電気が好きなら、きっと電建さんに合っている人が来る。それほど、田んぼは電建さんにとって大切な存在だと教えて頂けました。

江戸時代の棟梁のような、何でもできる めちゃくちゃ格好良い電気工事士 ~ 電気工事士のイメージを変える電建さん ~

二つ目の質問は

「就職先として、『電気工事会社のイメージが悪いこと』について率直に、どう思われますか?」

ということ。

先日、電気科に通う学生が「電気工事会社は、イメージが良くなくて、しんどそうだからあまり選択肢に入れていない」と言われた水島さん。そんな話ばかりが学生の中で蔓延しているのかと、少しショックを受けたという。電建さんの目線から、何かそういった学生や、第二新卒の方々に向けたメッセージなどを聞いてみました。

「まず僕が目指している電気工事士っていうのは、他所ではありえない電気工事士なんですよね。今の建築業界、電気工事士に限らず、大工さんや色んな技術者など作業服きてやってる人って、みんな作業員になってるんです。職人じゃない。昔は職人って言ったら、学校の先生とか、色んなプロとかと言われる人と肩を並べれた。大工の棟梁は籠にのって現場に出てたんです。籠ですよ籠。大工道具を現場に担いでいくのは、下っ端の人間で、棟梁は籠にのって現場に出てたんです」

棟梁は籠にのって現場へ? 
全然知らなかった昔の話。詳しく教えてくれました。

「江戸時代、建物のほとんどは国が建てていたんですよね。お城とか長屋とかも。それを建てるときに、殿さまから商人から、全部大工の棟梁が話を聞きに行って「じゃあこういうのを建てましょう」って言ってたんですよ。その人が見ずぼらしい格好で殿さまに会えますかという話なんです。それなりの格好をして、籠にのってどこにでも行っていた。それくらい位が高い人だったんですよ。なぜかというとまず山に行って木を選ぶ。「この木とこの木を使おう」って。で、刻みの指示をする。図面を書く。当然見積もりはする。字は書けないといけない。上棟式の時、柱に書かないといけないですからね。祝いの歌は歌える。すごいでしょ?」

確かに本当にすごい。
今までの思っていた職人とイメージが違います。

「そんな人、誰が尊敬しないですか?これが職人ですわ。ホントの。今の電気工事士どうですか。図面通りやって。「材料はお前ら持ってこい」と言われ、自分たちも「俺らはこれをやるだけや」って。自らの価値を下げてるんです。そら日給月給しかもらわれへんよ。それで値段もずっと変わらないですよ。

でも彼らがそうなったのは、建築が大量生産の時代に工務店ができ、設計会社ができ、図面書く人ができたからです。分業化していく事によってみんな作業員になってしまった。でもうちは違います。電気工事士も図面も書ける。見積もりもできる。完璧にとは言わないですよ。でも現場管理もできる。作業もできる。これめちゃくちゃ値打ちないですか。格好良くないですか。僕はそういう会社をやるしかないなと思ったんです。小さくてもちゃんと稼げる仕組みと技術を身につけるような会社を」

近代によって分断された仕事。それにより職人が作業員へ。だからこそ昔の棟梁さんができていたような何でもできる電気工事士を生み出す会社を作っている。でもそんな工事士がたくさん増えれば今までのイメージが絶対に変わります。

「もう一つは電気工事って最高の仕事でしょ。電気なかったらこの世は回んないですよ。あらゆる仕事そうですけど。絶対必要で、今後もどんどん仕事が出てくるこの仕事になぜ魅力を感じへんねんと。しかもなり手が少ないでしょ。余計ねらい目やと。絶対引く手あまたになると。最高の仕事ですよ。それを周りが伝えていかないといけないね」

そうです。そのためにこの記事をここでのせること。それをたくさんの人に見て頂く事。それによって電気に関わる仕事の魅力、そして電建さんの魅力が伝わってくれたらと思います。

人に喜んでもらい、お金までもらえるっていう、これ最高 ~ ゼネコンさんの下請けをやめたのは… ~

松本社長は実は2代目。1代目の時はゼネコン(総合建設業者)さんの下請けをやられていて、松本社長になってから、あるときお客様を中小企業様の受電設備の改修工事を中心とする会社に変わられたそう。ゼネコンの下請けは安定して仕事があるイメージ。きっと、そこからの方針切り替えはとても難しく、大変だったと想像に難くありません。どうして業務的に安定しているとも考えられる下請けの立ち位置を変えられたのでしょうか。それが水島さんからの3つ目の質問でした。

「これは、まず父親の代の時にゼネコン一辺倒で、ほぼ100%ゼネコンの下請けで、収益性も上がらないし。何より楽しくない。僕は他の会社に2回勤めたけど辞めたり、トライアスロンばっかりやってフリーターやったりしていたので35ぐらいで「自分は勤め人になられへんな」と思いました。じゃあ、なんかやろうと思って個人事業を始めたんですよ。

その時の建築アルバイトの親方がお客さんに喜んでもらえることばっかりやってたんです。普通フローリングって合板じゃないですか。それを木から削り出したオーク材を使いましょうと。全然値段違うんですよ。これはホンマの木ですから。アメリカの映画でよく出てくるでしょ、あのコツコツいう床。あれやりません?みたいな。そういうのしたいっていうお客さん専門にやってたんで、作り方、こだわり方が半端じゃなかったんです。それでお客さんが完成して泣いたり。それを自分も一緒に体験させてもらって、自分もそういうのをやってみたいと思って始めました。そしたらもう、幸せだと思って。初めて人に喜んでもらい、お金までもらえるっていう、これ最高やなと。今まであれだけ一生懸命やってきたトライアスロンよりも全然面白いと思って。その時に仕事って楽しい方が力入るし、仕事って本来楽しいはずよな」

意外な松本さんの経歴。35歳まで仕事を転々としていたなんて。そしてある親方さんとの出会いにより、仕事で人に喜んでもらうという楽しさを体験していたこと。親方から弟子へ。その仕事の楽しさを受け継がれたのはとても貴重な体験。そしてそのお陰で、仕事は我慢するものではなくて楽しいものという思いがあったからこそこの会社も変わることができたと言います。

「結局親の会社に戻って、ゼネコンさんの下請けやってた時、自分も現場でてましたけどおもんないんですよね。文句言われるし、値切られるし。ありがとうなんか言われへん。感謝もされない。僕「こんな仕事おもんない」と言い続けてたら社員からも「もうやめましょ」って言われたんです。でもその時売上作ってるのゼネコンさんだったんですよね。だからやめましょかって言われても(笑)」

お金か仕事の楽しさか、とても難しい選択。その時、松本社長がとった選択は…

「みんなこのままやったらつぶれるなと思ったんですよ。みんな我慢しながら働いていたんで。でも社員さんの事を守らなあかんって考えたときに、ゼネコンさん止めよって思ったんです。それ以外のお客さんはリストアップしたら3社ぐらいしかない。営業にもいかれへん。どうやって探したらええねんと思う所ですよね。で、ホームページを作ったら問い合わせあるんじゃないかなと思ったんです。対象は個人だと採算合わないんで法人格やなと。法人格で大企業いくとまた下請けみたいな感じになるんで、中小企業の製造業に特化しようと決めて始まったんです」

「そこからですよ。お客さんに喜んでもらえるっていう事を社員も実感してもらえるようになって。お手紙頂いたり、メール頂いたり、「助かったわー」とか言ってもらえることの快感を覚えだして。それで今があるんですけどね」

そうは言っても、新たなお客様との繋がりを構築していくことは、相当の苦労があったと思います。何か工夫とか、大事にしていることがきっとあるはず。

「想いでしょうね。想いが呼んでくるんですよ。俺らはいい仕事をしたいんです。儲けたいとかじゃなく。その前に喜んでもらいたい。喜んでもらったら、金よろしいわって言いたくなるくらいの気持ちになる。そうするともっと喜んでもらおうと思うわけじゃないですか。だからそのために会社の中の仕組みが変わっていったんです。勉強会やろうぜって。喜んでもらうために。挨拶も名刺交換もできなあかん。僕ら人間性高めないと喜んでもらえないっていう話になったんです。そういう進め方ですよね。それが田んぼもつながってるんでしょうね。田んぼから始まったんじゃなくて、お客さんを喜ばせたい気持ちから始まって田んぼがあるって感じですね」

電気工事やっているけれども、売ってるものは喜び。だから楽しい。途中苦しいこともあるけれど、それを乗り越えてお客さんが喜んでもらえたときの快感を大切にし、仕事を続けている姿が目に浮かびました。

会社を船に例えると… その船がどこに向かっているのかが大事 ~ 電気を学んだ子たちがに向けて ~

質問は変わっていきます。今後、電気主任技術者だけでなく、電気工事士の数も人手が足りなくなると叫ばれている今。大学生も多方面の業界から引く手あまたの状態で電気工事士になる人は少ない。そんな現状をどう考えていらっしゃるのだろうと。電建さんの見えておられる景色、または展望などを聞かせて頂いた。

「まず人は絶対取れなくなるんですよ。結構近いうちに。だから今のうちに取れるだけとっとこうと思ってますけどね。あと職人っていうプライド、立場をもっと上げることをやりたいですね、やっぱりね。技術者ですからね。大卒の子が電気工事士になりたがるぐらいのね」

「ただ大学生にとったら大手のところに行くのも、価値観が合えばいいやろうしね。大手にも人が入ってもらわなあかんし。いい人にはいい。でも目的がそこなん?その会社なん?その会社の目的とあなたの目的が合致するっていうのを見ずに就職するのが現状やと思うんです」

確かに、目的が合致するのはとても大事です。そのあと就職を船に例えて分かりやすく話してくれました。

「就職って港の船着き場に行って船を選ぶことやと思ってるんですね。この船とこの船があるねんけど、どれに乗る?っていう。そうなるとみんな豪華客船乗りたがるんですよ。安定して航海できるやろうって。この小船じゃこの先どうなるか分からへんぞ、とか、やたら手漕ぎのオールがついてるぞ、とか。でもその船がどこに行くんやっていうのが大事で。この豪華客船では、あなたは北に行きたいと言っているのに、実は南に行く船かも分からへん。行先違ったら豪華客船で条件がなんぼ良くても困るでしょ。だからこの船がどこに行くんやっていうのが会社の目的やと思うんですよね。

その船に一緒に乗って目的地に行きたい。しかも手漕ぎだったら、手漕ぎなだけに自分を鍛えれるんちゃうかと。そういう発想でそこに乗ろうと決めることが重要であって。船のスペックも当然大事なんですけど、実はこの船ちっちゃいんやけど、実はこの船転覆しないような仕組みがされてる船やとか、そういうことをちゃんと見なアカン」

今それを見る機会がないのかもしれない。じゃあどういう風に見たらいいんだろう。

そこでいうと、電建さんはどんな船のイメージで、どこを最終目的地としているのでしょうか?何を基準に就職をしたらいいのか質問は続いていきます。

「それはこの経営理念ですね」

そういって部屋に掲げられた経営理念を指さしてくれました。

「これが僕らの目的。僕らは『電気工事で日本経済の発展を支える』、将来的にはそういう会社になろうっていう。そして、『関わる全ての人の愛が溢れる社会』、僕らも作ろうやって。作るでって。僕は社員もそうやし家族もそうやしお客さんもそうやし、みんなが笑顔で助け合って、ありがとうと言いあえるような。あんたと知り合えてよかったと言いあえるような社会をね、実現することが僕らの目的なんです。これを具体的にしたのがあそこに貼ってます」

次は別の壁を指さして大きな紙を見せてくれました。そこにはビジョンと書かれてあって…

「10年後、僕らの会社の中に、託児所や介護施設があって。子どもを預けて働くお母さん、もしかしたら父子家庭の人も。当然介護の問題も出てきますからね。お父さんお母さんを預けて働く。自分も年取ったらそこに入る(笑) 子どもたちも介護施設に遊びに来るようになって、おじいちゃんおばあちゃんが道徳教育をする。そういうような会社ですね。で田んぼがあって、田んぼのところには地域支援所、さっき言ったようなグループホームを作って、そこでも仕事をちゃんと生み出す。海外にも行くようになるやろうし。あと町の電気屋さん。将来的にはやりたいんです。電球1個変えれないお年寄りがどんどん増えてますから。ちょっとお手伝いできるような立ち位置の町の電気屋さんの復活です。僕らの今のビジョンというのはこれから降りてきてるんですね。今の計画もこれから降りてきてるんです。全部つながっている。僕らの行先はこれです。判断基準は全部これです」

託児所や介護施設、田んぼやグループホーム。町の電気屋さん…とそこには小さな一つの町のイメージができる。電建町がそこにある。それは全て初めに掲げた目的。そこから降りてきたのが具体的なビジョンなんですね。

「そうです。そのためにお客さんともっと密になりたい。だから田んぼがあったり電建ライスクラブがあったり、ニュースレター発行があったり、勉強会にお客さん呼んだり。全部つながっているんです」

具体的な規模も聞いていました。

「僕ら今この会社に10人いて、大阪にもう10人いるようなイメージです。それで20人。地域支援事業に対してはそこもスタッフが2,3名いて、利用者さんがいるような感じですね。大阪の支店も、ここにおったら必要ないんですけど、メンバーのホンマの意味での自立でいうと、店持たせた方がいいなと思って。そこで採用から何から全部やってもらおうと、その代わり給料そこで稼いで給料持って帰れよって。そういう風にしていったときに、ホンマにやりがいもでるやろうし」

松本社長が経験してきたことと似たようなことを経験してもらいたいという事なんですね。

「その頃に、社長が言ってたのはこういうことかとわかってもらえて死にたいですね(笑) 」

就活者が経営理念をしっかり理解することは難しいかもしれない。とっつきにくさがあるから。でもそこから降りてきたビジョンはイメージしやすい。そのイメージと自分がやりたい事が一致すれば、たくさんの人は就職活動しやすくなるかもしれない。会社の目的もそうですが、自分の目的もしっかり見つめること、それがとても大事なんですね。

心に響いてくれる子が乗ってきてくれたら ~ 電建号に乗りこむのなら ~

そしていよいよ大詰め。最後の質問に向かいます。そうすると同じ船にどんな人が乗ってほしいのでしょうか?まずは電建号がどんな船なのか。そこから話を聞いていきます。

「ウチの船ね、イメージ的にはエンジンついてないですよね。今のところ帆船。あと手漕ぎ。中型くらいの船なんです。みんな汗水たらして働いている。僕一応船長なんですけど船長以外の仕事もせなアカンっていう。まあ今こういう船なんですけど。途中どこかの島によりながら、船の改修と増築をしながら、どんどん大きくなっていって、目的地着く頃にはもう、クイーンエリザベス号ぐらいに(笑) あれ?でかなってるやんって」

最後には豪華客船になってるそうです(笑)

「だからのっときゃ良かったやろって(笑) しかもちゃんと目的地についていて、お客さんも乗せながらですね。社員の家族とか色んな人が乗ってる船です」

面白いです。とても楽しそうな船がイメージできました。ではいよいよ、どんな人に同じ船に乗り込んでほしいのでしょうか。

「人生の目的が明確で幸せになりたい人ですね。幸せの定義が自分の欲望を満たす事ではない人ね。みんな欲望を満たすために幸せって言うから。みんな言葉間違ってるんですよ。幸せっていうのを欲求を満たすことと思ってるんですよ。例えば、幸せって何?って聞いたらハーゲンダッツのファミリーパックを食べてる時って言う人がいて(笑) でもそれずっと続いたらどうなん?毎日食べれる?って聞いたら、それは無理って。ということはそれ幸せじゃなくて、欲求を満たしてるだけ。じゃあ幸せって何?ってなるけど、それは自分で考えないと」

欲望を満たすことと幸せは違う。だからさっきの話の経営理念、そこからおりてきたビジョンに想いが合う人が電建さんに入ってほしい。なぜなら大事なのはいい会社が大きくなること。喜びを優先にした会社に働ける人がたくさん増えたら、そんないい社会はないと思う。だから本当に大きくなって欲しい。

「あと骨のあるやつとか、パンチあるやつとかでもいいと思う。ちょっと特別な事情を持ってる子って、うちの会社だと力出せるとも思っていて。想いを持っている子たちやから」

色んな子たちが働くチャンスが電建さんにはある。強くそう感じました。続いて今いる社員さんについても話してくれました。

「今いる社員は、他の職場経験者ですが人に喜ばれることを経験してないんです。だから僕がお客さんと仕事してると、喜ばれるじゃないですか。そうすると、意味が分かるでしょ。そうするとそれが快感になるみたいです。だからうちの会社もしかしたら、中途採用向けかもわからないですね」

「それに、ええ子二人が入ってきたんですよ。その子らが「社長、僕この会社入ってから毎日シャワー浴びてるみたいです」って言うんです。汚れを落とすというか。毎日ビックリすると。「魂揺さぶられまくってます」と。すごい嬉しいですよ。その子たちが揺さぶられる人間なんですよね。心が響かん人には響かんのですよ。響く人間が入ってくれたっていうのがね。ホンマに嬉しい」




仕事場に行って心を震わせることが毎日ある。

そんな幸せなことはない。

そんな体験ができている電建さんの社員さん。

毎日やりがいをもって働いている。

そして次はそこに加わるのはどんな人なのか。

電建さんに行って、仕事に対する喜びを感じ、やりがいをもって働く。

そんな社員が集まってくる会社。

そして育っていく。

ここからどんどん大きくなる電建さんの今後が楽しみです。

株式会社ミズノワ 電気業界に特化したCAFÉ カフェジカ東大阪を運営 企業と就職希望者とを結ぶ、企業インタビューを展開 電気業界に特化したミスマッチの無い就職をサポートしている。 TEL: 06-6743-6361  info@mizunowa.jp

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