生活と電気
8月は電気使用安全月間!全国で進められる電気事故防止の取り組みとは
毎年8月は「電気使用安全月間(以下、「安全月間」)」です。昭和56年に通商産業省(現在の経済産業省)によって制定され、今年で46回目を迎える安全月間は、電気を安全に使用するための意識向上と、電気事故防止の普及啓発を目的として実施されています。
なぜ毎年8月が「電気使用安全月間」として定められているのでしょうか?その理由や具体的な取り組みについて解説します!
目次
どうして8月が電気使用安全月間なの?
8月が「電気使用安全月間」に定められている理由の一つは、夏は感電事故などの重大な電気事故が発生しやすい季節だからです。
日本の夏は高温多湿で、じっとりとした暑さを少しでも回避するために、半袖や短パンなど薄着になる機会が増えます。そのため皮膚の露出が多くなり、電気作業中の感電リスクが高まってしまうのです。また、暑さから絶縁用防具や保護具の着用がおろそかになったり、集中力が低下したりすることも事故の原因となります。
さらに、汗をかいたり雨で身体や衣服がぬれたりすると、電気が流れやすい状態となり、感電する危険性がぐんと高まり、場合によっては、命に関わる重大な事故につながることも…。
このような理由から、6月から8月にかけては感電による死傷事故など、重大な事故が発生しやすい傾向にあります。「電気使用安全月間」をきっかけに、家庭や職場で電気の安全な使い方を改めて見直し、電気事故の未然防止対策を考える機会にしましょう。
2026年の「電気使用安全月間」5つのテーマ
電気使用安全月間の取り組みは、(一社)送配電網協議会、電気保安協会全国連絡会、(一社)日本電設工業協会、全日本電気工事業工業組合連合会、全国電気管理技術者協会連合会、電気安全全国連絡委員会((一社)日本電気協会内)の6団体で構成される「電気使用安全月間連絡会議」が中心となり、その年の重点テーマを定めています。
そして各団体はそのテーマに沿って連携しながら、全国で電気の安全な使い方や電気事故防止を呼び掛ける啓発活動を展開しています。
● 見えない電気の危険を知り、配線やコンセントを見直すことで感電・火災を防ぎましょう ● 無資格者の電気工事は法令違反です、必ず電気工事士の資格を持った方に依頼しましょう ● 電気設備の点検作業を行う際は、安全に保守点検が行えるような対策を構築しましょう ● 受変電設備に立ち入る際は、事前に電気主任技術者に連絡しましょう ● 地震、雷、風水害などの自然災害に備えた電気設備の対策を講じ、安心・安全な生活を守りましょう
2026年度の電気使用安全月間はどんな取り組みがある?
2026年度の安全月間に関する主な行事や活動は次のとおりです。
① 電気保安功労者経済産業大臣表彰式の開催
8月4日に「第62回 電気保安功労者経済産業大臣表彰式」が開催されます。この表彰制度は、電気保安の確保や電気事故防止に優れた功績を挙げた工場や事業所、企業・団体、そして個人を経済産業大臣が表彰するものです。長年にわたり電気設備の安全管理や保安技術の向上、事故防止活動に尽力した方々を顕彰することで、電気保安の重要性を広く社会に発信するとともに、安全意識のさらなる向上につなげることを目的としています。
② 電気関係事業安全セミナーの開催
電気安全全国連絡委員会では、「電気使用安全月間」の取り組みの一つとして、毎年「電気関係事業安全セミナー」を開催しています。
第61回となる2026年は、「心理的安全性が守る現場力!~失敗を恐れない組織のつくりかた~」をテーマに、8月17日から9月30日までオンデマンド形式で配信します。第60回で話題に上がった、労働災害の防止には設備やルールの整備だけでなく、職場で安心して意見を言い合える「心理的安全性」の重要性について。今回のセミナーでは、この心理的安全性を切り口に、現場で起こりやすいコミュニケーションの課題やストレスへの対応、安全文化の醸成について学び、さまざまなストレス環境の解決の糸口を探ります。
プログラムでは、著名な講師による講演やパネルディスカッションに加え、「“安全を創る”人材育成と現場力向上」をテーマとした研究発表も実施。電気工事会社や建設会社などによる最新の安全教育の取り組みを紹介し、現場で実践できる安全対策や人材育成のヒントを得られる内容です!
③ 安全月間周知用のオリジナルポスターとパンフレットの作成

毎年安全月間に合わせて作成しているポスターのテーマは「あなたが防ぐ電気事故」。家庭や工場・事業所などの現場で起こりやすい電気事故の事例をイラストで分かりやすく表現し、一人ひとりが電気を正しく安全に使用することの大切さを伝えます。

一般向けのパンフレットは、すごろく形式を採用し、遊びながら電気を安全に使うためのポイントを学べる内容になっています。子どもから大人まで楽しみながら学べるため、家族で電気の安全について話し合い、日頃の使い方を見直すきっかけづくりに役立ちます。

高圧受電設備を有する事業所向けのパンフレットは、高圧機器の更新推奨時期や、設備の適切な維持管理のポイントを掲載し、設備の老朽化によるトラブルや波及事故を未然に防ぐために、事業者が押さえておきたいポイントをわかりやすくまとめています。
これらポスターやパンフレットは、各地区の安全委員会などを通じて全国に配布され、電気安全の普及啓発に活用されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
年間を通じて電気安全を啓発
また、電気安全全国連絡委員会では年間を通して電気安全に関する知識の普及や電気事故防止を目的としたさまざまな啓発活動を実施しています。
その一つが、電気保安に関するDVDの制作・販売です。2025年度には、新人の電気主任技術者向けシリーズ「電気主任技術者物語 ~めざせ!電気保安のプロ~」というタイトルで、新人の電気主任技術者向けの新シリーズを立ち上げました。
第一話では、「キュービクルの基本構造と機器」をテーマに、キュービクル式高圧受電設備の基本構造や操作方法をはじめ、区分開閉器や責任分界点など、現場で必要となる基礎知識を映像やアニメーションを交えて分かりやすく解説しています。

全国10地区の電気安全委員会では、電力会社や電気保安協会、電気工事会社、電気関係団体と連携し、それぞれの地域に密着した電気安全啓発活動を展開しています。主な活動内容は次のとおりです。
これらの活動を通じて、家庭から事業所まで幅広い世代や業種に向けて電気の安全な使い方を発信し、地域全体で電気事故の未然防止に取り組んでいます。
電気事故を防ぐために。わたしたちができること
電気は、私たちの暮らしや産業を支える、必要不可欠なエネルギーです。家庭はもちろん、工場や病院、交通機関など、あらゆる社会活動が電気によって支えられています。そのため、たとえ一瞬の停電であっても、社会に大きな影響を及ぼします。とくに感電事故は、人命に関わる重大な事故につながる恐れがあるため注意が必要です。万が一、事故が起これば、命に関わるだけでなく、身体や心に大きな影響を残すこともあるため、事故を未然に防止することが何よりも重要なのです。
近年、電気機器や設備の性能向上により保安レベルは着実に高まっていますが、人の不注意や確認不足など、電気関係業務に関わる人のヒューマンエラーが原因で事故が起きることも。電気事故を防ぐためには、設備の点検や適切な保守管理に加え、一人ひとりが安全意識を持って行動することが重要です。
家庭では電気製品の正しい使い方やコンセント周りの点検を習慣化し、職場では安全教育や研修を継続的に実施することで、事故のリスクを大きく減らすことができます。日々の小さな心掛けが、大きな事故を防ぐ第一歩。「電気使用安全月間」をきっかけに、身近な電気設備や日頃の使い方を見直し、安全に電気を利用できているかを改めて確認してみませんか。

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