科学的に証明されている最強の勉強方法「アクティブ・リコール」とは

科学的に証明されている最強の勉強方法「アクティブ・リコール」とは

一生懸命にテスト勉強をして自信満々でテストを受けたけど、当日にテストの問題をみると覚えた内容を忘れてしまっていたという経験は、学生ならば一度はしたことがあるはずです。私自身も勉強に何時間も費やし、テキストの再読や要約を繰り返したり、蛍光ペンでハイライトをいれたりして工夫したのに結果が出せなかったことが多くあります。 ほとんどの学生が自分の時間をできるだけ効率よく使って、しっかり身につけたいと思っているはずですが、具体的に、どのように勉強すれば良いのでしょうか。今回は、誰でもできる効率的な勉強方法を紹介していきます。


ポイントは「アクティブ・リコール」

その勉強方法がアクティブ・リコール(Active Recall)と呼ばれる方法です。日本語に直訳すると、「能動的に思い出す」という意味です。これは、自ら積極的に記憶を刺激する勉強方法で、その反対は、受動的(Passive)な勉強方法であるテキストの再読やハイライトとなります。

たとえば、英単語を勉強する場合、英単語の本をただひたすら読むというのは受動的な勉強方法ですが、反対に単語帳を使って単語帳の表に書いてある英単語がなにを意味するのかを思い出そうとするのが、アクティブ・リコールを使った勉強法です。つまり、アクティブ・リコールとは、自分の記憶を刺激して、積極的に脳から情報を引き出そうとするテクニックのこと(参考1)。これを実践することによって、脳の記憶が強化され、覚えた内容をすぐに忘れてしまう可能性が軽減するようです。

学生を対象としたアクティブ・リコールの実験結果

実際に、多くの研究によってアクティブ・リコールがもっとも効率の良い勉強法であることが証明されています。

たとえば、学生を対象にして行われたある実験では、学生たちは2つのグループに分かれて単語を暗記しました。最初のグループはアクティブ・リコールを実践しながら単語を暗記し、もうひとつのグループはアクティブ・リコールなしで勉強をしました。そして最終的に2回のテストを両方のグループで行いました。テストの結果は、アクティブ・リコールを行ったグループの方がはるかに多くの単語を記憶していることがわかりました。

暗記が終わってから10分後に行われたテストでは、従来の方法で勉強したグループは36%の単語を記憶していて、アクティブ・リコールで勉強したグループは53%の単語を覚えていました。また、それから1週間後に行われた2回目のテストでは、アクティブ・リコール無しのグループが4%、アクティブ・リコールを実践したグループは35%の単語を覚えていたのです(参考2)。つまり、アクティブ・リコールを使って勉強すれば、より多くの内容を暗記できるだけでなく、その内容が長期的に脳に記憶されるということです。

アクティブ・リコールを実践してみよう

ここでは、数あるアクティブ・リコール勉強法のなかでも、簡単で特に効率が良いとされている方法をお伝えします。その勉強方法とは、自己テストです。

たとえば、テキストのひとつの章を読み終えるごとに、自分が読んだ内容を覚えているかどうかを確認するためにテストをつくり、しばらくしてから回答してみましょう。このように自分自身でテストを実施することで、アクティブ・リコールを使った勉強方法になるため、記憶が定着しやすくなります。

また、自己テストが良い勉強法である理由はそれだけではありません。自己テストに慣れれば、テキストを読んでいるときに自然と「何を問題として出すべきか」を考えながら読むようになる、つまり、テキストを読みながら、重要な点を瞬時に判断する能力が格段と上がるのです。これができるようになると、どのような問題が試験に出るのかを予想することが上手になり、さらに効率よく勉強することができます。

まとめ

アクティブ・リコールは最も簡単で、もっとも効率の良い勉強法のひとつです。なによりも、誰でも実践でき、効率よく成績を上げることができるのでぜひ、実践してみましょう。この勉強方法のもうひとつのメリットは、どの教科にも応用することができるという点です。短い時間で効率よく勉強し、しっかり結果へと結びつけていきましょう。


参考サイト
※1 Make It Stick: The Science of Successful Learning
https://www.amazon.com/Make-Stick-Science-Successful-Learning/dp/0674729013?_encoding=UTF8&qid=1638262722&sr=8-1&linkCode=sl1&tag=faresd00-20&linkId=95c5f088c52b92481d05eac62411dcf4&language=en_US&ref_=as_li_ss_tl

※2 Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1529100612453266

プロフィール

柴次郎

知識ゼロの状態で1年半受験勉強をし、偏差値42の高校から、偏差値72の大学へ入学。時間効率を最大限にあげる勉強法で、TOEIC900点、英検準1級を習得。少ない時間で最も効率よく勉強する方法を教えています。

この記事のWriter

知識ゼロの状態で1年半受験勉強をし、偏差値42の高校から、偏差値72の大学へ入学。
時間効率を最大限にあげる勉強法で、TOEIC900点、英検準1級を習得。少ない時間で最も効率よく勉強する方法を教えています。

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