自衛隊時代の過酷な訓練が現職の土台になっている〜ラインマンとして活躍する四電工の福田さんインタビュー

更新日:2026.05.27投稿日:2026.05.27

福田さん

陸・海・空を問わず、過酷な状況下でも任務遂行能力を養うために厳しい訓練を行っている自衛隊員の方々――。ここで培ってきた経験、学びがあるからこそ、どのような環境に置かれた場合も乗り越え、成長の糧に変えることができるのかもしれません。現在、(株)四電工でラインマンとして業務を行っている福田陸斗(ふくだ・りくと)さんは、自衛隊の任期を終え、未経験で電気業界へ飛びこんだ一人です。「当初は不安もあったけど、自衛隊での経験があるから大丈夫だと思った。」そう語る福田さんに、現在のお仕事から自衛隊時代の経験が活きていると感じる瞬間、仕事を通して大事にしていることなどを伺いました。

根幹にあるのは「社会のために役立ちたい」という思い

――福田さんの現在のお仕事内容とこれまでのご経歴について教えてください。

地元である香川県の普通科高校を卒業後、消防士を目指して公務員の専門学校へ入学。その後、さまざまな経験を積みたいと考え、消防の道ではなく、自衛隊へ入隊しました。
香川県の第15即応機動連隊で自衛官候補生として3ヵ月ほど訓練を積んだ後、高知県にある第50普通科連隊に配属され、小銃小隊の一員として、主に小銃の射撃訓練や砲軍などの訓練を行っていました。
自衛官としての任期を終え、現在は(株)四電工の架線工事課に所属し、送電線の工事に従事しています。

――どのようなきっかけで自衛隊への就職を選んだのでしょうか。

専門学校へ自衛官の方が就職説明に来てくださった際に、災害派遣や海外での訓練、具体的な業務について伺ったことがきっかけです。もともと、人を助ける仕事をしたいと考えていましたし、中学生ではバスケットボール部、高校生ではレスリング部所属と、体力にも自信があったので、「自分にピッタリだ」と感じたんです。

旧線(古い線)を撤去し新線を延線する作業を行っている
旧線(古い線)を撤去し新線を延線する作業を行っているところ

――自衛隊の任期を満了後、四電工へ入社されていますが、数ある業種の中から「ラインマン」を選んだ理由および、四電工様を選んだ理由を教えてください

体を動かすことが好きなので、その好きなことを通じて社会に貢献できる仕事を軸に就職先を探しました。その中で、人々の生活を支えるライフラインに関わる仕事に大きな魅力を感じ、ラインマンとして働きたいと考えるようになったんです。

ラインマンとして活躍できる企業を探していた際に、福利厚生や資格取得支援が充実しており、安心して仕事ができると考え四電工を志望しました。未経験でしたし、電気に関する知識も資格も持っていませんでしたが、担当者の話を聞いて、未経験者でも受け入れ、育ててもらえる環境があると感じ、入社を希望しました。

――自衛官から電気業界。大きく環境が変わりますが、未経験から送電線業務へ飛び込むことに対し、不安はありませんでしたか?

正直なところ、当初は不安でいっぱいでした。完全に未経験でしたし、高所作業や高圧電力を扱う作業に対して「本当に自分に務まるのだろうか」と感じていたからです。しかし、自衛隊員として厳しい訓練に立ち向かってきたこと、そこで培った体力と忍耐力があれば乗り越えられると自分を信じ、思い切って挑戦しました。

――入社前は、電気業界(送電線業務)にどのような印象を持っていましたか。

ざっくりとしたイメージではありますが、危険を伴い、専門性の高い仕事であるため、非常に厳しい世界という印象でした。その一方で、社会に欠かせない仕事であり、やりがいも大きいだろうなと感じていましたね。

一から学び、資格を取得。文系出身でも努力と根性で乗り越えられる

――「社会のために役立ちたい」という思いでお仕事と向き合ってきた福田さん。実際に入社して、電気業界や仕事について、入社前とどのように印象が変わりましたか。

厳しさは想像以上でしたが、それ以上にチームワークの強さと大切さを強く実感しました。一人ではできない仕事だからこそ、仲間との連携が何よりも重要です。チームワークという観点では、自衛隊時代に培った経験が大いに活かされている気がします。自衛隊でもリーダーの指示のもと、常にチームで行動し、テキパキ動くことが当たり前でしたので。

鉄塔での作業を行う福田さん。できることが増えて仕事が楽しいという。
できないことが少しずつできる喜び。日々の現場に学びあり!

――前職の経験がしっかり活きてらっしゃるんですね。入社後にどのような資格を取得されたのでしょう。

入社後には4ヵ月間の研修期間が設けられており、その間に第二種電気工事士をはじめ、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者、ドローン操縦の国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を取得し、高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育を修了するなど数々の教育を受けました。会社の手厚いサポート、励ましてくださる先輩たちがいたため、挫けることなく頑張ることができたのだと思っています。

ただ、第二種電気工事士の資格については少し苦戦しました。高校では文系を選択していましたし、理系科目が得意だったというわけではないんです…。電気についてはほとんど学んでこなかったので、本当に一から勉強をはじめました。

――通常の仕事もしながらなので、本当に大変だったと思います。限られた時間の中で、第二種電気工事士の資格を取得するために勉強で工夫をしたことはなんでしょうか。

とにかく、ひたすら勉強しました。過去問を何周も何周も解いて出題傾向を把握していきながら、2回目で試験に合格。実技については先輩たちにサポートしてもらいながら、理解を深めていった感じです。仕事をしながらでしたので、隙間時間を使ってどのように効率的に勉強するか、学習の進め方や時間の使い方を見直すきっかけにもなりましたね。

――多大な努力のもと、資格を取得し、現在は現場で活躍されている福田さんですが、お仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

電線の張り替えや移設などの大きい工事が無事に完了したときや、自分が関わった設備へ電気が送られたときに、「この仕事を通じて、自分が社会を支えているんだ」という実感とともに、大きなやりがいを感じます。

最初は現場の流れについていくことで精一杯でしたが、経験を積んでいく中で少しずつ自分ができる作業が増えて、先輩方に褒めてもらえる機会も増えました。そのたびに、努力が認められる喜びと「自分もこの現場の一員として役に立てている」ことを実感します。

電気のお仕事は、現場によって命に関わる危険も伴いますし、一歩間違えれば大きな事故につながる可能性があります。だからこそ、現場の危険性を理解するまで先輩たちの指導も厳しくなる。その度に、安心・安全にライフラインをつなぐプロフェッショナルとして、気持ちが引き締まるんです。

事務作業中の福田さん
事務作業もサクサクこなしています。

自衛隊時代に培ってきた経験が今の仕事の土台になっている

――現場に入って気づいた、陸上自衛隊と送電線業界における「共通点」について教えてください。

命に関わる仕事という点で、規律の厳しさや安全意識の高さ、そしてチームで動くことの重要性が共通していると感じました。実際に、自衛隊時代に経験したこと、学んだことが現在の仕事に活かされていると感じる場面は多くあります。特にモノの管理や落下防止、整理整頓を徹底するという意識は、自衛隊で身につけた大切な習慣のひとつです。安全な環境で作業に取り組めるようにと、常にこれらを意識しながら業務にあたっています。

――チームワークという観点で、工夫されていることは?

そうですね。たとえば真夏の現場。ラインマンの仕事は屋外作業が多いため、熱中症対策は欠かせません。こまめな水分・塩分補給を心がけることに加え、会社から支給された熱中症対策ウォッチも活用して対策を行っています。危険な状態になると音と光で知らせてくれるため、本人だけでなく周囲の仲間もすぐに気づくことができ、休憩を促したり、フォローしたりできる仕組みを構築しているんです。

チームが一つになって業務を遂行するために、自然とまわりの状況を確認したり、こまめに声掛けしたり、コミュニケーションをしっかりとる環境がありますね。

――自衛隊時代に培った習慣の中で、特に今の会社で活かされていると思う点はどのような点でしょうか。

報連相(報告・連絡・相談)の徹底や時間厳守、体力面は今の現場でも確実に活きています。なかでも、厳しい状況下でもやり抜く力は、私の大きな強みです。
実際に、山の中に鉄塔がある現場では、現地にたどり着くまで重たい荷物を背負いながら山道を歩かなければならないこともあります。自衛隊時代には行軍という40kmを徒歩で移動する訓練を経験しましたので、その体力と精神力で乗り越えることができていると思います。

オンオフのバランスが取れるから、仕事に全集中できる

――ワークライフバランスなど、自衛隊時代と比べてどのように変わりましたか。

自衛隊時代は十人部屋で共同生活をしていたので、仕事とプライベートの境目がほとんどなく、オンとオフの切り替えが少し難しいところがありました。現在は仕事が終わったらしっかり自分の時間を確保できて体を休めることができますし、趣味や勉強に時間を使えるようになり、ワークライフバランスがしっかり保てています。ちなみに、趣味は筋トレ、飼っている犬との散歩、ドライブです。

休日は筋トレで肉体作りをしています。
休みの日にジムで筋トレに励む福田さん。

――現在のお仕事もお忙しいように思いますが、残業は多いですか?

朝早く出勤することはありますが、残業は少なく、土日祝日はしっかり休みを取れます。自衛隊時代は基本的に週末しか外出できませんでしたが、今は当日の仕事が少し大変だったなと感じたら、就業後に温泉やサウナへ行って疲れを癒し、リラックスすることができる。自分自身で心身の調整ができ、仕事とプライベートのバランスが良い感じに取れているんです。

――仕事を通して福田さんが最も大事にしていることとその理由について教えてください。

特に報連相を大事にしています。現場では一つの判断ミスが大きな事故につながりますから、わからないことがあったり、少しでも不安があったりした場合は、自分で判断せず、すぐに先輩や上司に声をかけて必ず確認するようにしているんです。また、相談する内容を結論から簡潔に伝えることも意識しています。そうすることで、ミスを減らすだけでなく、周りとの連携もスムーズになるからです。

――今後、福田さんがチャレンジしていきたいことは。

電気業界でキャリアを積みながら、ゆくゆくは一人でも仕事を任されるようになりたい。そのために、まずは資格を取得することを目標に掲げ、第一種電気工事士や施工管理技士の資格を取得してスキルアップを図りたいと思っています。また、今年の8月には後輩が一名入ってくる予定ですので、私自身もより多くの知識と経験を積み、先輩としてしっかりと指導ができる存在になりたいですね。

自衛隊出身者なら、必ず電気業界の厳しさも乗り越えられる!

――自衛官から電気業界へ転身して良かったと感じることを教えてください。

一番は環境が変わったことです。仕事とプライベートのメリハリがついたことで、自分の時間を確保できるようになりました。リフレッシュする時間が増えたことで、自分にとって“良い状態”で仕事に向き合えるようになったんです。プライベートの充実がポジティブマインドにもつながっている気がします。

現場へ向かう際の運転も慣れてきました。
入社から1年。充実の毎日を送る福田さんの顔は自信に満ちている。

――ラインマンに向いている人は、どんなタイプの方だと思いますか。

もちろんやる気も重要ですが、それ以上に安全意識を持って仕事ができる人がこの仕事に向いています。一つのミスで大きな事故につながるため、決められたルールを徹底して守ることがラインマンには求められるからです。

私自身も未経験でこの業界に飛び込みましたが、日々、粘り強く努力を重ね、少しずつスキルアップしてきました。未経験であっても、やる気があり、ルールをしっかり遵守できる方であれば、間違いなく活躍できる環境がある。それがこの業界だと思います。資格についても、研修やサポートが充実しているため、真摯に取り組めば文系出身の方でも突破することができますよ。

――退任後の進路を悩んでいる後輩に伝えたいことを教えてください。

送電線工事の業界は、自衛隊で培ってきた体力や規律、チームで動く力をそのまま活かせる仕事です。 私自身も未経験からのスタートでしたが、四電工は研修やサポート体制がしっかりしているので、安心して覚えていくことができました。最初は不安もあると思いますが、自衛隊として過酷な訓練に耐えてきた方であれば、電気業界で必ず即戦力として活躍できる道がありますし、どんなシーンでも冷静かつ適切な判断で仕事に臨むことができるはずです。ぜひ、一歩踏み出し、挑戦してみてください!

どんな苦難も強靭な体力と精神力で乗り越えた自衛隊時代の福田さん
どんな苦難も強靭な体力と精神力で乗り越えた自衛隊時代。
一人前のラインマンを目指して日々奮闘中!の福田さん
一人前のラインマンを目指して日々奮闘中!の福田さん

まとめ〜直向きな姿勢で急成長。チームからの期待も熱い

福田さんの上司であり架線工事課長の川田さまは「真っ直ぐな瞳で『とにかく努力を惜しまず、ラインマンとして頑張ります』という言葉を聞いたとき、並々ならぬ覚悟を持って飛び込んできてくれたのだと感じた」と、当時の福田さんを思い出しながら語ってくれました。

先輩に指摘を受けても素直に受け入れてくれるため、厳しいながらもみんなが期待して指導をしてくれていると言います。今後、どんなに過酷な現場でも、彼ならきっと乗り切れる。この1年で凄まじい成長を遂げた福田さん。数年後、頼れる先輩として現場をまとめている勇ましい姿が目に浮かびました。

プロフィール

株式会社四電工 電力本部 建設部 中央建設所 架線工事課
福田陸斗さん

2021年4月に陸上自衛隊入隊。2025年3月陸上自衛隊退職後、4月に四電工へ入社。現在は架線電工として高所作業等に従事している。

会社公式ホームページ:https://www.yondenko.co.jp/

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自衛隊での経験は電気工事業界では「最強の武器」になる ~笹嶋工業㈱ 伊藤班長インタビュー~

自衛官時代に培ってきたチームワーク、徹底された体調管理、実践的な技能、現場での経験…。電気業界において、これらのスキルを備えた自衛官は即戦力になります。笹…

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