電気業界の仕事を知りたい, 現場レポート
技能五輪を支える新たな拠点~電気新聞記者が伝える 関電工「テクニカルトレーニングセンター」~

関電工は、未来の技能者を育成する新たな訓練拠点として、茨城県牛久市に「テクニカルトレーニングセンター」を開設しました。この記事では、技能五輪出場を目指す若者たちが技術を磨くこの新施設の全容と、選手たちの熱い挑戦を電気新聞の林史子記者に伝えていただきました。
テクニカルトレーニングセンターを開設
関電工は茨城県牛久市に「テクニカルトレーニングセンター」を開設した。これまで分散していた3職種の訓練拠点を統合。技能五輪への出場を目指す3職種の選手たちが、互いに交流しながら腕を磨いている。10月には2025年度の大会が愛知県内で開かれる予定で、テクニカルトレーニングセンターで練習を積んだ選手も多く出場する。
技能五輪全国大会とは
技能五輪全国大会は国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象としており、1963年から毎年開催されている歴史ある大会。2年に1度、翌年の技能五輪国際大会の選手選考も兼ねている。2024年9月にはフランス・リヨンで国際大会、同年11月には愛知県で全国大会が開かれた。

2025年度の全国大会は昨年と同じ愛知県国際展示場をメイン会場として、10月17~20日に掛けて開催する予定となっている。今回は機械や金属、情報通信、サービス・ファッションなどから合計42種類の競技が行われる。このうち、関電工が例年選手を送り込んでいるのが「電工」「配管」「情報ネットワーク施工」の3職種。それぞれの競技で、全国から集まった選手たちが正確性や品質の高さ、迅速性などについて競い合う。関電工は過去の全国大会でいくつものメダルを獲得している。
関電工の技能五輪への取り組み
関電工は訓練計画の立案や選手の指導など、技能五輪選手の育成に関する社内体制を強化するため組織改編を実施。人材育成センター管下に新たな組織「テクニカルトレーニングチーム」を4月に新設した。
テクニカルトレーニングセンターは技能五輪選手の育成・訓練を目的に開設された技能五輪トレーニングセンターをリニューアルしたもの。3月に竣工し、4月から運用を始めている。

現在、電工4人、配管3人、情報ネットワーク施工5人の合計12人が練習に取り組んでいる。うち11人が10月の全国大会に出場する予定だ。基本訓練のほかに、全国大会を想定した実践訓練と部分的な訓練の繰り返しを行っている。
今後の展望
関電工は今後、選手同士の交流による一体感の醸成と他職種からの刺激による技術向上の相乗効果を図る。また、技能職のトップランナーの育成とそれに続く人材の確保、関電工グループ内での技術・技能の継承を行う。まずは10月の大会でそれぞれの選手が練習の成果を発揮し、活躍する姿に期待が掛かる。
記者プロフィール
林 史子(はやし・ふみこ)
2018年入社。中部総局などを経て現在、電気工事、電気設備の保安業務、送配電といった分野を担当する。フットワークを生かして各地の現場を訪れ、きめ細かな取材でタイムリーな記事を多数発信している。