生活と電気
右ねじの法則とは?コイルとの関係も一緒にわかりやすく解説!
理科や物理の授業で必ず習う「右ねじの法則」。右ねじの法則は、電流と磁界の向きの関係を理解するための基本的な考え方で、コイルや電磁石、モーター、発電機など、私たちの身近な電気製品の仕組みにも深く関わっています。
この記事では、右ねじの法則の基本から、コイルとの関係、実際にどのような場面で使われているかまで、図やイメージを交えながらわかりやすく解説します。
目次
右ねじの法則とは
右ねじの法則とは、ねじをもとにして電流の向きと磁界の向きの関係を表した法則のことです。電線に電流が流れると、そのまわりには必ず磁界(磁石の力)が生まれますが、電流の向きと発生する磁界の向きの関係が、私たちが日常で使う一般的なねじ(右ねじ)を回す動きとねじが進む向きとよく似ていることから、「右ねじの法則」と名付けられました。

ドライバーでねじを締めるとき、時計回りに回すと奥へ進む(ねじが締まる)ようになっています。つまり、奥へ向かって電流が流れている導線を手前側から見ると、その周囲には時計回りの磁界が発生するということです。
電気と磁気には深い関係があります。電流が流れると、その周囲には磁界(磁力のはたらく空間)が発生しますが、右ねじの法則は、この磁界の向きを理解するために使われています。コイルやモーターや電磁石、発電機など、多くの電気機器の仕組みを理解するための基本原理になる、非常に重要な法則なのです。
アンペールの法則との違い
日本では「右ねじの法則」と呼ばれていますが、この法則の考え方はフランスの物理学者アンドレ=マリ・アンペールによる電磁気学の研究と深く関係しています。
1820年、デンマークの物理学者ハンス・クリスチャン・エルステッドが、導線に電流を流すと方位磁石が振れることを発見しました。その後、アンペールが電流と磁界の関係を理論的に研究し、「アンペールの法則」を定式化したことで、電磁気学の基礎が築かれていきました。それぞれの法則には次のような特徴があります。
右ねじの法則は「電流が流れたときに、どちら向きに磁界ができるか」を知るためのルールです。
アンペールの法則は「電流と磁界の強さの関係を数式で表した法則です。磁界の向きだけでなく、どれだけ強い磁界ができるかを計算するときに使われます。
ねじがないときは「右手の法則」を利用しよう!

ねじがイメージできない場合は、右手を使って電流と磁界の向きを考えることができます。図のように右手の親指をたて、他の指を曲げてください。そうすることで親指は電流の向き、残りの4本の指が示す向きが磁界の向きになります。
右ねじである理由ってなんだろう?
左ねじではなく、右ねじが標準とされている理由は、世界的に右利きの人が多く、右手で物を締める際、手首を外側に回す回外運動の方が、内側に回す回内運動より強い力を発揮しやすいためだと言われています。
産業革命が起きていた19世紀のイギリスでは、機械産業が活発になっていましたが、工場ごとにねじの寸法やかたちにばらつきがあり、生産性を上げるには互換性を持たせる必要がありました。そこで、ねじの寸法を統一するために、1841年にイギリスの技術者ジョセフ・ウィットワースが世界初のねじ規格「ウィットワースねじ (BSW)」を定めました。これにより、広く使われていた右ねじが標準規格として定められたのです。
右ねじの法則とコイルの関係

コイルとは、導線をぐるぐる巻きにした電子部品の一種です。コイルに電流を流すと、コイルを構成している導線1本1本に磁界が発生します。そして、それぞれの磁界が同じ向きに重なり合うことで、コイル内部には一方向へそろった強い磁界が発生します。コイル内部で磁界が一方向にそろうことで、コイル全体が棒磁石のような性質を持つようになるのです。
ここで、コイル内部の磁界の向きやN極・S極の位置を調べるために使われるのが右ねじの法則です。右ねじを電流の向きへ進ませたときの回転方向が、磁界の向きになるため、この関係を利用することで、コイルの内部や外側で、磁界がどの方向へ向かっているのかという「磁界の向き(ベクトル)」を正確に把握できます。
右ねじの法則はどんな時に使われるの?
右ねじの法則は、電流を流すときにどちら向きに磁界(磁力)ができるのか、向きを間違えないために使われます。実際にどのような場面で使用されているのか、いくつか事例をご紹介します。
①コイルや電磁石の極性を知りたいとき
コイルに電流を流すと、磁石のようにN極とS極ができますが、このとき右ねじの法則を使うことで、N極・S極の位置や磁界の向きを確認することができます。電磁石はコイルに電流を流して磁石にする仕組みで、電流を流すと磁石になり、電流を止めると磁力が消えるという特徴を持っています。
身近な例ではクレーンゲームの電磁石や工場の大型クレーン、自動ドアなどで利用されています。
②モーターの回転方向を考えるとき
一般的なモーターでは、コイルに流れる電流によって磁界が発生し、その磁界と永久磁石の力が引き合ったり反発したりすることで回転します。
モーター内部のコイルに電流を流すと右ねじの法則によりコイルが磁石(電磁石)になります。モーター内部にある永久磁石と電流で作られた電磁石が反発や吸引することで回転を生み出しているのです。
③電気設備や電子機器の設計をするとき
電線や電子回路に電流が流れると磁界が発生しますが、このとき、近くにある別の電線や電子部品に影響を与えることがあります。この磁界の影響によって不要な電気信号が発生することがあり、これが電気ノイズの原因になります。
本来必要な信号以外の成分が混ざることで、機器の誤動作や通信エラーなどを引き起こすため、電気設備や電子機器の設計では、磁界がどの向きへどの程度広がるのかを把握することが非常に重要です。ここで右ねじの法則を使えば、磁界の向きを理解して、どのような配置にすれば影響を抑えることができるかが判断できるのです。
また、工場やビルにある変圧器(トランス)や、電気のスイッチを切り替える電磁リレーは、コイルに電流を流して強い磁界を作るため、この内部設計や極性を決めるときにも右ねじの法則が使われています。
まとめ
右ねじの法則は、電流の向きと磁界の向きの関係を理解するための基本的な法則です。一見難しそうに感じる電気と磁気の関係も、右手やねじの動きをイメージすると、直感的に理解しやすくなります。ぜひ、身近な電気製品がどのような仕組みで動いているのかを考えながら、右ねじの法則への理解を深めてくださいね。

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