入社5年目。社会の基盤を支えるこの仕事を誇りに日々、前進を続ける女性技術者が願う「これからの電気と、私と。」

入社5年目。社会の基盤を支えるこの仕事を誇りに日々、前進を続ける女性技術者が願う「これからの電気と、私と。」

2021年8月24日、東京パラリンピックが開催されました。その幕開けを彩る華やかな開会式で、パラ楽団によって演奏が奏でられるなか、リレー形式で次々に掲揚台へと運ばれていくパラリンピック旗。掲揚台までまもなくという終盤に差し掛かり、パラリンピアンたちから旗を託されたのは、8人のエッセンシャルワーカーでした。その1人として先頭で旗を運ぶ大役を担ったのが、東京電力パワーグリッドに所属する大峠志帆さんです。全世界が注目する舞台で、会社のユニフォームを身にまとい、堂々たる姿を見せてくださった大峠さんに、開会式出演のエピソードや現在の仕事についてお話を伺いました。


電気業界の新しい可能性を広げたい

――入社前と入社5年目の現在、仕事や業界について、ギャップを感じたことがあれば教えてください。


「入社前は規模が大きく、歴史も長い企業ですので、基礎がすでにでき上がっていて、新しいことへ挑戦できる環境はそんなにないのかなと思っていました。しかし実際に中へ入ってみると、先輩たちが築き上げてきた確固たる基礎はあるものの、そこで完結しないベンチャー気質も持ち合わせていて。新しいものを作ることへの意欲、今ある設備を長く、効率的に活用していくための技術面の課題、飽きがこないくらい、良い変化や刺激がたくさんあることに気づきました。

また、新規事業の考え方が社内研修でも学べますし、電気に囚われすぎず、電気を起点にさまざまな展開、サービスを考えていこうという気風がある。そういう意味で、良いギャップがありましたね」

――そうした環境がある中、大峠さんは今後、どのようなことにチャレンジされたいですか?


「将来的には海外新規事業など、外に目を向けた取り組みにチャレンジしていきたいと考えています。そう考えるようになったきっかけは、先述した社内研修です。研修内で海外のスタートアップ企業の方と会話し、国内とは違う、より多くの情報を得ることができましたし、今までにはない気づきを得ることができ、心がワクワクしました。

英語がもっと理解できるようになれば、海外の論文から仕事に活かせる仕組みを探したり、逆に売り込んでいったり、より広い視野で仕事に取り組めるようになる。その目標を胸に、会社の制度を利用して、毎日少しずつ英会話のスキルを磨いています」

――電気業界(とくに現場)では、まだまだ女性が少ないように思われます。女性活躍を推進するために、今後どのような取り組みが必要だと思われますか。


「部門にもよりますが、私の職場には女性はほとんどいません。年が近い女性がいないと、ちょっとした相談ごともできませんし、不安に思ってしまう人も多いはず。

そうした不安を払拭するために、女性向けのインターンを募って、実際に働いているところを見てもらったり、女性社員と会話したりできる機会を積極的に設けています。入社時に気にされるのは、会社や働いている人たちの雰囲気だと思いますので、気さくな先輩がいること、安心して働けるとことがしっかりと伝わるよう、これからも根気よく取り組んでいきたいですね」


――責任感が強く、パワーに満ちている大峠さんですが、電気業界の未来を背負う若手社員として、電気及び電気業界に関して現在、課題に感じていることはありますか。

「そうですね、私もまだ知らないことが多くありますが、電気以外で培ってきた会社の強みを活かして、可能性を広げていきたいと思っています。社外や職務外の人とお話しすると、外に向けたアプローチ、マーケティング視点のビジネス戦略など、参考になることも多くあります。ですから、今後は業界外の交流を活発にすることで、思いがけないところにあるヒントやアイデアをどんどん拾っていきたいですね。そうすることで、電気業界にも新たな風を吹き込むことができるのではないでしょうか」

やりがいを感じ、成長を実感できる電気の仕事

――電気業界で働く魅力は何だと思いますか。


「使命感といいますか、本当に社会の役に立っていることを実感できるこの仕事に大きな魅力を感じています。地震や台風などの緊急時は、対応に追われてしまいますが、終わった後に、ツイッターなどで、『東京電力が来て、直してくれた。ありがとう!!』と書かれている投稿を目にすると、嬉しいし、疲れも一気に吹っ飛んじゃいますね。

もう一つは、先ほどお話した通り、いろんな提案ができること。みなさんがイメージする大きい電力会社というよりは、自分の提案で会社の新しい事業を作ったりすることもできる、いろんなことに挑戦している会社です。今、そして今後を想像し、私は楽しみながら日々働いています」


――大峠さんにとって、電気とはどのような存在でしょうか。


「みなさんと同じように生活に必要不可欠なものには変わりありませんが、私は仕事にしたことによって、それだけの存在ではなくなりました。電気は土木の建造物と異なり、目に見えないものです。

そのため、入社当初は難しいなあという、苦手意識がありました。 しかし、先輩をはじめ多くの人に支えられ、今はそれなりに知識を身につけることができたと思っています。なんでもやってみればできる。そう思えるきっかけをくれたのが電気。ですから、電気は私自身を成長させてくれるものだと思っています」

プロフィール

大峠 志帆

東京電力パワーグリッド株式会社に勤務。

岩手県出身、2017年度に入社。「社会インフラを支える仕事がしたい」という思いを胸に、地中送電線の保守業務に4年間従事。現在は、地中送電線の冷却設備を設計・建設する送変電建設センター冷却設備整備グループに所属。東京2020パラリンピック競技大会の開会式では、エッセンシャルワーカーのひとりとして大会旗を運ぶという大役を務めた。

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