現場レポート
教壇に立つのは僕らの先輩!「電気の魅力を伝える特別講座」を通して伝える電気業界で働く“リアル”な魅力
学校で電気について学ぶ機会はあっても、実際にどんな職種があって、どんな仕事をするのか、直接話を聞いたり、質問したりする機会はまだまだ多くはありません。そこで、「電気を学ぶことの面白さや楽しさ」「電気を学ぶとできること」「電気技術者としてのやりがい」を伝えるために、(一社)日本電気協会 中部支部は「電気の魅力を伝える特別講座」を毎年開催しており、今年が7年目とのことです。
2月のある日、今回は静岡県立科学技術高等学校でこの特別講座が開催されると伺い、ワットマガジン編集部も参加してきました。講師は同校を卒業し、現在、電気業界で働く先輩たち。本講座を通して、生徒さんたちにはどんな学びがあったでしょうか…?
目次
学校と企業をつなぐ、電気の未来づくり(一社)日本電気協会 中部支部が生み出す好循環
今回、ワットマガジンが訪問した「特別講座」とは、電気技術者の不足が懸念されるなか、次世代を担う高校生に向けて、電気に対する興味・関心を高める取り組みのひとつとして、(一社)日本電気協会 中部支部が毎年開催しており、今年で7年目となるそうです(静岡県立科学技術高等学校では3回目の開催)。
この講座は、電気業界で働く若手社員が、現役の高校生たちへ直接、自身が従事している電気業界の仕事を伝えることで、講師を派遣する企業にとっては、若手社員の教育も兼ねているとのこと。自分が積み上げてきた知識や経験をわかりやすく丁寧に教えることで、キャリアを振り返ったり、プレゼンテーション能力を磨いたり、若手社員の成長を促すことも期待されているのだとか。まさに相乗効果を狙っています。

そして今回、講師として教壇に立ったのは、同校出身で現在、中部電力パワーグリッド㈱で技術者として勤務する山本さん、松永さん、福澤さんの3人です。3人とも入社から5年〜7年ほどと、まだまだ若手社員です。変電部門、送電部門、配電部門、それぞれのお仕事内容、働き方、やりがい、入社後のキャリアや福利厚生の内容まで、今回は卒業生である先輩たちが母校の後輩たちへスライドや動画で丁寧に解説してくれました。
一限目:変電部門のお仕事
変電部門の講師を務めた山本康晋(やまもとこうしん)さんは、電気工学科を卒業後、中部電力パワーグリッド㈱へ。現在は静岡支社変電グループに所属しています。自身が携わった設備が何十年も残り続けることや、電気という目に見えないものを活用して人々の生活を豊かにしていることが仕事へのやりがいだと語ります。

自然災害により、変圧器が水没してしまった場合、使用不可能な状態になるため、ケーブルを付け替え、一式取り替えるといった大掛かりな作業を行う必要があると言います。大変ではあるものの、たくさんの人の暮らしを支えるために、安全かつ迅速に対応しているのです。
二限目:送電部門のお仕事
送電部門の講師である松永翔太(まつながしょうた)さんも、電気工学科を卒業後、中部電力パワーグリッド㈱へ。現在は静岡支社送電グループで架空送電線工事業務を担当しています。業務内容からライフスタイルに合わせた働き方などを教えてくれました。この日は普段は目にすることができないダンパなどの電線付属品を持参し、みんなに見せてくれました。生徒さんたちも見て、触って、非常に興味津々でした。

送電線といえば、鉄塔に登って作業をする姿が浮かびますが、質疑応答の時間では、「鉄塔に登る人に体重制限はあるの?」「鉄塔を登るにはどれくらい時間がかかる?」「天候不良や真夏日での作業はどうしているの?」など、たしかに気になる!という質問がちらほら。
松永さん曰く、高所が苦手でも研修で登る訓練があるため、徐々に慣れていくと言います。ちなみに、松永さんは60mの高さであれば15〜20分で登れるとか。フルハーネス着用で万全な安全対策を行い、ルールを徹底して守りながら作業をするため、基本的に事故はないそう。夏場は空調服や水分補給で無理なく作業を行うなど、安全に作業を行います。
三限目:配電部門のお仕事
最後の授業を担当したのは福澤一紀(ふくざわかずき)さん。現在は中部電力パワーグリッド㈱静岡支社の配電技術グループで配電工事業務に加え、若手への教育も担当しています。「配電の車がよく走っているのを見て身近に感じていた」という生徒さんもいましたが、配電部門は他部門より電気を使用するお客様との距離が一番近いのが特徴です。

配電部門の中には電圧の管理や設備エンジニアリングなどさらに部門がいくつかあり、ローテーションを行いながら会社が適性を見つつ、本人の希望も聞きながら配属先が決まっていくと言います。
中でも印象的だったのは、災害時、チームが即座に現場へ駆けつけ、24時間体制で作業を行ったという福澤さん自身のエピソード。夜間は休みをとりますが、現地で寝泊まりし、早期復旧に向けて尽力されたと言います(頑張った分は特別手当も!)。電気を早く届けたいという使命感で乗り切ることができたと福澤さん。大変な時もありますが、それでも社会基盤を支える必要不可欠な仕事であることが生徒さんにもしっかり伝わっていたようです。
先輩たちの話から自分の進路が見えてきた…?
電気工学科1年生が参加した今回の特別講座では、さまざまな意見をいただくことができました。
そもそも、電気業界にはどんな部門があってどんな仕事をするのか、入社後はどんなことをするのか、どんなキャリアを描けるのか…実際の話についてはインターネットで調べてもなかなか出てこない情報であり、実際に電気業界で働いている先輩の言葉だからこそ信頼ができたという声が多く、「入社後やその先のキャリアのイメージができた」「自分がやってみたいこととのすり合わせができた」など、先輩たちの実体験やリアルなアドバイスが、卒業後に就職を考えていた生徒さんの参考になったようです。
とくに、送電部門については「高所作業について、リアルな話を知ることができてよかった。研修制度があるなら安心」「鉄塔に登るのは大変そうだけど、やりがいを感じそう」など、高所作業は大変そうと思いつつ、興味が垣間みえました。
どの部門にもそれぞれやりがいがあり、生活に欠かせない電気に携わる仕事です。なんとなく知っていても、具体的な仕事内容や入社後のステップについては「初めて知ることばかり」という生徒さんがほとんどです。体を動かすのが好き、人と関わる仕事がしたい、災害時に現場へ出向き、災害に遭った人を助けたい、役に立ちたい、一人ひとりがさまざまな思いを抱えています。やりたいことをもとに、今後の進路を決めていくことができそうですね。

これから電気業界を目指す人へ。電気業界の先輩からメッセージ。
最後に、電気業界の先輩たちから、これからの進路に悩んでいる人に向けてアドバイスをいただきたいと思います。熱いメッセージをどうぞ…!
山本さん「変電部門の魅力は、各装置を正しく結合し、電気を供給するところです。スケールの大きな業務をしてみたい、多種多様な装置を扱ってみたい、設備形成を考えたい、リレーや細かな機構の点検をしたいという方には変電部門はおすすめですよ」
松永さん「進路がまだ決まっていなくても、今できる学びや経験を大切にしていれば、将来選べる道が広がっていきます。また、社会人になると、初めて直面することも多く、分からないことや不安なこともありますが、楽しいこともたくさんあります。無理のないペースで少しずつ頑張り、明るい未来へと羽ばたいて下さい」
福澤さん「自分の理想の就職先に就くには、勉強も大事ですが、仕事はチームで行っていきますので、友人や部活動の仲間とコミュニケーションを図ることも大事です。仕事や趣味も含め、なにか一つでも自分のやりたいことを見つけて、全力でこれからの人生をチャレンジしてくださいね」

特別講座の詳細ついてはこちらにてご案内しております。
https://www.chubudenkikyokai.com/pdf/top/nextgen_sp_seminer.pdf

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