電流が描く優美なライン
カッティングボードの上を流れるように走る小さなイナズマ。
画用紙に流れる水彩絵の具のように、緩やかに、そして時に激しく。
運命の出会いもこんなカンジの衝撃だろうか…?
このアート作品の作者は木製家具職人であるPaul Lemiskiさん。カナダのオンタリオ州アクトンで、椅子や机を製作するcanadianwoodworksのオーナーをつとめています。
この美しい樹形状の紋様は、実は電気によって作られているのです。木材の表面に高い電圧を流すことで木の絶縁体が壊れ(絶縁破壊)、通常であれば流れないはずの電圧が木材の表面を焼きつけます。そこで生まれるのが、リヒテンベルク図形と呼ばれる樹形状の紋様なのだとか。
18世紀ドイツの科学者であった、Georg Christoph Lichtenberg(ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク)が、高い電圧を絶縁体に通すことによって、この美しい樹形状の紋様ができることをはじめて記録したため、この名前が付けられました。わかりやすくいうと、「放電の後を目に見える形に残したもの」。
パチパチ、ビリビリ。
幻想的な世界が生まれます。
電気って本当はとてもロマンチックなんです。