電気業界は、誰もが活躍できる時代へ。電気保安協会で働くベトナム人技術者へインタビュー!

電気業界は、誰もが活躍できる時代へ。電気保安協会で働くベトナム人技術者へインタビュー!

電気保安協会では、2024年3月よりベトナム人技術者4名が来日し、4月から定期採用者(正社員)として研修を受けています。研修はすべて日本語のため、やや苦労もあるようですが、助けを借りながらもマナーや電気保安業務について学んでいるようです。そんな4名にインタビューを実施しました。


メイン写真は左から レー クアン トゥアンさん、ブイ タイン ホンさん、グエン ドゥック ザンさん、グエン チュン キエンさん

電気保安協会で活躍する4人をご紹介!

2024年6月から事業本部に配属となる4名は、一人前の電気主任技術者になるために現場で実務経験を積むことになります。人材不足が課題の電気保安業界において、多様な人材確保策の新しいロールモデルになることが期待されているのです。そこで4名に次の7項目についてインタビュー。それぞれ意気込みを聞いてみましょう!

① 入社後、研修を受けた感想を教えてください。
② 保安協会で働く意気込みをどうぞ!
③ 今後やってみたい仕事は?
④ 研修で苦労したことを教えてください。
⑤ 研修中に工夫したこと、驚いたことは?
⑥ なぜ電気業界の仕事を選びましたか?
⑦ 日本へ来て印象深かったことを教えてください。

【NGUYEN TRUNG KIEN(グエン チュン キエン)さん】

① 研修を受けて、日本の電気保安協会に勤める人々の研修方法や会社の働き方にプロ意識を感じました。改めて電気保安の重要性を認識しましたので、知識の習得を頑張りたいです。

② 最初は不安もありましたが、みなさんが助けてくれたおかげで安心して研修に取り組めています。早く仕事に慣れ、協会に貢献できるよう努力したいです。

③ 研修終了後は現場で実践し、経験を積んで将来に活かしていきたいと考えています。

④ 研修が始まった最初の数日間は、みなさんの話すスピードに圧倒されてしまい、ほとんどコミュニケションをとることができませんでしたが、先生や友だちの助けを借りながら、講義を理解していきました。自分から意見や質問を伝えることが非常に大変でしたが、少しずつ打ち解けていきました。

⑤ 墜落制止用器具の学習当日は、装備に関する難しい用語が頻出したので苦労しました。休憩時間を利用して用語を調べながら、研修に取り組みました。努力した分、理解スピードも上がった気がします。

月次点検研修(CB型キュービクル内設備の温度測定を行っているところ)

⑥ 世の中に電気がなければ、人々の生活は困難なものになります。電気は今後も必要不可欠ですし、なくてはならない存在です。そのため、将来的にも安定したキャリアを築けると思い、電気業界を志望しました。

⑦ 初めて日本に来たとき、日本の広大な自然に大きな感銘を受けました。私が住んでいる寮でも、4月は桜を彩る街並みがみえ、とても心が躍りました。

【NGUYEN DUC GIANG(グエン ドゥック ザン)さん】

① 外国人として入社するのは初めてとのことで、最初はとても不安でした。しかし、研修中では同僚や講師の先生がいつでもフォローをしてくれるおかげで、少しずつ慣れていくことができました。

② 新しい挑戦に対して常に情熱を持って取り組みたいです。新たなプロジェクトや目標に向かって、自分の能力を最大限に発揮し、成功に向かって努力します。

③ 日本の電気業界は安全性が高いことで知られており、年間の電気事故は世界各国と比べて比較的少ないのが特徴です。そのようなレベルの高い電気保安に関わる仕事に就き、多くの経験を積みたいと思っています。将来は検査員として、電気保安に関わっていくことを目標としています。

④ 日本語に不慣れな私は、先生の話すスピードについていけないこともありますが、周囲の先輩や先生が繰り返し説明してくれるので、理解を深めることができました。日々、みんなのサポートがとてもありがたいと感じます。

⑤ 私は大学三年生のときに、日本語と電験三種の勉強を始めました。日本語は非常に難しいですが、徐々に慣れ、困難な時期を乗り越えることができました。

お客さまの設備データを作成する点検管理研修

⑥ 電気業界の仕事に興味を持った理由はいくつかあります。一つは、電気が現代社会において不可欠な要素であり、私たちの生活や産業に多大な影響を与えていることです。もう一つは、電気技術はつねに進化しており、新しい技術やイノベーションが生まれるたびに私たちの生活が変わっていくという面白みがあることです。このような先進的な分野で働くことは、学びと成長し続ける機会があると感じました。

⑦ 日本へ来て印象的に感じたことは、文化や風習の豊かさ、そして人々の礼儀正しさです。日本はおもてなしの文化が根付いており、お客様一人ひとりを大切にしています。レストランやホテルでのサービスなど、どこに行っても温かく迎えてくれるので安心して過ごすことができています。

【BUI THANH HONG(ブイ タイン ホン)さん】

① 4月からの研修で、協会や電気保安業務、仕事のマナーを深く理解できるようになり、プロフェッショナルになったのだと感じました。

② 新しい専門知識を学び、学んだことを実践していきたいです。

③ 日本語が上手に使えるようになり、将来は検査員として働きたいです。

④ 他の研修生も言っていますが、研修が全て日本語のため、はじめは理解するのが困難でした。

⑤ 専門的な日本語が多く、とにかく慣れることに必死でした。

⑥ 高校生の頃は電気や電気機器に興味があったので、電気関係の仕事がしたいと考えました。

⑦ 日本の食べ物はとても美味しく、桜をはじめ、四季を感じることができるのは素晴らしいなと感じました。そうした日本の良さを感じながら、これからも日々、学んでいきたいです。

【LE QUANG TUAN(レー クアン トゥアン)さん】

① 4月より関東保安協会技術研究所で研修に参加していますが、そこで気づいたことは、同協会の職員はみな非常に熱心で情熱を持って勤務していることでした。慣れないことも多くありますが、みなさんがしっかりフォローしてくださるので、とても安心して研修に励んでいます。

② 関東電気保安協会は日本の電気の安全を守る会社です。電気を使用するすべての人の安全を確保するために、知識を早く身につけていきたいです。

③ 関東電気保安協会へ貢献するため、日々、日本語と電気の知識を学んでいます。将来は検査員として働きたいです。

④ 関東電気保安協会技術研修所は保安スタッフのスキルを向上させるための設備が整っており、作業中も事故が起きないよう、大変、安全に配慮されています。研修ではたくさんの指導を受けましたが、私の日本語がまだ十分ではなく、電気の専門知識や電気機器以外に、日本語も同時に学ばなければならず、非常に努力をしました。

非常用発電機点検

⑤ 二年前、大学で勉強しながら電験三種の勉強をはじめましたが、日本語と法規科目にかなりの時間を費やしました。結果、合格できたので、これからは業務で成果を上げていきたいです。

⑥ 電気は何千年もの間人類によって研究されてきた分野の一つです。電気は生活や生産活動において非常に多くの役割を果たしていますし、現代の技術においては、電気と電子が社会生活の発展と共に、人々の生活の質を向上させています。電気の仕事を通して、電気の分野がさらに発展し、人々が安全に電気を使用できるように貢献したいと考えています。

⑦ 人々の礼儀正しさと規律のある態度、豊かな文化と伝統、多種多様な料理、美しい自然の風景、そして現代的な公共交通機関のシステム…とにかくあらゆるものが刺激的で感動しました。とくに美味しかったのは鰻丼です!

まとめ

4人とも日本語を学びながらの研修だったため、大変な努力をしたことが伝わってきました。今回ご紹介した4人の研修生も、これから電気の安全を守るために、たくさん活躍してくれることでしょう。電気業界では、興味がある人は誰でも学ぶことができ、誰もが活躍できる環境が整っているのです。

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WattMagazine編集部 編集長

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