身近な「もの」から仕事を想像する
あなたが普段から身近に接する商品から、仕事について考えを深めてみましょう。何でも構いません。それでは、分かりやすく、スーパーやコンビニで手に入るお気に入りのスナック菓子を例に考えてみましょうか。
商品は、いくつかのステップを経て私たちの手に届きます。そのステップはおおよそ以下のような流れです。また、それぞれのステップで仕事が存在します。
● ステップ0:売れるものを企画する 食品メーカーの仕事
● ステップ1:原料などを仕入れる 食品メーカーの仕事
● ステップ2:仕入れたものを加工する 食品メーカーの仕事
● ステップ3:売れる場所に配置する 食品メーカーと流通・小売業の仕事
● ステップ4:販売する(私たちは買う) 流通・小売業の仕事
ステップ0では、私たちが買いたい、食べたらおいしいと思い、また買いたくなるお菓子を企画する仕事です。どんなお菓子をつくるかが決まったら、ステップ1でそのお菓子の原材料を仕入れます。このとき、質がよく、安いものを仕入れる工夫をします。
ステップ2では、原材料を組み合わせ、決められた手順に沿って安心して食べられるお菓子をたくさんつくります。ステップ3では、スーパーやコンビニなどにお菓子を置いてもらうなど、なるべく多くの人に買ってもらうように工夫します。ステップ4では、スーパーやコンビニの人たちが、接客しながら最終的に私たちに商品を販売。
お菓子の食品メーカーと言えば、カルビーやグリコ、明治などが浮かぶのではないでしょうか。セブンイレブンやローソンなどのコンビニエンスストア、スーパーのイオンやイトーヨーカドーは流通業・小売業と呼ばれます。

身近な「ヒト」がどんな仕事をしているのか聞いてみよう
次に、身近な人にどんな仕事をしているのか、具体的なお仕事の内容を聞いてみましょう。聞くときは、下記の項目について聞くと、イメージがつきやすいです。
● 会社名、部署
● 具体的な仕事内容
● 仕事のやりがい
● 仕事の大変なところ
● 1日の仕事の流れ
● その仕事に就くのにどんな知識・技術が必要か
自分の興味がわく仕事のインタビューができるまで、何名かの人に協力してもらいましょう。学校によっては職業体験をさせてくれるところもあるでしょう。仕事をさせてもらえたら、事前のイメージと比較して、感想をまとめたりすることも、深い理解につながります。
職業は数え切れないほどありますから、職業に関する本を読んで理解を深めるのもおすすめです。

働くってなんだろう
「働く」とは、社会の一員として、自分の意思で社会に貢献することです。難しい言い方になってしまいましたが、いくつかの観点で簡単に説明していきましょう。
■なぜ働くのか
働くと、必ずお給料が得られます。つまり、自分が頑張ったぶんの対価が得られるのです。しかし、「生活する」ことだけを目的に働くのは理由として十分ではありません。なぜなら、対価を得るには「誰かの役に立つ」ことが重要だからです。お菓子メーカーの例でいくと「お客さまから喜ばれる商品をつくり、喜んでもらった」ことがこれに当てはまります。「食品メーカーとお客さま」という関係性の社会で貢献している、ということです。
別の言い方をすると、これば仕事の成果と言われるものです。つまり、働くにあたっては社会に貢献することで成果をだすことが求められるのです。

■ひとが働くために企業が守ること
企業などの団体、働く個人が、働くにあたり守ることがあります。
健康のために働きすぎない(長時間労働は禁止)、お給料をきちんと払う、病気になった時のために保険に入るなど、労働法という法律を守ることです。
ブラック企業という言葉を聞いたことはありますか?間違っていることだと分かりつつ、長時間労働を強制するのは、決してあってはならないことです。
■働き方も選択できる時代に
皆さんのお父さんやお母さんの世代では「正社員」という働き方が良いとされていました。「正社員」は、働く期間(契約期間)が定められておらず、生涯安定して働けるからです。それに反して契約社員は、働く期間が契約によって定められており、不安定だと言われました。
少し前までは「正社員」「契約社員」「アルバイト」「派遣社員」という雇用のされ方による働き方の違いが語られることが多かったのです。しかし現在、雇用のされ方だけではなく
● 雇われない働き方(自分で事業を行う)
● 2つの会社に勤めるなどの働き方
という働き方もあります。皆さんが仕事をする時には、上記のような働き方が当たり前になるでしょう。
「働く」について考えるとき、どんな仕事をするのか(仕事の中身・職種)だけではなく、自分が望む働き方(雇用される働き方、雇用されない働き方、どちらも併用する)についても、検討していく必要があります。