現場レポート
年収は? 働くメリットとデメリットは? 電気主任技術者と電気工事士の比較イベント「電流ジョブトライアル」潜入レポート(電験倶楽部共同企画)

電気業界にはさまざまな職種の人が働いています。その代表的な2つが、電気主任技術者と電気工事士です。両者ともいわゆる“現場仕事”ですが、実際の業務内容は大きく異なるのです。
今回は、電験倶楽部さんとの共同企画にて、2つの職業を一度に体験できるイベント「電流ジョブトライアル」を2025年2月15日に開催しました!さて、電気主任技術者と電気工事士はどのような違いがあるのでしょうか…?
目次
企業の代表や採用担当者も!多くの来場者で賑わう

今回のイベントの特徴は、電気主任技術者と電気工事士の職業体験をできることですが、それに加えて企業の代表や採用担当者が来場していることも大きなポイントです。電気保安会社(電気主任技術者)から「関東電気保安協会」と「全電協株式会社」。電気工事会社からは「株式会社くれよん」と「株式会社S-TEKT」の担当者が参加くださいました。企業の目的は採用ですが、その根底にある思いは、もっとこのお仕事の魅力を伝えたいということ。お仕事体験で理解が深められるだけでなく、近くに採用担当者がいることで、就職に関して具体的な相談が気軽にできるのです!
資格取得が大変な電気主任技術者。労働作業が大変な電気工事士。働き方は異なるけれど、両者とも安定している

司会を担当するのは電気予報士YouTuberの伊藤菜々さんです。伊藤菜々さんの進行のもと始まったのが、2つの職業の魅力を語る座談会。電気主任技術者の仕事を語るのは、技術者向けメディア「電験倶楽部」の編集長・山口さん。電気工事士について語るのは大阪の電気工事会社「株式会社くれよん」の代表取締役社長・稲田さん。

伊藤さん「電気主任技術者と電気工事士、それぞれの魅力はなんでしょうか?」
山口さん「電気主任技術者の仕事は電気設備の保安と点検です。この職業は安定していて年収も高いところが魅力ですが、技術者の高齢化による技術者不足という大きな課題を抱えています。この先を見据えると、電気主任技術者の奪い合いが起こるため、技術者は引く手あまた。年収も高く安定していますし、就活でも有利です。こんな魅力的な職業はないですよ!」
稲田さん「僕らの主な仕事は建物の電気工事です。労働作業が多く、現場のスケジュールに左右されるため休みが自由に取れないこともあります。大変ではあるものの、それ以上にやりがいの方が大きいのが魅力。また仕事の依頼は途切れることがありません」

伊藤さん「ネガティブな一面はありますか?」
山口さん「そうですね、電気主任技術者になるために必要な電験三種の資格取得が難しいところでしょうか」
稲田さん「それと比較すると、(電気工事士になれる)第二種電気工事士の試験は難しくないですよ(笑)。僕らが抱えるネガティブな一面は教育です。職人の世界なので、見て学べ!と言う先輩も多くいる。ただ、教育がしっかりしている会社もあるので、正しい会社を選べば充実した教育を受けられます」
伊藤さん「気になるお給料はいくらぐらいでしょう?」
山口さん「電気主任技術者は、頑張れば年収1,000万円を目指せる職業。特に東京は技術者の奪い合いが起きていて、需要が高い分、高い年収を期待できるかもしれません」
稲田さん「電気工事士の会社員の場合、高くて年収800万円ほど。さらに稼ぎたい場合は、一人親方として独立するという選択肢もあります。お金に加えて、誇りを得られることもこの仕事の素晴らしさです。電気を灯す建物を作るのは僕ら電気工事士です。建物の光一つひとつが、僕らの仕事の成果。その光を見ると、誇らしげな気持ちになれるんです」
緻密さを求められる電気主任技術者。クリエイティブな電気工事士。

続いて職業体験です。参加者は共催企業が用意した4つのプログラムを全て受けることになります。
□LANケーブル作成&タイマーリレーの設定トライアル
□ランプレセクタプルの電球電源入りトライアル
□耐圧試験トライアル
□リレー試験トライアル


電気工事を体験できる「LANケーブル作成&タイマーリレーの設定トライアル」と「ランプレセクタプルの電球電源入りトライアル」は、ケーブルを切ったり繋いだりする作業が続きます。その様子はまるで図工のよう。クリエティブでありつつ、力作業が多いのが電気工事士の仕事だと感じました。


一方、電気主任技術者の職業体験ができるのは「耐圧試験トライアル」「リレー試験トライアル」。実機に触り、機械が正確に稼働しているかどうかを点検していきます。電気主任技術者は多種多様な機械を触り、正確な検査を進めていく職業です。そのため、「機械を触ることが好き」「正確に作業を進めることが得意」といったタイプの人が合っていると感じました。
「年収はいくら?」聞きづらい質問も聞いても大丈夫

最後は交流会へ。企業の代表や採用担当者に、話しかけにいく参加者たち。
会場では
「求人はどれくらいありますか?」(参加者)
「年収はこれくらいを目指せる」(採用担当者)
「◯年で一人前になれますよ」(企業の代表)
といった会話が飛び交います。職業体験を通して打ち解けたため、年収など聞きづらい質問を聞けるのが本イベント最大の魅力です。

参加者の感想は、
「就活中の大学3年です。大学では電気を専攻しており、もともと電気主任技術者に興味があったので、参加しました。今日は全く知らないことを学べて楽しかったです。将来を考えるきっかけにもなりました」(20代男性)
「電気主任技術者も電気工事士も興味があり、両方の職業体験ができて良かったです。実はいま転職を考えていて、転職先として電気業界に進みたいと前向きな気持ちになれました」(30代男性)
採用担当者に話を聞いたところ、「採用したいと思える方に出会えました」と目を輝かせており、企業側にも参加者側にも実りのあるイベントになりました。
電気業界で働くことに興味があっても、どんな適性が求められるのか、どんな働き方ができるのか、年収はいくらなのかは実のところ見えない部分だったりします。今回のようなイベントに参加することで、電気業界に入った時の自分を明確に想像しやすくなります。興味がある方は積極的にイベントに参加してみてくださいね!!
取材協力

電験倶楽部
「電気主任技術者ってカッコいい」のメッセージを掲げ、電気関連資格の取得を⽬指している⽅や既に関連の仕事に従事している⽅のためのWebメディア。情報発信だけでなく定期的にイベント開催。
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