職業紹介のエージェントが語る!人材不足時代の今、電気保安業界で求められる人材・望まれる職場とは

更新日:2026.06.10投稿日:2026.06.10

電気主任技術者は、「電気を止めない」「事故を起こさない」という社会インフラの“当たり前”を支える存在ですが、近年は有資格者の高齢化や資格取得者数の減少により、電気保安人材の確保が業界全体の課題となっています。この記事では、日本電気協会の職業紹介エージェント事業で副課長を務める小澤さんと主任の今井さんにインタビューを実施。現場で実際に寄せられている求人ニーズや、求職者が求める働き方、今後の業界トレンドなどについて詳しく伺いました。

企業が求めるのは「一緒に働きたいと思える人」

――電気主任技術者は、電気設備の保安管理を通じて産業や暮らしを支える存在であり、社会の安全・安心・発展に不可欠な役割を担っています。決して目立つ仕事とは言えませんが、日本の産業基盤を陰で支える非常に重要な国家資格者です。

今井「電気主任技術者は単なる設備管理者ではなく、企業の安定操業や社会的責任を支える技術専門職として、その価値は今後さらに高まっていくといわれています。また、身につけた知識や経験を活かし、長く活躍できる仕事でもあります。しかし、有資格者の高齢化や資格取得者の減少に伴い、電気保安人材の確保が課題となっているのが現状です。

日本電気協会では、基本事業の一つとして『電気技術者の確保・育成』を掲げ、その取り組みの一環として職業紹介事業を展開しています。事業開始から8年目を迎え、現在では累計900名以上の電気主任技術者にご登録いただいており、契約企業数も100社を超えました。紹介実績は関東圏にとどまらず、全国各地へと広がっていますので、業界のリアルな状況を踏まえながら、求職者と企業双方に寄り添ったサポートを行うことができるんです」

――そうなんですね。現在、企業側からはどのような人材が求められているのでしょうか?

人材育成事業部の主任を務める今井さん
人材育成事業部の主任を務める今井さん

今井基本的には、選任経験のある即戦力人材へのニーズが高いですね。ただ、実務経験がなくても、育成前提で採用を行っている企業様もありますので、コミュニケーション能力、仕事への熱意、問題解決能力など、一緒に働きたいと思える人柄も重視されている傾向があります。加えて、将来的な成長性、周囲と連携できるチームワークも重要視されていると感じます」

―― 一方で、求職者側はどのような職場を望んでいますか?

小澤「経営層と現場の風通しが良く、電気保安業務への理解がある職場を求める声が多くあがっています。また、“電気のスペシャリストとして成長したい”という方も多く、設備保全全般を広く担当するよりも、電気主任技術者として業務に集中できる環境を希望されるケースもあります。

資格取得の難易度や業務内容に見合った給与・待遇を重視する傾向も強く、資格取得後、これから実務経験を積みたいという方も多いため、研修制度や教育サポート体制が整っている企業への関心も高まっています」

――電気主任技術者には3種・2種・1種とございますが、求人需要に違いはありますか?

小澤「当会では、工場の選任業務や発電所関連など、電験2種以上を対象とした求人が最も多いですが、その一方で、都市部ではビル管理業務や電気保安法人など、電験3種の資格を活かせる求人も数多く寄せられています。なお、電験1種のみを対象とした募集は、現状ではほとんどありません」

「実務経験がない問題」を解決しながら成長できる環境がある

人材育成事業部の副課長を務める小澤さん

――「資格はあるけれど実務経験がない」という悩みもよく耳にします。

小澤「もちろん、実務経験があるに越したことはありません。ただ、未経験でも受け入れてくれる企業様はあります。たとえば、しっかりとしたスキームを構築し、3〜5年かけて実務経験を積み、電気保安従事者として独り立ちできるようサポートしているケースもあります。

工場などでは、現在の電気主任技術者が高齢化しており、後任者を探しているケースが増えています。そのため、現任者から直接指導を受けながら、将来的に選任を引き継いでいくという育成型の採用も多く見られますね」

――最近の求人トレンドについても教えてください。

今井「全国的に電気主任技術者の高齢化が進んでおり、後任人材を探す相談が非常に増えていますので、実務経験の有無にかかわらず若手層の需要は高いです近年では蓄電池関連の求人も増加傾向にあるとは言え、依然として需要が多いのは工場やビル管理分野です。また、セカンドキャリアとしてシニア層を歓迎する企業も増えています。経験豊富なベテラン技術者への需要は、今後も高まっていくでしょう」

「自分が本当に活躍できる場所は――?」比較のためにも他社を知ることが大切

――電気主任技術者を採用する企業さまにお伝えしたいことはありますか?

小澤「電気主任技術者は、専門知識や経験を活かして事故やトラブルを未然に防ぎ、企業の継続・発展を支える重要な存在です。

採用面においても、電気保安業務への理解がある企業ほど人材確保の面で優位性を発揮していると感じています。今後の企業価値向上や持続的な成長を実現するためにも、電気主任技術者の役割と重要性を改めて認識し、適切な体制整備や人材活用を進めていただければ幸いです」

人材育成部の今井さんと小澤さん

――最後に、求職者さまへのメッセージをお願いします。

今井「求職者様の中には、前職ではなかなか活躍の機会に恵まれなかったものの、新たな環境で会社から信頼を得て、現在は選任の電気主任技術者として活躍されている方もいます。

現職を続けるべきか迷われている場合でも、比較のために他社を知ることは非常に大切です。実際に他の職場を見てみることで、新たな選択肢や可能性が見えてくることもありますから。日本電気協会では企業見学会なども実施しておりますし、私たちも同行しながらサポートしていますので、まずは気軽にご相談いただければと思います」

小澤「以前、都市部で仕事を探されていた方がいらっしゃったのですが、希望条件に合う求人がなかなか見つからない状況が続いていました。何とかその方に活躍の場をご提案したいと思い、何度もヒアリングを重ねていったところ、『勤務地よりも、自分が本当にやりたい業務に携われる会社で働きたい』という思いに求職者様もお気づきになりました。その結果、最終的には秋田県での就職を決断されました。

求職活動では、条件だけでなく、『どんな仕事に携わりたいのか』『どんな技術者になりたいのか』を見つめ直すことも大切だと感じています。一人ひとりに合った活躍の場は必ずありますので、ご本人が納得できる選択ができるよう、しっかり寄り添いながら最適なご提案をしていきたいと思っています」

――勤務地や条件だけではなく、「この先、自分がどんな技術者として働きたいか」を見つめ直すことが、キャリア選択において重要なのかもしれません。

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プロフィール

小澤優太さん

日本電気協会 人材育成事業部(人材紹介) 副課長

今井美希さん

日本電気協会 人材育成事業部(人材紹介)主任

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