VRで事前に危険シーンを体感し、安全意識を高めていく
自然災害時の復旧作業や現場に向かう際の運転など、危険を伴うシーンも少なくはありません。このような、いつ起きるかわからない危険な局面にぶつかったとき、冷静に判断し、迅速かつ適切に対応する能力が求められます。
そこで、中国電気保安協会は、一人ひとりの安全を守り、危険時の対応や状況把握がいち早くできるように、職員に向けて、墜落(電柱・梯子)、感電(短絡事故)、交通事故(脇見・夜間運転)、階段転倒事故などのVRコンテンツを活用した研修を実施しています。
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VRを用いて「高所からの墜落体験」をしているところ。
安全体感VRは、VRゴーグルヘッドマウントディスプレイとモバイル低床動揺装置(風圧再現ができる)、触覚再現グローブ、システム操作機器(パソコン等)で構成されており、体感者が見るゴーグルの映像は、外部ディスプレイでも同時に見ることができるようになっています。このとき、体験者が誤まって危険な対応を取れば、後からどのような対応を取るべき立ったのか、一緒に振り返ることもできますし、同じ視点で見ることで、どれくらい危険なのかを客観的に理解することもできるのです。
最新のVRは映像だけじゃない!
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さまざまな危険シーンのコンテンツが揃っている。
普段から危険なシーンについて学ぶ機会はあっても、実際に体験しないとその恐怖はわからないもの。職員の間でも、VRで危険な体験をすることで、「より一層安全に対する意識が高まった」「危険時における適切な対応が理解できた」「事前に体に慣れさせておくことで冷静な判断と対処ができそうだ」といった声が上がっています。
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墜落事故体験設備体験。首を痛める恐れがあるので体験ではヘルメットを使っていません。
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低圧短絡事故体験設備の体験。
VRのほかも、墜落事故体験設備(電柱の墜落体験起動装置に胴綱をかける)や短絡事故体験設備(感電防止用手袋を着用して箱の中で充電した電線をカッターで切る)、スレート板踏み抜き脆さ体験、実際に起きた交通事故のドライブレコーダー映像を見ながら危険予知など、さまざまな最新設備を導入した体験研修を織り交ぜ、職員の誰もが安心、安全に業務へ取り組めるようにシミュレーションを行っているのです。
電気業界もデジタル化へ。未来はますます電気が必要不可欠になる
今後、研修資料の文字を認識して発音するソフト「音読さん」の活用や、ウェアラブル無線カメラの試行導入によるOJT支援(作業者目線・ハンズフリーの映像を現地と事業所間で共有)を検討しているという中国電気保安協会。電気業界では、このような新たなテクノロジーをどんどん取り入れ、安全確保と作業の効率化に向けたデジタル改革を推進しています。
今後普及するDXやEV、そしてカーボンニュートラルを実現するためには、電気の力が欠かせません。そのなかで、一般のお客さまに電気を届けるための設備を定期的に点検保守し、安全・安心に使っていただくことの一翼を担っているのが電気保安の職員です。社会をよりよくするために、そして電気のようにやさしく明るい未来を築くために、今後ますます電気業界で働く人々の活躍が注目されていくのではないでしょうか。
WattMagazine編集部 編集長