技術職も事務職も経験したからこそ見えた「電気の安全を支える仕事」―幅広い経験を糧に電気の安全を守る沖縄電気保安協会の島さんインタビュー

更新日:2026.10.05投稿日:2026.10.05

「技術者として成長したい」。その思いを胸に、第三種電気主任技術者の資格を取得し、技術職として沖縄電気保安協会へ入社した島 明貴康(しま・あきやす)さん。技術職として現場を経験した後、総務部への異動という珍しいキャリアを歩み、現在は再び保安業務の最前線で活躍しています。現場と事務、両方を経験したからこそ得られた視点とは何か。これまでの歩みや仕事のやりがい、そして将来の目標について伺いました。

現場経験と総務経験を経て、再び保安業務の第一線に立つ

――入社から現在に至るまで、配属された部署と業務内容についてそれぞれ教えてください。

私は2024年4月1日に、技術職として沖縄電気保安協会へ入社しました。入社後は那覇支店業務グループに配属され、保安業務の補助者として約半年間、設備の点検や改修業務に携わりました。さまざまな先輩職員に同行し、現場での実務を通じて保安業務の基礎を学んだ後、人事異動により総務部へ。約1年半にわたり、理事会資料の作成や健康診断、安全衛生委員会の事務局業務など、幅広い業務を担当しました。

現在は再び那覇支店業務グループに所属し、保安従事者として月次点検や年次点検に従事しています。月次点検は基本的に一人で担当し、年次点検や精密点検ではチームで連携しながら、高圧電気設備の保守・点検業務を行っています。なお、1日のスケジュールは次の通りです。

電気主任技術者として働く島さんの一日の流れ

幼い頃に抱いた思いから電気主任技術者への道へ

――島さんが電気および電気業界に興味を持ったきっかけを教えてください。

「幼い頃から電気工事士として働く父の姿を見て憧れを抱いていました。高校は普通科へ進学しましたが、物理の授業で電気分野について学ぶうちに、改めて面白さを実感。その体験が幼い頃から見てきた父の仕事と結び付き、電気分野への関心がさらに深まっていったんです。

『もっと電気について学びたい』との思いで大学は工学部電気システム工学コースへ進学し、電気工学の基礎から専門知識まで幅広く学びました。卒業後は、電子基板を扱うメーカーへ就職し、おもに弱電分野の業務に携わります。生まれ育ちは沖縄県ですが、一度県外で働いてみたいという思いと、電子基板の設計に携われる仕事に魅力を感じ、県外のメーカーへの就職を選びました。

しかし、仕事を続けるなかで、学生時代から興味を持っていた電力分野への思いが改めて強くなり、高圧受変電設備の保安業務に携わりたいと思うように…。働きながら第三種電気主任技術者の試験取得を目指して勉強を重ね、入社一年目で合格することができました」

――電験三種は難関資格として知られていますが、働きながら合格を勝ち取るには相当の努力をされたのではないでしょうか?

点検作業中の島さん

「そうですね。大学受験のときより勉強したかもしれません(笑)。仕事と両立するため、日常生活のちょっとした時間を無駄にしないよう、工夫しました。公式や重要事項を書いた紙を冷蔵庫に貼り、ご飯を食べているときに自然と目に入るようにするなど、生活動線の中で無理なく学習できる環境をつくっていましたね」

――その後、沖縄電気保安協会へ入社されました。転職活動で大切にしていたこと、そして沖縄電気保安協会を選んだ理由を教えてください。

「就職活動で軸にしていたのは、『電気主任技術者の資格を最大限に生かせる環境で働くこと』でした。

沖縄電気保安協会は知り合いが勤めており、業務内容や会社の雰囲気について、以前から話を聞いていましたし、『働きやすいし、すごく良い職場だよ』とリアルな声を聞く機会があったんです。身近な人たちの言葉を通して、自分がやりたい仕事と一致していると感じられたことが、転職を決意する大きな後押しになりました。

また、沖縄電気保安協会は、県内でも保安管理業務のスペシャリストが多く在籍する組織として知られています。将来的には、電気主任技術者として知識と経験を積み、高い専門性を有するスペシャリストになりたいと考えていた私にとって、理想的な環境だったんです」

異なる職種を経験したからこそ得られた視点

――中途採用で入社されましたが、入社後はどのような研修を受けましたか。

「研修では技術職としての知識や実務をメインとしながら、営業など他部署の業務について概要を学ぶ機会もありました。技術職は約3カ月間、先輩職員に同行するOJT(※)が中心です。実際の現場で点検方法や安全管理、お客様への対応などを一つひとつ学びながら、保安業務に必要な技術や判断力を身につけていきました」

※On-the-Job Trainingの略。職場の上司や先輩が新入社員に実際の仕事を通して知識や技術を教える、職場内訓練のこと

事務作業、電話応対中の島さん
事務職時代の経験があるからこそ、事務作業がスムーズにこなせる。

――現在は再び技術職としてご活躍されていますが、事務職での経験が活きることはどんな時でしょう。

「技術職から総務部へ異動し、その後再び技術職へ戻るというキャリアは、協会の中でも珍しいケースだと思います。総務部でどのような手続きが行われ、どのような資料が必要になるのかを理解できていることは私の強みです。先輩や同僚が申請書類を作成する際には、『この資料も添付すると分かりやすいですよ』『このシステムから申請できますよ』とアドバイスすることがあります。総務部が確認しやすい書類を作成できれば、確認作業の負担を軽減できるだけでなく、技術職側も修正や再提出の手間を減らすことができるんです」

――総務部に所属していた際に、もっとも印象に残っていることは?

「総務部では、理事会資料の作成をはじめ、さまざまな業務を経験しました。中でも印象に残っているのは、役員の方々が集まる理事会に向けた資料の準備です。正確さはもちろん、分かりやすさや細かな配慮、的確に伝える能力まで求められるため、技術職とはまた違った難しさがありました。

この経験を通じて、相手の立場を考えながら資料を作成する力や、丁寧に仕事を進める姿勢が身についたと感じています。そうした経験は、現在の保安業務でお客様や関係者へ説明する場面や、書類を作成する際にも活かされています」

現場への移動は電気保安協会の社用車で。
点検の際は社用車で移動。安全運転も大事な業務のひとつ。

――その中で、特に学んだことがあれば教えてください。

「総務部では部署を横断して多くの職員と関わる機会があり、会社全体の業務の流れや、それぞれの部署が担う役割を深く理解することができました。約1年半の経験を通して視野が大きく広がり、技術だけではなく、組織全体を見渡す視点を身につけられたと思います。

当初は技術職としてキャリアを積むことを考えていたため、総務部への異動は予想外だったのですが、今振り返ると、この経験は自分にとって大きな財産になっています」

――技術職と事務職の両方を経験したことで、どのような気づきがありましたか。

「技術職と事務職では、お互いの仕事内容を詳しく知る機会は意外と多くありません。しかし、部署同士が円滑に連携するためには、お互いの仕事を理解し、相手の立場を意識することが重要だとわかりました。両方の立場を経験し、業務の流れや背景を理解できたことで、より良い協力体制や業務改善につながると感じたためです。

今後も技術職と事務職の両方で培った経験を活かし、組織全体をより良くする仕組みづくりに貢献していければ嬉しいですね」

技術もチームワークも磨ける!保安業務の奥深さ

保安協会の石碑の前で

――技術職ならではのお仕事の面白さを教えてください。

「入社後、先輩たちに同行して驚いたのは、同じ点検でも人によって進め方が異なることでした。たとえば電圧測定一つをとっても、設備に備え付けられたメーターを確認する人もいれば、測定器を使って測定する人もいます。どちらも正しい方法ですが、それぞれが経験を重ねる中で、自分にとってもっとも効率的で確実なやり方を見つけているんです。

『同じ仕事でも、自分なりのスタイルを築ける』というところに、この仕事の面白さを感じました。私自身も日々試行錯誤を重ねながら、自分なりの点検方法を磨いています!」

――仕事を通して、やりがいを感じるのはどのようなときですか。

「もっとも達成感を味わえるのは年次点検ですね。月次点検は基本的に一人で担当しますが、年次点検ではチーム全員が連携し、限られた時間の中で安全かつ確実に作業を終えなければなりません。

以前、コンビニエンスストアの年次点検を担当した際は、食品の品質や営業への影響を考慮して、停電できる時間はたった30分というケースがありました。この限られた時間の中で、メンバー全員が役割を理解し、測定や点検をスムーズに終えられたときは、大きな達成感がありましたね。『無事に終えることができた』という安心感とともに、チームで一つの仕事を成し遂げる喜びを強く感じました。

年次点検では、事前準備や作業手順の共有も非常に重要です。作業前にメンバーへ手順を説明したり、全体の流れを整理したりする場面では、総務部で培った『相手に分かりやすく伝える力』や『調整力』が役立っています。技術職は、お客様への説明や関係者との調整など、「人と円滑に仕事を進める力」も求められる仕事です。そのため、総務部で培ったコミュニケーション力や調整力は、現在の業務にも大いに役立っています」

多様な経験を力に、唯一無二の保安管理業務のスペシャリストを目指す

――沖縄電気保安協会ではどのようなキャリアを築くことができるのでしょう。

「技術職は現場で経験を積みながら専門性を高めていくのが基本ですが、希望すれば営業職や事務職など、他部署へ挑戦する機会もあります。現場で技術を磨くだけでなく、新たな分野にチャレンジできる環境があるため、自分らしいキャリアを描ける職場だと思います」

――島さんは今後、どのような技術者を目指したいですか。

「目標は、お客様に寄り添い、信頼される保安管理業務のスペシャリストになることです。点検で設備の異常や改善点を発見した際には、その内容を分かりやすく説明するだけでなく、設備更新や改善方法まで適切に提案できる技術者になりたいと考えています。

そのため現在は、第二種電気主任技術者(電験二種)の資格取得に挑戦しています。沖縄電気保安協会には資格取得者への報奨金制度があり、学び続ける職員を後押ししてくれる環境があるんです。勉強は自己啓発として取り組んでいますが、仕事と両立できるようスキマ時間を活用しながら少しずつ学習を続けています」

――仕事と勉強の両立は大変ではありませんか?

「現在は上司が担当件数を調整してくれていることもあり、無理なく業務に取り組めていますし、基本的には定時で退勤できる日が多く、仕事とプライベートのメリハリをつけながら勉強時間も確保できています。休日はオートバイでツーリングに出かけたり、キャンプを楽しんだりしてリフレッシュしています。自然の中で過ごす時間が、仕事への活力にもつながっているんです」

島さんの大事な愛車。趣味はツーリング!
休みの日は愛車でツーリングへ。

――島さんがお仕事をするうえで大事にしていること、心掛けていることを教えてください。

「分からないことをそのままにせず、自分で調べたり、先輩や上司に確認したりしながら、一つひとつ確実に進めることを大切にしています。電気は私たちの生活に欠かせない便利な存在ですが、一歩間違えれば大きな事故につながる危険性がある。だからこそ、安全確認やルールの徹底を常に意識し、慎重に作業を行うことが重要なんです。

また、自分の担当作業だけに集中するのではなく、『今、ほかのメンバーは何をしているのか』『次にどのような作業が必要になるのか』を常に考えながら行動することも意識しています。年次点検はチームで進める仕事です。一人ひとりが周囲の状況を把握し、お互いに声を掛け合いながら連携することが、安全で効率的な作業につながると考えています」

多彩な経験を積みながら、人々の暮らしを支える仕事

――チームや会社の雰囲気は?

「現在所属しているチームはもちろん、協会全体が穏やかで相談しやすい雰囲気です。私のチームは20代から60代まで幅広い年代の職員が在籍していますが、年齢に関係なく意見を言いやすく、困ったことがあれば気軽に相談できます。風通しが良く、お互いに助け合う文化が根付いているので、とても働きやすい職場だと感じています」

――電気保安協会で働く魅力についてお聞かせください。

沖縄電気保安協会は、県内でも数多くの電気設備を担当しているため、さまざまなお客様や設備に携わることができるため、保安管理業務だけでなく、設備改善の提案や調査業務など幅広い仕事を経験でき、技術者として多くの知識や経験を積めることが大きな魅力です。また、お客様ごとに設備や環境が異なるため、毎回新しい発見があります。普段は立ち入ることのできない場所へ入る機会も多く、日々変化があるので飽きることがありませんね」

――さいごに、電気業界を目指す方へのメッセージをお願いいたします。

「電気は、今や私たちの暮らしに欠かせない社会インフラの一つです。電気業界は人材不足が続いていますし、資格取得のハードルもあるため、決して簡単な仕事ではありません。しかし、その分、技術を身につければ長く活躍でき、人々の暮らしを支えていることを日々実感することができます。設備の不具合を解消し、お客様から『ありがとう』と言っていただけたときや、安心して電気を使っていただける環境を守れたと感じたときは、この仕事ならではの大きな達成感を得られますよ。

電気に少しでも興味がある方は、ぜひ一歩踏み出して挑戦してみてください。一緒に電気の安全を支える仲間として働ける日を楽しみにしています!」

プロフィール

沖縄電気保安協会

島 明貴康(しま・あきやす)さん

那覇支店 業務グループ所属

沖縄電気保安協会のホームページはこちら

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