やる気を出すにはモチベーションが欠かせない!心理学的な動機づけを徹底解説

やる気を出すにはモチベーションが欠かせない!心理学的な動機づけを徹底解説

日常生活の中で「やる気が出ない…」「やりなさいと言われるほど、気持ちが折れてしまう…」こんな経験はありませんか。人が目標に向かって頑張るために重要なのはモチベーション(動機)です。 本記事では、やる気を出すための動機づけとその方法について心理学の観点から解説します。自分にとって効果的な動機づけを知って、行動してみませんか?


やる気に対する誤解と心理

勉強やサークル、アルバイトなど、何か行動を起こすためにはやる気が必要と考えている人は少なくないでしょう。しかし、必ずしもやる気が必要という訳ではないのです。たとえば、「お腹が空いたからご飯を食べる」というように、人は理由や目的があると行動しやすくなりますが、「勉強しなきゃ」と思ってもなかなか取り組めないときは、勉強をする理由や目的が自分自身の中で定まっていない可能性があるのです。

残念ながら、待っていてもやる気が起きるものではありません。行動の動機が不十分な場合は、まず動いてみることで後からやる気がついてくることもあると知っておきましょう。また、心理学では「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」というモチベーションを上げる心理があります。

内発的動機づけとは

内発的動機づけは、外部による報酬がなくても行動できることを言います。

・憧れの大学に入りたいから勉強する
・恋人とのデートを楽しむためにテストを乗り切る
・ダンスを習いたいから習い事を始める 

など、自分の中から「やりたい」「好き」と思うことが原動力であることが特徴です。内発的動機づけを高めるには、自分の興味関心の幅を広げる意識を持ち、些細なことでも楽しさを探すことがポイント。たとえば「勉強は嫌い」と頭ごなしに否定する前に、「国語は好きだな」「歴史の中でも江戸時代は好き」のように些細な「好き」を見出せると、次第にやる気も湧きやすくなります。

外発的動機づけとは

一方、外発的動機づけは、外部からの報酬によって行動できることを指します。

・テストで30位以内ならゲームを買ってもらえるから頑張る
・いろんな人から褒めてもらえるからアルバイトを頑張れる
・週末は友だちと遊べるから、嫌なイベントも乗り切れる

など、自分の外にある報酬や罰、評価などによって行動が左右されるので、内発的動機づけより受動的と言えるでしょう。
外発的動機づけは、他者に依存してやる気を引き出すことになるため、行動できたり、できなかったりしてしまうことも。「テストを乗り切れたらケーキを買ってもらう」など、無理のない報酬設定をすると、モチベーションが維持しやすくなりますよ。

やる気を損なうNGパターンとは

好きで行動していることに水を差されてやる気をなくしてしまった。多くの人がそんな経験をしているのではないでしょうか。内発的動機づけによってモチベーションが高まっている人にご褒美や罰を与えると、かえってやる気を低下させてしまうこの現象は、アンダーマイニング効果と言われています。

・趣味で動画投稿していたのに、気づけばお金のためにやっていた…
・良い成績とれるのが楽しくて勉強していたのに、たまに点が下がると親に怒られて、気づけば怒られないために勉強していた…

など、好きで動いていたことが「報酬や罰のため」にすり替わらないように気をつけましょう。

自分が好きなことをやる気に変えよう

やる気は初めからあるものではなく、行動してみた結果として湧いてくるもの。私たちは、何かをするとき明確な理由や目的、興味関心などがあると行動しやすくなります。ご褒美目当ての外発的動機づけより、好きや関心を動力源にする内発的動機づけの方がモチベーションは保ちやすくなりますが、自分に合う動機づけをしてみましょう。
また、やる気はずっと続くものではないため、適度に休憩を入れるなど、メリハリをつけて活動してくださいね。

プロフィール

しあん

臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。Twitterのアカウントはこちら

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この記事のWriter

臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。
また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。
https://saikolodsm.com/

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