電気の正体とは?言葉の意味や電気エネルギーも分かりやすく解説!

電気の正体とは?言葉の意味や電気エネルギーも分かりやすく解説!

私たちの生活において必要不可欠な電気。身近な存在でありながら、その特徴については詳しく知らない方も多いのでは。今回は電気とは何かというテーマで基本的な内容を解説していきます。


電気の正体とは電子などの移動現象のこと

電気とは、電子が移動する現象のことです。厳密には電子以外にも、電荷と呼ばれる電気的性質を持った物質が移動する現象を総称して電気と呼び、ある瞬間に流れる電荷の量は電流、電荷を流そうとする(電流を生み出そうとする)力は電圧や電位差と言います。電気を水に見立てて、水路を流れる水の量を電流、水流を生み出す水路の高低差やポンプなどを電圧と考えれば、電気がイメージしやすいかもしれません。

また、電荷が移動していない状態は静電気と呼ばれ、特定の物質同士を擦り合わせたりして電荷が片寄ることで生まれます。そして、静電気が溜まっている部分に触れるとピリッとするのが、静電気状態の電荷が人体へ流れる電気になった瞬間なのです。

電気の流れ方の種類

電気はその流れ方に応じて、直流と交流の2種類に大別されます。まず、直流とは常に一方向にのみ移動しつづける電気のことで、乾電池やACアダプターを接続して動く機器の電源に利用されることが多いです。また、流れる方向は一定でありながら電流や電圧の大きさが変動する直流は脈流とも言います。これに対し、時間によって電気の流れが逆転する電気を交流と言います。直流に比べて電圧を容易に変えられるのが最大の特徴で、送電や動力を必要とする電気機器の電源などに利用されます。

電気をそのまま貯蔵することはできない

電気をそのままの状態で貯めておくことはできません。というのも、そもそも電気は電子などの電荷が流れる現象そのものであるため、物質のように貯めておくことができないからです。身の回りにはバッテリーや乾電池のように、電気を貯めているように見える機器もありますが、これらは電気をそのまま保存するのではなく他のエネルギーに変換して保存しています。

たとえば、揚水発電と呼ばれる蓄電方法では、電気エネルギーを位置エネルギーに変えて保存します。昼間に余った電力を使ってダムの水を高い位置へ汲み上げておき、電力が必要になったタイミングで汲み上げた水を放水して水車を回して発電する、という流れで実質的にエネルギーの貯蔵を実現しているのです。また、電気エネルギーのまま電荷を貯めておく電気二重層キャパシタという蓄電方式も存在します。しかし、電気はあくまでも流れている状態を指すため、これも厳密には電気を貯めているのではなく、別の形でエネルギーを貯蔵しているにすぎないのです。

電気エネルギーの応用例

電気はそのままの状態で使うこともできますが、様々なエネルギーに変換して利用することも可能です。モーターによって電気エネルギーを運動エネルギーに変換すれば、電車やエレベーター、ファンなどの動力として応用できますし、電線へ電流を流すことで生まれる熱を応用すれば、電気を熱エネルギーとして取り出すこともできますし、フォトダイオードなどの特定の半導体素子に電気を流せば光エネルギーとして取り出すことも可能です。さらに、他のエネルギーから電気エネルギーへ変換し、エネルギーの伝送に利用するケースもあります。電気エネルギーは光の速さで移動する上、電線によって移動ルートを容易に管理できるため、エネルギーの伝送に向いていることを覚えておきましょう。

電気に関する用語や特性も理解しよう

電気に関する用語や特性についても少し深掘りしておきましょう。まず、電流と電圧の積を電力と呼び、ある瞬間における電気のエネルギーを表します。たとえ電圧が数万ボルトなどの高い値であっても、流れる電流が小さければ電力の少ない弱い電気と言えます。そして電力を一定の時間分蓄積したものは電力量と呼ばれ、電気料金の算出などに使用されています。

ドライヤーのように必要電力が大きい家電や、冷蔵庫のように通電時間の長い家電が電気料金に影響するのは、特定の期間で消費する電力量が大きいのが原因です。また、交流の電気では1秒間に電気の向きが反転した回数を表す周波数という概念も登場します。東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツと聞いたことがある方もいるかもしれませんが、このヘルツこそが周波数のことで、電気機器の性能などに影響を及ぼすパラメータの1つです。

まとめ

もっとも身近な存在でありながら、具体的な用語や意味、応用例など知らない部分もあったのではないでしょうか。世の中では電気を応用した技術や機械が多数存在しているので、より深く理解したい方は深ぼって勉強してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

佐藤竜騎

2017年4月に某大手石油化学工場へ就職し、現在まで電気・計装設備の保全・更新計画の検討/立案から工事の実行まで一貫した業務に従事。携わった機器/システムは、分散制御システム(DCS)、流量/液面/圧力/温度の検出/制御機器類、ガス漏洩検知システム、プロセスガスクロマトグラフィーやpH計を始めとする各種オンライン分析計、など多岐にわたる。現在は副業として電気/電子分野の専門知識に特化したウェブライター活動にも精を出している。
保有資格:第3種電気主任技術者、第二種電気工事士、認定電気工事従事者、高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)、工事担任者(AI/DD総合種)、2級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類など

この記事のWriter

WattMagazine編集部 編集長

関連する投稿


電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

いま、世の中には燃料を動力にして動く乗り物以外に電気の力を利用して動く乗り物が数多くあります。とくに「電気自動車」は、環境問題への取り組みが急務になっていることから、今後さらなる普及が予測されます。 今回は、電気自動車のしくみから、他の電気を活用して駆動する乗り物、未来に活躍するであろう乗り物を紹介します。


生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

石油や石炭などと同じ化石燃料として、温室効果ガスを発生させる液化天然ガス(LNG)は、カーボンニュートラルを目指した次世代において、使用を削減していかなければならない燃料のひとつです。 しかし、LNGは都市ガスに代表されるような一般家庭のガスや火力発電などにも毎日使用されておりすぐに使用を停止することができません。そこで、LNGの代わりとまではいきませんが、利用量を削減できる可能性のある新たなエネルギー源として、バイオメタンが注目されています。


月の光で発電ができる?月の光の可能性と太陽光発電の最新研究

月の光で発電ができる?月の光の可能性と太陽光発電の最新研究

夜空に輝く綺麗なお月さま。雲が多いと隠れますが、天気が良いと月からの光がより強く感じたりもします。そんな月の光は、実は月から光を発しているのではなく、太陽の光が反射して私たちの目に映っているのです。 「太陽からの光なら、反射した月の光でも太陽光発電のように発電ができるんじゃないの?」 今回は過去に行われた月光を利用した「月光発電」の実験と、現在なお進められている太陽光発電の研究について解説していきます。


電気と生物は密接に関わりがある…?自分で電気を生成する生物とは。

電気と生物は密接に関わりがある…?自分で電気を生成する生物とは。

私たちの生活に不可欠な電気は、火力や風力、原子力などの動力を経て発電し、各家庭に配電されます。昔理科の実験などで電気を作ることに挑戦した経験がある人もいるかもしれませんが、自然界にも電気を生成する生物が存在するのです。


虹やオーロラ、空をいろどる自然のアートと電気の関係性

虹やオーロラ、空をいろどる自然のアートと電気の関係性

雨上がりの空を見上げると、綺麗な虹がかかっています。この美しい虹はどのようにして作られているのでしょうか。空の現象と電気の相関関係はあるのでしょうか…?


最新の投稿


電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

いま、世の中には燃料を動力にして動く乗り物以外に電気の力を利用して動く乗り物が数多くあります。とくに「電気自動車」は、環境問題への取り組みが急務になっていることから、今後さらなる普及が予測されます。 今回は、電気自動車のしくみから、他の電気を活用して駆動する乗り物、未来に活躍するであろう乗り物を紹介します。


<見逃し配信あり>堀内健さんと一緒に社会科見学!関東電気保安協会が案内する電気保安のオシゴトと電気のハナシ

<見逃し配信あり>堀内健さんと一緒に社会科見学!関東電気保安協会が案内する電気保安のオシゴトと電気のハナシ

「電気を守るお仕事って、どんなことをするんだろう?」 ネプチューンの堀内さんがスタジオを飛び出し、関東電気保安協会へ!わかりやすく、楽しく、電気のお仕事を紹介してくれました。


【第二種電気工事士】勉強に必要なモノまとめ【2024年最新版】

【第二種電気工事士】勉強に必要なモノまとめ【2024年最新版】

本記事は「第二種電気工事士の資格勉強で必要な物が分からない・・」という受験者さんに向けの内容です。ネットや書店を調べると多くの教材がある中で「結局どれがいいのかわからない」というのが本音なんじゃないでしょうか。 結論から言うと、私が実際にお世話になった「すい〜っとシリーズ」が1番理解しやすく、勉強を継続しやすい教材です。 工具については「ホーザンの工具セット」が鉄板で、材料は3周練習できるセットをご紹介します。本記事では失敗しない教材選びを厳選。ぜひ参考にしていただければ幸いです。


生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

石油や石炭などと同じ化石燃料として、温室効果ガスを発生させる液化天然ガス(LNG)は、カーボンニュートラルを目指した次世代において、使用を削減していかなければならない燃料のひとつです。 しかし、LNGは都市ガスに代表されるような一般家庭のガスや火力発電などにも毎日使用されておりすぐに使用を停止することができません。そこで、LNGの代わりとまではいきませんが、利用量を削減できる可能性のある新たなエネルギー源として、バイオメタンが注目されています。


電気工事士の魅力・やりがいとは?【現役電気工事士が解説します】

電気工事士の魅力・やりがいとは?【現役電気工事士が解説します】

電気屋さんの魅力とかやりがいってどんな時に感じるものなの?未経験の人にも分かるように教えて欲しい… 今回はこういった悩みに答えます。


人気記事ランキング


>>総合人気ランキング