【エッセンシャルワーカー対談 第三回】人が生きるために、そして生活を彩るために、欠かせない電気と食物。2つの業界から考える持続可能な未来とは

【エッセンシャルワーカー対談 第三回】人が生きるために、そして生活を彩るために、欠かせない電気と食物。2つの業界から考える持続可能な未来とは

新型コロナウイルスの感染拡大により、注目を集めている「エッセンシャルワーカー」。電気設備の保安点検を行う電気管理技術者は、エッセンシャルワーカーとして多くの人々の生活を支えています。第三弾では農業従事者の小黒さんをゲストのお招きし、対談を実施。電気業界と農業の現場で働くお二人から、互いの働く現場と今後、そして電気と農業のこれからの可能性について語っていただきました。


対談に参加されたエッセンシャルワーカーお二人のプロフィール(あいうえお順)

【参加者 #1】

小黒農場

小黒 裕一郎さん

1979年2月生まれ。横浜出身。妻と子ども3人の5人暮らし。2005年に妻と山梨へ移住し、NPO農場で6年間有機農業に従事。2011年に独立就農し、自然栽培(無肥料無農薬)で野菜作りをしている。得意な品目はトマトとさやいんげん。 地域農業の将来の担い手を確保するために、農業者グループ「みずがきベジタブル 」メンバーとして、農業研修生の積極的な受け入れを行っている。 

【参加者 #2】

東京電気管理技術者協会

電気保安管理業

田宮 伸光さん

1970年10月生まれ、埼玉県出身。 妻子供5人家族。

23年間、自動車メーカーにてプラントエンジニアとして従事したのち、2018年より独立。所有している国家資格をもとに、主体は電気設備管理と総合エネルギーの需給調整などのマネジメントを提供している。 今後も持続可能なエネルギーとそれを担う人材の教育に尽力したいと考え、自己啓発はもとより新人のOJT(オンザジョブトレーニング)を遂行している。

それぞれの業界に入った理由は…?

━━本日はエッセンシャルワーカー対談にご出席くださり、ありがとうございます。早速ですが、お二人の自己紹介からお願いします。


田宮伸光さん(以下田宮さん)「私のおもな仕事は電気を安全にお客さまの方で使っていただけるように、保安点検・管理をして、生産設備などの運用維持を図ることです。また、電気をより効率的に使用するアドバイスやマネジメントもしています」

小黒 裕一郎さん(以下小黒さん)「はじめまして、わたしは山梨県の北杜市で野菜の生産と小売店への出荷を主とした農業をしております。栽培規模は約2ヘクタールという面積―野球のグラウンド2つ分くらい―です。そこで日々、妻と私、そして研修生2名が作業しています」


━━お二人が現在のお仕事に就くことになったきっかけを教えてください。

田宮さん「私は以前、大手自動車メーカーに籍を置き、国内外で23年間、プラントエンジニアとして働いていました。仕事で世界の様々な国を訪れ、そこで様々な人々との生活をしてきた中で、人が共生していくうえで一番重要なものは、やはりライフラインだと改めて気づき、とくに電気の大切さを実感しました。

今、ほとんどの人が生活の中で日常的に電気を使っていますよね。そういった、なくてはならないものに携わっていきたいという想いがどんどん積もっていったのです。電気の仕事に携わるにはライセンスが必要ですから、在職中、必死になって勉強して資格を取得。現在に至ります」

小黒さん「私は26歳のときに神奈川から山梨に来て、農業をはじめました。もともと妻の方が農業に興味をもっていて、一緒にやらないかと誘われたことがきっかけです。私自身、アウトドアが好きだったこともあり、すんなりと入ることができました。きっかけはやや受動的かもしれませんが、今では農業が天職だと感じています」

田宮さん「農業は予測しづらい天候の影響も大きく受けますし、専門知識も欠かせません」

小黒さん「はい、毎日が勉強です。私の場合、新規就農といって、自ら農業という事業を興す形で業界に新規参入しましたので、研修を受けたり、独学で勉強したり、最初の10年は覚えることも山積みで大変でした。最近になってようやくちょっとした余裕がでてきましたが、野菜は生きていますから、まだまだ学ぶことも多くあるんです。そこが面白かったりもしますね」

私たちの生活は、“当たり前”を支える人がいることで成り立っている

━━お仕事の中でやりがいを感じること、また、やりがいを感じたエピソードなどございますか。


田宮さん
「スイッチを入れると瞬時に照明がつきますし、ボタンを押せば機械が動く。多くの方が、電気はあってあたり前という感覚があるかもしれませんが、これはどのように電気が流れて動くのだろうとか、しくみについて考えたりする人はほとんどいないでしょう。電気は目に見えない危険が伴いますので、私たちのような技術者や専門分野の人間が必要です。自分たちの知識や経験を活かして、お客さまを助け、喜んでいただける。それがこの仕事のやりがいです。

電気は生活だけでなく、企業の事業にも欠かせないものですから、故障が起きたら復旧までは時間との勝負。工場などの生産が止まってしまうし、農家さんであれば、冷蔵庫が使えないなど、せっかく育てた野菜たちが傷んでしまう。お客さまの生活基盤に直結するものです。そんな緊張感のある場面で、自分たちの技術によって想定していたよりも早く修復できたときは、お客さまも喜んでくださいますし、強くやりがいを感じます。

私の仕事は、総合職というよりも専門職。そこは小黒さんの農業も同じではないでしょうか。専門知識を活かして、人々の生活を支えていく。それがこの仕事の最大の魅力。合わせて、自分の技術が、直接、利益につながることも大きな魅力だと思います」

小黒さん「農業も同じで、知識と技術、そして経験が、直接結果に結びつくところが魅力です。また、アウトドア好きな私にとって、自然の中で仕事ができるのも大きなポイントですし、自分で自分の食べ物を育てるというのも他の仕事にはない魅力です。ただ、田宮さんがおっしゃったように、農業は気候や天候の影響を直に受けますので、天候に恵まれないときは、収穫量も減ってしまいます。そこが大変だなという反面、乗り越えた時に得るものが多くあります。

ここ最近で一番印象的だったのは、2年前の梅雨のできごとです。その年は例年、7月の中下旬で終わるところが、8月の初旬まで大雨が続きました。私の農場では、トマトをおもに栽培しているのですが、トマトは雨が大嫌い。ですから、梅雨が長引いたことで、病気のトマトが増えてしまったのです。

今年はもう全滅してしまうかもしれないと思いましたが、諦めず丹念に世話をしつづけました。その結果、天候の回復とともに、トマトも元気を取り戻し、予定量の7割を収穫することができたのです。普段の収穫量と比べると少ないですが、0になりそうな状況から立て直すことができた。自分の手で復活させることができる、丁寧に育てればちゃんと応えてくれる。そういうところも農業の醍醐味かもしれません」

生き生きと育つトマトたち

━━仕事へのモチベーションになっていることはなんでしょう。


田宮さん「私は自分が請け負った仕事には、付加価値をプラスすることを常に意識し、業務へ取り組んでいます。これからの電気業界では、電気の安定供給を維持するだけでなく、新たな取り組みにチャレンジして、お客様へ新たな価値を提供することが必要です。今までの仕事に加え、自分の技能や知識を活かして、お客様の利益や安全を向上させる。より、高度で幅広い提案ができるよう、日頃から勉強しています。また、自分の知識や技術が報酬に直結するのもモチベーションになっていますね」

小黒さん「私は自分の農業スタイルにこだわりを持っています。通常、肥料や農薬を使うところ、私は肥料や農薬を一切使わない、いわゆる自然栽培で農作物を育てています。これは、食べる人の健康に気を使った栽培方法で、私自身、アウトドアの活動をするなかで、自然環境や食、健康に気を使っていたことから、この方法を選びました。今後も農業を続けていく限り、この栽培法にこだわり続けたいと思っています。

体に優しいものは自然にも優しいので、今後さらに、自然栽培の農家さんが増えていってほしいなと思っています。そのため、これから農業をはじめようと志す若者を1人でも多く研修生として受け入れ、地域に、就農という形で還元しようと考えています。それが日々のモチベーションにもつながっていますね」

電気と農業にある共通点は「●●」

━━電気も農業も、私たちの生活にはどちらも欠かせないものです。そんな共通点をお持ちの農業と電気業界に携わるお二人ですが、お互いの目には、それぞれの業界がどのように映っているのでしょうか。


田宮さん「実は私の親族が農園を経営していることもあり、私も時間があるときにお手伝いに行きます。親族はよく“コスト削減”について頭を悩ませていますが、小黒さんが何か取り組んでいることはありますか?」

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