半導体とは?種類・材料・歴史までわかりやすく解説!

更新日:2026.08.21投稿日:2023.09.22

半導体は、スマートフォンやパソコン、自動車、家電、産業機械など、現代社会を支えるあらゆる電子機器に欠かせない重要な部品(部材)です。近年は「半導体不足」が大きな話題となり、その存在を耳にする機会も増えました。本記事では、半導体とは何か、種類や役割、歴史までをわかりやすく解説していきます。

半導体とは

半導体とは、電気を通したり通さなかったりする性質を持つ物質の総称で、電気の流れをコントロールできるのが特徴です。また、トランジスタやダイオード、IC(集積回路)といった半導体を用いたデバイスのことを「半導体デバイス」といいます。

導体とは、電気を通しやすい物質の総称で、銅やアルミニウム、鉄などが該当します。一方、絶縁体は電気を通しにくい物質の総称で、木やゴム、ガラス、陶器などが該当します。これらの中間的な性質を持ち、条件によって電気を通したり通さなかったりする物質が半導体です。純粋な半導体はそのままではほとんど電気を通しませんが、わずかな不純物を添加することで、電気の通しやすさを制御できるようになります。

半導体は何からできているの?

半導体材料は大きく分けて次の2種類に分類されます。

元素半導体

単元素半導体は、1種類の元素のみで構成される半導体のこと。半導体材料として最も主流なシリコンは、砂や石英に多く含まれ、地球上で豊富に存在しています。加工しやすく安価に製造できることに加え、電気的な特性にも優れているため、現在の半導体材料の主流となっているのです。

単元素半導体・・シリコンとゲルマニウム
材料特徴主な用途
シリコン(Si)地球上に豊富に存在し、加工しやすく安価。CPU、メモリ、パワー半導体、太陽電池
ゲルマニウム(Ge)電子の移動速度が速いが、熱安定性にやや劣る。高速通信、赤外線センサー、特殊な電子機器

●化合物半導体

化合物半導体とは、シリコンのような単一元素ではなく、2種類以上の元素を組み合わせて作られた半導体の総称です。用途に応じてさまざまな元素を組み合わせることで、高速動作や高耐圧、高周波特性などの優れた性能を実現できるのがメリットです。

材料特徴主な用途
ガリウムヒ素(GaAs)電子の移動速度が速く、高周波特性に優れている。スマートフォン、高速通信、衛星通信
炭化ケイ素(SiC)高耐圧・高耐熱で電力損失が少ない。電気自動車(EV)、鉄道、産業機器
窒化ガリウム(GaN)高効率・高速スイッチングが可能。急速充電器、5G基地局、電源装置
リン化インジウム(InP)光通信に適した特性がある。光ファイバー通信、データセンター

半導体(半導体デバイス)でできること

半導体は、電気の流れを自在にコントロールすることで、電子機器にさまざまな機能を持たせることができます。半導体デバイスは、機能や用途によって情報を処理する「ロジック」、記憶する「メモリ」、電力を制御する「パワー」、信号を変換する「アナログ」の4つに分類されます。

1. ロジック半導体(デジタル半導体)

ロジック半導体は、トランジスタを用いて計算や制御などの論理演算を行う半導体です。パソコンやスマートフォン、家電、自動車など、さまざまな電子機器に搭載され、機器全体の動作を制御したり、データを処理したりする重要な役割を担っています。近年では、AI(人工知能)の発展に伴い、大量のデータを高速に処理できる「GPU(Graphics Processing Unit)」をはじめとするロジック半導体への需要が急速に高まっています。

ロジック半導体の役割電子機器の「頭脳」として情報の計算や演算、機器の制御を行う
代表例CPU、GPU(AI処理など)、マイコンなど

2. アナログ半導体

アナログ半導体は、光・音・温度など、自然界に存在する連続的に変化する「アナログ信号」を処理・変換する半導体です。主にカメラのイメージセンサーやマイク、各種センサーなどに用いられています。マイクの場合、音声というアナログ信号を電気信号に変換し、デジタル回路で処理できる信号へ変換します。一方スピーカーの場合は、デジタル回路で処理された信号をアナログ信号に変換し、音として出力します。

アナログ半導体の役割音、光、温度などの現実世界のアナログ信号を検出し、デジタル回路が処理できる信号へ変換する「目・耳・口」の役割
代表例各種センサー、マイク、スピーカー、アンプなど

3.メモリ半導体

メモリ半導体は、データを記録・保存するための半導体です。パソコンやスマートフォンのメモリやストレージに使用され、プログラムや写真、動画、文書などのさまざまなデータを一時的または長期的に保存する役割を担っています。

メモリ半導体は、大きく「RAM」と「ROM」の2種類に分けられます。RAM(Random Access Memory)は、電源を切るとデータが消える揮発性メモリで、アプリの実行やデータ処理中の一時保存に利用されます。一方、ROM(Read Only Memory)は、電源を切ってもデータが保持される不揮発性メモリです。近年では、ROMに代わり、SSDやUSBメモリなどに使われる「NAND型フラッシュメモリ」が代表的な不揮発性メモリとして広く利用されています。

メモリ半導体の役割データやプログラムを一時的、あるいは長期的に記憶・保存する
代表例RAM、NAND型フラッシュメモリなど

4. パワー半導体

パワー半導体は、大きな電流・高電圧を制御・変換する半導体です。高電圧や大電流を扱うパワー半導体は電子機器の筋肉や心臓部として機能し、電力を効率よく利用できるのが大きな特徴です。エアコンや冷蔵庫などのインバーター制御部をはじめ、ハイブリッド車や電気自動車(EV)のモーター駆動、LED照明の電源回路、太陽光発電システムなど、電力を効率よく利用するさまざまな機器で活用されています。

パワー半導体の役割電圧や電流の変換、電力の供給・制御を行い、エネルギーの効率化(省エネ)を実現する
代表例パワートランジスタ、ダイオードなど

半導体指数とは

近年、ニュースや経済番組で「半導体指数が上昇した」「SOX指数が下落した」といった言葉を耳にする機会が増えました。半導体指数とは、半導体メーカーや半導体関連企業の株価の動きをまとめて表した株価指数のことを言います。

株価指数とは、複数の企業の株価をもとに、市場全体の値動きを示す指標です。半導体指数を見ることで、半導体業界全体が好調なのか、それとも不調なのかを大まかに把握できるのです。たとえば、半導体メーカーの株価が全体的に上昇すれば半導体指数も上昇し、多くの企業の株価が下落すれば指数も下落するということです。

半導体指数が注目されている背景

スマートフォンを筆頭に、パソコン、AI、データセンター、電気自動車、家電製品、産業用ロボットなど、半導体は現在、あらゆる電子機器に使用されていることから、世界経済の動向を反映しやすいとされています。これらの市場が成長すると半導体需要も増えるため、半導体企業の業績が伸びて、半導体指数も上昇しやすくなります。そのため、景気やIT業界の動向を映す指標として世界中で注目されているのです。

半導体の歴史

半導体の歴史は、電気を制御する技術の進歩とともに発展してきました。現在ではスマートフォンやAI、自動車などに欠かせない技術ですが、その始まりは100年以上前にさかのぼります。

半導体の歴史〜1900年代から2010年代までを解説

1900年代前半:半導体の性質が発見される

19世紀末から20世紀初頭にかけて、一部の鉱物には電気を一方向にだけ流す性質があることが発見されました。この性質を利用して開発されたのが「鉱石検波器」です。鉱石検波器は初期のラジオ受信機で電波から音声信号を取り出す役割を果たし、半導体が実用化された最初の例とされています。

1947年:トランジスタの発明

1947年12月23日、米国ニュージャージー州マレーヒルのベル電話研究所(※)で、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテン、ウィリアム・ショックレーが世界初のトランジスタを発明しました。

それまで電子機器には真空管が使われていましたが、小型で省電力、壊れにくいうえ長持ちするという特長を持ったトランジスタの誕生により、電子機器が大きく進化を遂げます。なお、この功績により、3人は1956年にノーベル物理学賞を受賞。これを機に、電子機器の小型化と省電力化が一気に加速します。

※現代の情報化社会の基盤を築いたアメリカの伝説的な研究機関

1958~1959年:IC(集積回路)が誕生!

テキサス・インスツルメンツで電子技術者を務めていたジャック・キルビーが1958年、ゲルマニウム基板上に複数の素子を配線でつないだ世界初の集積回路ICを完成させました。その後、「フェアチャイルドセミコンダクター」のロバート・ノイスが、1959年に平面上(プレーナー技術)で回路を構成するICを独自に出願。特許をめぐってジャック・キルビーとロバート・ノイスによる激しい法廷闘争が繰り広げられましたが、最終的には両社が相互ライセンスを結び、半導体産業の発展へとつながりました。

量産性に優れたフェアチャイルド社の方式は、現代においても半導体製造プロセスの標準的なプロセスとして広く採用されています。

1970年代:マイクロプロセッサの登場

先述したロバート・ノイスが設立したインテル社が、日本の電卓メーカー「ビジコン」からの開発依頼を受け、世界初となるCPUの機能を1つのチップに集積したマイクロプロセッサ「4004」を開発。これは、電卓用に開発された4ビットのプロセッサで、コンピュータの頭脳をわずか数ミリのチップに集積するという多大な功績になりました。

1980年代:半導体が生活に浸透

その後、東芝、日立製作所、NECなどの日本企業が高集積度なメモリチップ(DRAMなど)を製造し、世界的にも圧倒的なシェアを獲得します。一方、この影響により、アメリカの半導体産業は深刻なダメージを受けたことで、米国半導体工業会(SIA)が政府へ提訴するなど、両国間の重大な政治問題に発展。これが日米貿易摩擦を引き起こし、日本市場における外国製半導体のシェア拡大(20%以上)の努力義務や輸出価格の監視などを盛り込んだ、日米半導体協定が1986年に締結されました。そして、これを機に米国ではファブレス(設計特化)とファウンドリ(製造特化)に分かれる水平分業モデルが推進されていきます。

1990年代〜2000年代PCの隆盛と日本の苦戦

パーソナルコンピュータ(PC)や家庭用ゲーム機の普及とともに、インテルに代表されるマイクロプロセッサや、韓国・台湾勢のメモリ・ロジック半導体が主流になりました。垂直統合型(自社で設計から製造まで行う)を貫いた日本の大手メーカーは、投資負担とコスト競争力の面で苦戦を強いられ、シェアを大きく低下させる結果に。

2010年代以降

今日の半導体産業は、回路線幅が数ナノメートル(nm)レベルという極限の微細化競争に突入しています。台湾のTSMCのような巨大ファウンドリが世界の製造を牛耳り、米国のエヌビディア(NVIDIA)のようなファブレス企業がAI向けGPU市場を牽引する構造が定着しています。また、経済安全保障の観点から、日本国内でも「ラピダス」といった、次世代半導体の国産化に向けた大規模なプロジェクトが進行中です。

まとめ

電気を自在に制御するという特性を生かし、情報処理やデータ保存、電力制御、通信など、幅広い分野で活躍する半導体は、現代には欠かせない存在です。AIや電気自動車、IoTの普及拡大に伴い、その重要性は今後さらに高まると考えられています。半導体について理解を深めることは、未来の技術や社会の変化を知る第一歩となるでしょう。

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