生活と電気, 電気機器のしくみ
ごはんがもっとおいしくなる♪加熱式調理家電の仕組みとオススメ調理方法

現在、多種多様な調理家電が販売されています。一般的には電気の力で調理するものがほとんどですが、中には蒸気を使用したものや高温スチームを使用したものも。今回は各家電がどのような仕組みで加熱できるのか、その仕組みと家電ごとに適した食材などをご紹介します!
電子レンジ
電子レンジは、食材に含まれている水分子をマイクロ波で振動させることで摩擦力が働き、互いに摩擦することで熱が発生し食材を加熱します。このしくみは「誘電加熱」と言って、具体的には水分子は電気双極子と呼ばれるマイクロ波を与えると互いに反転し擦れて熱が発生する仕組みとなっています。

マグネトロンと呼ばれる機械からマイクロ波を出しますが、このマイクロ波を外に出さないように、おもに電子レンジはステンレス材などで作られています。マイクロ波を外に出さない以外にマイクロ波を効率的に反射させるためです。誘電加熱は林業などで活用されており、効果的に木材を曲げたり、乾燥させたりする工程で同じ原理が活用されています。
注意すべきは、水分子が少ない乾物は熱を加えると発火する危険があること。その他、卵やウインナーなど、膜などで覆われている食材も加熱の際に膨張し、破裂する恐れがあります。卵は必ずかき混ぜてから、ウインナーなどは切れ目を入れたりして破裂を防ぐようにしてください。
オーブン

オーブンは電気ヒーターで加熱した熱源をオーブン内で対流させ、食材を四方から温めます。上下や下のみにヒーターが内蔵されている「上下ヒーター式」やヒーターの熱を効果的に循環させる「熱風循環式」などがあります。

中までじっくり加熱したい料理に使用されることが多く、お菓子作りやグラタンに適しています。オーブンと電子レンジを組み合わせた「オーブンレンジ」は両方の機能を備えているため、ちょっと温めたい時はレンジ、しっかり加熱したい時はオーブンと1台で使い分けができる便利な家電です。
トースターとの違いって?
トースターはオーブン同様ヒーターによる熱源で加熱しますが、上下にヒーターが内蔵されているものや下部のみヒーターが付いているもの、いくつか種類があります。トースターは表面だけを温めることに特化しており、主に食パンやコロッケなどの惣菜を温め直す時に使用されます。
トースターの温度はワット(W)で表記されることが多く、目安として500Wは約180℃程度、1,000Wは約230℃程度まで設定できます。早く温めようと設定温度を高くすると、表面だけ焦げて内部が生のままとなるため、注意が必要です。
グリル
グリルはヒーターの熱源で食材の表面を温めて、下部からの電波から発する対流熱で内部まで加熱します。オーブンと構造は似ていますが、オーブンは設定した温度を維持して温め、グリルは直接的な火力で温める点が異なります。

グリルには、グリル下部に水を入れて使用する「水あり片面焼きグリル」、水を入れない「水なし両面焼きグリル」があります。グリルは特に魚を焼く時に使うケースがほとんど。魚の表面を直火でパリパリに焼きつつ、余分な油が下の水に落ちるので、フライパンなどで焼くよりもおいしくヘルシーにいただくことができるのです。
他には揚げ物などもグリルで温め直すと、余計な油を落とすことができますよ。オーブンは高くて約250℃程度の温度ですが、グリルは3〜400℃の高温で一気に加熱するため、トースター同様に焦げる可能性があります。適度に様子を見ながら調理しましょう。
スチーム加熱式
スチーム加熱式はレンジにスチーム機能を兼ね備えており、内部のカップなどに水を入れて、それを加熱する事で蒸気を発生させ食材を温めます。

調理の面倒な蒸し料理に特化した性能で、茶碗蒸しやプリンを手軽に作ることができます。
これは「簡易スチーム式」と呼ばれ比較的単純な構造ですが、純粋に水を温めて蒸気にするだけなので、蒸気自体弱く、使用後は毎回レンジの内部を清掃しなくてはなりません。
過熱スチームを使用した調理器
加熱スチームは簡易スチーム式と仕組みは似ていますが、温度が300~400℃と非常に高温な蒸気を食材に当てることができるため、蒸す以外にも焼く・煮る・炒める料理に適しています。
簡易スチームより高い温度で温めるスチームは「過熱水蒸気式」と言い、発生した蒸気をスーパーヒーターで経由させ、さらに過熱して高温にします。食材を温める以外にも食材内部の余分な塩分や油分を取り除いたり、加熱の過程で最初は食材の水分の蒸発を抑え、調理終盤には食材を乾燥させて焼き色を付けたりできるなど、料理を作る上で便利な性能を多く持っているのが特徴です。
しかし、過熱水蒸気式は他の簡易スチーム式などと比較するとエネルギー消費が高くなるので電気代が高くなるデメリットも。用途に応じて使い分け、毎日おいしくごはんをいただいてくださいね♪