陸上自衛隊から白鷺電気工業のラインマンへ。同級生コンビが支える電気の道

更新日:2026.10.06投稿日:2026.10.06

2年の任期を経て陸上自衛隊から民間企業へ転職し、現在は送電線工事の現場で活躍する白鷺電気工業株式会社の山本 航平(やまもと・こうへい)さんと岩本 将樹(いわもと・まさき)さん。高校時代は同じ高校のサッカー部で汗を流し、今はラインマンとして協力し合いながら活躍する二人は、電気業界とは無縁のところからキャリアをスタートさせました。
入社当初は電気の知識もほとんどなかったというお二人ですが、自衛隊時代に培った体力や忍耐力、チームワークを活かしながら、鉄塔の組み立てや架線、設備のメンテナンスなどに携わり、今では欠かせない存在になっています。今回は、送電線の仕事を選んだ理由や仕事のやりがい、自衛隊での経験が現在の仕事にどう活かされているのか、そしてこれから挑戦したい仕事についてお話を伺いました。
※写真左が岩本さん、右が山本さん。

同級生から仕事仲間へ—二人が歩んだ自衛隊からの転職

――山本さんと岩本さんの現在のお仕事について教えてください。

山本さん「ラインマンとして、鉄塔を組み立ててそこに新しく電線を張ったり、古くなった電線を解体したりするほか、既存の鉄塔のメンテナンスや部材の交換、電線の張り替え、付属品の取り替えなども行っています」

岩本さん「私も同じ仕事をしています。二人とも2015年4月に入社したので、今年で12年目になります」

高校時代はサッカー部で共に汗を流した二人
高校時代はサッカー部で共に汗を流した二人(一番右が山本さん、右から二番目が岩本さん)

――お二人は高校時代の同級生なんですよね。

山本さん「岩本君とは高校時代からの知り合いで、同じ高校のサッカー部で一緒にプレーしていました。サッカーをするためにその高校へ進学したので、当時は電気や電気の仕事とは無縁でした。

卒業後は、勉強があまり好きではなかったこともあり、大学へ進学するのではなく、就職の道を選びました。もともと体を動かすことが好きでしたし、体力にも自信があったので、『自分の強みを生かせる仕事』を軸に就職先を探していました。そこで、自衛隊という選択肢があることを知り、志願したんです」

岩本さん「私は同じ高校の一つ上の先輩が卒業後、自衛隊に入隊しており、その先輩から話を聞いたことがきっかけで、陸上自衛隊に興味を持ちました。話を聞くうちに『自分も自衛隊に行ってみようかな』と思い、受験。自衛隊は国家公務員ですし、体力を活かせる仕事でもあります。それに、とにかく安定した仕事に就きたいという気持ちが強かったので、自分の希望にも合っていたんです」

高校時代の仲間と一緒に
高校時代の仲間たちと(一番左が山本さん、左から二人目が岩本さん)

――陸上自衛隊の1任期は2年ほどですが、任期を終える際に、自衛隊を続けるか、民間企業へ転職するかという選択があったと思います。お二人とも転職を選ばれたとのことですが、仕事を選ぶ際に重視したことはなんでしょうか。

岩本さん「長く、安定して働けることを重視していたので、将来の生活をきちんと支えられる仕事を軸に会社を探しました」

――「安定」を軸に考えると、電気以外にもガス、水道、交通系など、さまざまなインフラ業界がありますが、送電業界および白鷺電気工業さまを選ばれた理由はなんだったのでしょう。

岩本さん「転職活動を始めるタイミングで、叔父が白鷺電気工業で働いていたことを知り、具体的な仕事内容や会社の雰囲気、福利厚生について詳しく教えてもらったんです。また、自衛隊退職者向けの就職説明会に白鷺電気工業も参加しており、そこで直接、話を聞く機会がありました。担当者に『実は親戚が働いているんです』と話したところ、会話も盛り上がり、会社をより身近に感じるようになって。叔父が働いていたことも安心材料になり、受けることにしたんです」

山本さん「私は白鷺電気工業のことを知らなかったのですが、高校時代から仲が良く、信頼している岩本君が受けると聞いて、『じゃあ自分も受けてみようかな』と。

それに体力には多少自信がありましたし、どんなにきついことがあっても、ちょっとやそっとではへこたれない忍耐力も持ち合わせている。自衛隊で鍛えられた体力や忍耐力は、電気業界でも必ず活きると思いました」

岩本さん「知らない世界に飛び込むので、多少なりとも不安はありましたが、山本君も一緒だったので、絶対大丈夫だ!って自信がありました」

高校時代からの仲間でもあるお二人。仲野良さが伝わります。
今も昔も変わらない仲の良さ。

高所作業だけじゃない。チームで大きな仕事を成し遂げる面白さ

――入社前は、電気業界や送電の仕事にどのような印象を持っていたでしょう。

岩本さん「最初は、高いところに昇って作業する仕事というイメージだけでしたね」

山本さん「そもそも送電という仕事があることさえ知りませんでしたから、どんな仕事なのか、何をするのか、当初は想像できていませんでした。ただ、実際に入社すると、送電だけでなく変電など、電気といってもさまざまな部署や業務があるとわかり、一気に視野が広がりました」

――実際に入社して、送電業界にどんな魅力を感じていますか。

山本さん「やっぱり、高いところに昇って、普段の生活ではなかなか見ることのできない景色を眺めながら作業できるのは、この仕事ならではの魅力だと思います。高い場所だからこそ味わえる開放感も最高ですね」

高所で作業をしている山本さん
「この景色を見ることができるのが本当に最高なんです」と山本さん

岩本さん「仕事をしながら体力もつきますし、何より、みんなで協力しながら楽しく仕事ができるところがいい。高校時代のサッカー、自衛隊時代もそうですが、チームで力を合わせて、一つの大きな仕事を成し遂げたときには、大きな達成感がありますね」

――入社後は、高圧・特別高圧電気取扱特別教育や、フルハーネスを使用した作業に関する特別教育など、さまざまな研修を受けると思います。研修を終えて、実際に現場に立つまで、どのような流れになるのでしょう。

岩本さん「当時は、宮崎県内の同業者様の新入社員研修に参加させていただく形で、研修を行っていました。4月入社の場合、はじめの1カ月間は座学を中心に、高圧・特別高圧電気取扱特別教育(特別高圧の知識、安全確認、活線作業について学ぶ)など、多数の研修を受け、5月は約1カ月間、鉄塔に昇るための訓練を行います。そして、6月になると会社に戻り、各部署を1週間ずつ回り、7月1日付で正式に配属されるという流れです。送電部に配属されてからは、現在まで、第一希望であった送電の仕事を続けています」

昇上前の岩本さん。ベテランになり、準備も素早く行える。
慣れた手つきで素早く準備も完了。昇塔前の岩本さん。

仲間と成し遂げる達成感。社会インフラを支える仕事はやりがいしかない!

――現在のお仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

山本さん「大人数で仲間たちと一緒に作業して、無事故・無災害で工事を完成したときや、予定していた工期より早めに完成したときは、やり遂げたという実感がありますね。

とくに印象に残っているのは、低い場所で練習を重ねて、実際の現場で何十メートルという高い場所で作業できるようになったとき。最初はできなかったことも、経験を積むことで少しずつできるようになる。できることが増えると自信にもつながりますし、自分自身の成長を実感できるんです」

岩本さん「鉄塔の組み立てが完成したときや、架線ができ上がったときに大きなやりがいを感じます。とくに印象に残っているのは、10年前の熊本地震の際、復旧作業で急いで鉄塔を建て、ライフラインの復旧に携わったことです。普段は当たり前のように使っている電気も、実はとてもありがたいものなのだと実感すると同時に、自分たちの仕事が、電気を必要としている人たちの生活を支えているんだと改めて感じました。そのときは、『俺、本当に頑張っているな』と、自分を褒めたくなりましたね」

プライベートではボランティアも積極的に行っている岩本さん
プライベートで八代城跡石垣清掃のボランティアを行っている岩本さん

――お二人とも白鷺電気工業へ入社してから10年以上経ちますが、この仕事を選んでよかった!と感じることを教えてください。

山本さん「この業界は、どこも同じかもしれませんが、人手不足という大きな課題を抱えています。そのため、白鷺電気工業の社員だけでは対応しきれない現場もあるので、他社から応援に来ていただいたり、自分たちがほかの現場へ応援に行ったりすることもあり、仕事を通じて、さまざまな会社の方と一緒に働く機会が増えました。

現場が変わるたびに新しい人と出会うことも多く、自然と交流やつながりが広がっていくんです。いろいろな方と一緒に仕事をすることで、自分自身も刺激を受けますし、そうした人とのつながりを築けることも、この仕事を選んでよかったと思うポイントです」

岩本さん「家族に対する福利厚生もきちんと整っていますし、業界が安定しているので、確実に仕事があるという安心感があります。育児休業も遠慮なく取得できるのも大きいですね。会社によっては、現場の仕事をしていると休みを取りたいと言い出しにくい場合もあると思いますが、白鷺電気工業はフォロー体制が整っているので、しっかり育児休暇を取得させてもらえますし、会社も理解してくれています。社員だけでなく、社員の家族のことも大切にしてくれる会社なんです」

お子様を抱っこする岩本さん
大事な家族へのフォローも万全だから安心して働ける(岩本さん)

山本さん「また、現場が次々と変わるのも、この仕事の面白いところです。同じ場所で同じ作業を繰り返すのではなく、現場が変わるたびに新鮮な気持ちで仕事に取り組めるんです」

大切なお子様を抱き抱える山本さん
大切なお子さんへ笑顔を向ける山本さん。

体力、忍耐力、チームワーク。自衛隊で身につけた力を送電の仕事へ

――現場に入って気づいた、自衛隊と送電業界における「共通点」について教えてください。

岩本さん「自衛隊のときは、周りの様子を見て自ら動くことを意識していました。指示を待つのではなく、状況を把握しながら『何かすることはありますか?』と尋ね、率先して動くことが求められていたからです。現在も、現場で周りの人が何か作業をしていたら、自分から手伝ったり、周囲の状況を見て動いたりするようにしています。

周りを見る力やちょっとした変化にも気づく力は、自衛隊時代に身についたものだと思いますし、周りとコミュニケーションを取りながら行動するという部分も、今の仕事へ確実につながっていますね」

山本さん「共通するのは体力が必要なところ。自衛隊で培った体力は現在の仕事の土台になっています。あとはチームワーク。自衛隊では集団行動が基本でしたので、周りと協力しながら行動することを大切にしていました。現在も大人数で作業することが多く、積極的にみんなで声を掛け合ったり、コミュニケーションを取りながら仕事を進めたりします。そうした点は、自衛隊時代と共通していると思います」

――高校時代のサッカーで培った体力が、自衛隊でさらに増強されたわけですね。そうした経験が、現在の仕事にも生かされているんですね。ちなみに、自衛隊時代に培った習慣の中で、今の仕事に活かされていることはございますか。

山本さん:「自衛隊時代に、朝早く起きることが習慣づけられていたので、送電の仕事で朝が早いときも、それほど苦になりません」

岩本さん:「送電の仕事は山の中で作業することが多いのですが、自衛隊の訓練で何十キロという荷物を担いで山に入ることが多かったので、山での作業には慣れていました。また、自衛隊時代に忍耐力も鍛えられたので、ちょっとやそっとのことでは『きついな』とは感じません。そうした経験は今でもかなり役立っています」

「安全第一」。現場全員が無事に作業を終えるために大切なこと

――岩本さまと山本さまが仕事の中でもっとも大事にしていること、その理由について教えてください。

山本さん「日々、心掛けているのは『安全第一』です。自分自身の安全はもちろんですが、入社してまだ間もない若い人たちが怪我をしないようにすることも意識しています。私たちの仕事は、さまざまな人や企業が関わりながら進めていくため、事故などで作業が止まってしまうと、多くの方々にご迷惑をかけることになります。そのことを常に意識し、周りの様子にも目を配りながら、現場にいる全員が安全に作業を終えられるよう努めています」

岩本さん「業務前には必ず、『KYミーティング(危険予知ミーティング)』を実施しています。現場にどのような危険なポイントがあるのか、それに対してどのような対策を取るのかを、みんなで確認して対策を考えるんです。また、実際に現場で起きた事例を共有し、同じような危険を防ぐための対策について話し合うこともあります。

KYミーティングを毎日行うことで、作業前から危険なポイントを意識できるようになり、安全に対する意識も自然と高まっていくんです。だからこそ、KYミーティングを確実に行うことと、危険な行動をしないという基本動作を徹底しています」

――今後、どのようなキャリアを築いていきたいですか?

山本さん「体が動く限りは、現場で鉄塔に昇り続けたいですね。怪我をしないように気をつけながら、できるだけ現場に立ち続けたいです」

岩本さん「私も、できるだけ長く現場に立ち、いろいろな仕事を経験していきたいですね。今は6万ボルトの鉄塔工事で架線などを担当していますが、将来的には22万ボルトや50万ボルトの送電線を実際に張る作業も経験してみたいと考えています。22万ボルトや50万ボルトになると、扱う設備や電線の本数や構造、使用する道具や工事機材の規模が大きくなります。より大きな設備や道具を使ったダイナミックな作業を、ぜひ一度経験してみたいですね」

――山本さんと岩本さん、お互いに尊敬するポイントをそれぞれ伺えますか。

山本さん「岩本君は、面白いことを言って場を和ませたり、チームの雰囲気を明るくしたりする存在。仕事では、疲れを見せないところや、鉄塔に張られている送電線に跨って作業をする「宙乗り」の安定感がすごいなって思います。まさか、お互いこんな仕事をすることになるとはね(笑)」

安定感抜群!という岩本さんの宙乗り
安定感抜群!という岩本さんの宙乗り

岩本さん「そうだね(笑)。山本君は、コミュニケーション能力がとにかく高い!とくに、社外の方とすぐに仲良くなれるところは尊敬しています。

自分は、初対面の人とは少し距離があったり、なかなか打ち解けられなかったりするんですけど、山本君は自然に距離を縮めて、気づいたら仲良くなっているんです。最初は別の会社の人なので、遠慮して、逆によそよそしくなってしまうこともあると思いますが、山本君はそういう壁を感じさせないというか。相手との距離の縮め方がうまいんですよね。そうしたコミュニケーション能力の高さがあるからこそ、後輩から頼られるだけでなく、先輩からも『任せて大丈夫』と信頼されているんだと思います」

「元気」「体力」「気配り」送電線の仕事に向いている人とは

――自衛官から電気業界へ、“環境が変わってよかった”と感じる瞬間は?

山本さん「自衛隊のときは、常に時間や行動に制約がありましたが、今は残業もほとんどなく、仕事が終わった後に遊びに行ったり、自分の時間を過ごしたり、時間の余裕があります。しっかり体を休める時間も取れるので、仕事とプライベートのメリハリをつけながら働くことができていますね」

岩本さん「自衛隊の仕事は少し自分には合わないと感じる部分もありましたが、今は仕事の働きやすさだけでなく、家族との時間もしっかり確保できていますし、自分に合った仕事だと感じています。以前よりもワークライフバランスを取りやすくなり、仕事とプライベートの両方を大切にできるようになったことも、転職して良かったと思えるポイントです」

――送電業界で活躍できる自衛官はどんなタイプの方だと思いますか?

岩本さん「元気があって、体力に自信があることはもちろん、周囲の状況を見ながら行動できる人が向いている気がします」

山本さん「それに加えて、しっかりコミュニケーションが取れる人もフィットすると思います。元気に挨拶してくれると、自分たちも嬉しいですし、仕事もしやすくなりますし。現場ではチームで作業することが多いので、周りとコミュニケーションを取りながら、協力して仕事を進めることが大切なんです。もちろん体力も必要ですが、それだけではなく、周りへの気配りや、状況に応じて判断して行動する力も重要だと思います」

――ありがとうございました。最後に、任期満了後の進路に悩んでいる後輩へ、メッセージをお

願いします。

山本さん「最初はどの業界に進むにしても、多少なりとも不安があると思いますが、実際に飛び込んでみないと分からないことも数多くあります。もし入ってみて『自分には合わない』と感じたとしても、また別の道を探すことができますから、まずは一歩踏み出して、経験してみましょう。

白鷺電気工業は、先輩や後輩の仲も良く、なんでも気軽に相談できる環境があります。みんなで助け合いながら仕事ができるので、安心して働くことができますよ。自衛隊出身者なら、それまでに鍛えてきた体力と精神力を活かして取り組めるので、電気について詳しくない方でも挑戦しやすい仕事だと思います。知識は研修と現場でしっかり学んでいけるので、大丈夫です!」

岩本さん「白鷺電気工業は、社員同士が和気あいあいと仲良く、互いに支え合いながら働ける会社です。仕事ではしっかり協力しながらも、普段は気軽に声を掛け合える雰囲気があり、チームワークも抜群。さまざまな部署がありますし、高いところが苦手な人が必ずしも高所で作業しなければならないわけではありません。いろんな部署を見て、自分に合った仕事を見つけてください。

電気の知識や資格がなくても、『やってみたい』という気持ちがあれば大丈夫です。最初は分からないことがあって当然。特に送電に興味を持って入社してくれた方には、自分たちがしっかりサポートしていくので安心してくださいね!」

凛々しい顔つきの、陸上自衛隊時代の岩本さん
凛々しい顔つきの、陸上自衛隊時代の岩本さん
今は送電業界でチームとして切磋琢磨しているお二人
今は送電業界でチームとして切磋琢磨している。

プロフィール

白鷺電気工業株式会社 

岩本 将樹(いわもと・まさき)さん ラインマン

山本 航平(やまもと・こうへい)さん ラインマン

会社公式ホームページ:https://www.shirasagidenki.co.jp/company/companyoutline/

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