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モバイルバッテリーの仕組みや選び方とは?使用上の注意点も解説!
スマートフォンやパソコン、ゲーム機などのモバイル機器を持ち歩くのが当たり前となった現代。思わぬ電池切れ対策としてモバイルバッテリーを持ち歩いている方も多いはず。
今回はモバイルバッテリーについて、具体的な原理や性能の違い、使う上での注意点を解説していきます。
モバイルバッテリーの仕組み
モバイルバッテリーは、持ち歩きに特化した携帯型バッテリーのことで、その多くが内部にリチウムイオン電池を内蔵しています。リチウムイオン電池はリチウムのイオンを活用した二次電池で、エネルギー密度の高さや寿命の長さなどからモバイル機器のバッテリーとして重宝されています。内部は正極と負極、電解液で構成され、リチウムの金属化合物が、負極にはリチウムイオンを貯蔵できる黒鉛が主に使用されます。
モバイルバッテリーに外部電源を接続すると、充電プロセスが始まります。電子が外部電源を経由して負極へと流れ、同時に正極で発生したリチウムイオンが負極へ集まることで電気が蓄えられます。また、放電プロセスはスマートフォンやパソコンなどの端末をバッテリーに接続することで始まり、負極に蓄えられたリチウムイオンが電解液を経由して正極に移動し、同時に電子が端末を経由して正極へと流れる途中で、接続した機器に電気エネルギーが充電されます。
モバイルバッテリーを選ぶときに注目したいこと
世の中には様々なモバイルバッテリーが販売されています。具体的な仕様の違いは、バッテリーの容量、出力電流の大きさ、バッテリーの種類、デザインなどです。 バッテリーの容量は、流れる電流値と時間の積を表す[mAh]という単位で示され、単純に数値が大きいほど大量の充電が可能です。また、フル充電するまでにかかる時間を気にする方は出力電流値[A]も確認しておきましょう。出力電流値は充電速度に比例し、数値が大きいほど単位時間辺りに流れる電流値が大きくなるため、早く充電させたい方は極力大きな出力電流値のバッテリーを購入しましょう。
また、バッテリーの種類や形状、重量も確認ポイントの1つです。モバイルバッテリーには充電用のケーブルが内蔵されたケーブル付属型や、充電器と一体になったハイブリッド型、ワイヤレス充電にも対応しているワイヤレス充電対応型などがあります。また、デザイン面でも平面状の薄型や棒状のスティック型、スマホケースと一体となったケース型などがあります。機能、利便性、形状、色合い、重さなど、用途と好みのデザインで選びましょう。
モバイルバッテリーを安全に長く使うためのポイント
モバイルバッテリーを安全に使用するために注意することは、熱と衝撃です。よくモバイルバッテリーが自然発火を起こして火事になったというニュースを耳にしますが、これはモバイルバッテリーに搭載されているリチウムイオン電池に過度な衝撃や熱が加えられたことが原因です。 リチウムイオンバッテリーには正極と負極の間にセパレータが正極と負極の短絡を防いでいますが、過度な衝撃が加えられてセパレータが破損すると、電極同士が短絡を引き起こし大きな短絡電流が流れます。またメーカーの推奨を超えた高温環境にバッテリーを放置した場合も電極やセパレータの劣化を招き、同様の短絡現象を引き起こす恐れがあります。リチウムイオン電池には可燃性の材料も使われているため、短絡電流によって大きな熱が生まれると、自然発火が引き起こされてしまうのです。 また、モバイルバッテリーの性能を長期的に安定させるには、過充電や過放電にも注意が必要です。過充電は満タン状態になったバッテリーを充電し続けることで、過放電は残量がなくなったバッテリーを充電せずに長時間放置することです。いずれもバッテリーの性能を著しく低下させる原因となるため、適宜必要な量の充電を行うよう心がけましょう。
まとめ
使用上の注意点を知らないと思わぬ火災を招く恐れがあるため、安全に使用しましょう。
プロフィール
佐藤竜騎 2017年4月に某大手石油化学工場へ就職し、現在まで電気・計装設備の保全・更新計画の検討/立案から工事の実行まで一貫した業務に従事。携わった機器/システムは、分散制御システム(DCS)、流量/液面/圧力/温度の検出/制御機器類、ガス漏洩検知システム、プロセスガスクロマトグラフィーやpH計を始めとする各種オンライン分析計、など多岐にわたる。現在は副業として電気/電子分野の専門知識に特化したウェブライター活動にも精を出している。 保有資格:第3種電気主任技術者、第二種電気工事士、認定電気工事従事者、高圧ガス製造保安責任者(甲種機械)、工事担任者(AI/DD総合種)、2級ボイラー技士、危険物取扱者乙種4類など