入社5年目。“なんとなく”はじめた仕事が今は私の心に灯をともす–22歳女子の仕事観

更新日:2020.04.10投稿日:2020.04.10

学生時代を終え、社会人としての第一歩を歩む始めの職場は自分の人生を決める重要な場所。しかし社会に出たことがない学生さんにとっては、どんな会社がいいのか分からず、“なんとなく”で決めてしまうことも。四国電気保安協会の梶村彩姫さんもそんな一人でした。しかし、「仕事に向き合うなかで徐々に仕事愛が芽生えていった」と語る梶村さん。4年間で変化した仕事観とは?

早く社会人になりたかった。高校時代の決意

――現在のお仕事内容を教えてください。

「高校を卒業後、2016年に四国電気保安協会の徳島支部に入り、2020年4月で5年目を迎えました。私のおもな業務は、徳島県内にある建物の電気設備(自家用電気工作物)の点検や保守管理です。まだまだ実務経験が足りないので、先輩の補助として現場へ出向き、経験を積んでいる最中です。あと数年頑張れば独り立ちできるので、その日を早く迎えたいですね」

――この仕事に就こうと思ったきっかけは?

「もともと工業高校の電気科に通っていたこともあり、高校2年生の時に四国電気保安協会のインターンシップに参加しました。職場の雰囲気の良さに、“なんとなく”入社試験を受けてみようと。電気主任技術者の職種を選んだ理由は、在学中に先生から電気主任技術者の業務をこなすために必要な資格である、第三種電気主任技術者(電験三種)の試験を受けないかと打診されたからです。もともと在学中に、電気設備を作業するために必要な第一種電気工事士と第二種電気工事士の試験に合格していたので、だったら電験三種も受けてみようかなって、軽い気持ちで受けました」

――在学中に電験三種の試験をパスしたんですか?

「実は試験に受からなくって…(汗)。高校2年生(2014年)から試験を受けていましたが、最終的に合格できたのは2019年。はじめて試験を受けてから6年もかかっちゃいましたね。高校生の時は学校の補修を受けて勉強し、社会人になってからは会社が主催する勉強会に出て、勉強しました。実は、私自身はもともと勉強が苦手で。2019年に受けた時は、今回落ちたら仕事を辞めてやるーってくらいの意気込みで受けたんです(笑)」

――梶村さんにとって大きな試練だったのですね。

「社会人になってもっとも辛かったのはこの試験かもしれません(笑)。勉強が苦手だったから、大学進学もしないと決めていたくらいですし。早く社会人になって、一人前の大人として働きたかったので、就職できたことが本当にうれしかったですね」

――その目標は叶いましたか?

「そうですね(笑)。電気って、私たちの生活になくてはならないものなの。だから、仕事は必ずあるんです。どんなときも仕事が安定しているのでやっぱり安心感はあります。お給料を貯めて、20歳の時に新車を購入。月々のローンを支払うのは大変でしたが、今は完済したので、もうお金で悩むこともありません!と言いたいですが…」

学んだことができるようになった時に喜びが沸き上がる!

――先ほど「なんとなく」入社試験を受けたと言っていましたが、実際に働いてみてどうですか?

「ツライとか嫌だなと思ったことはたくさんありましたが、それ以上に今の職場は、みんな接しやすいので、人間関係に悩むことはほぼありません。楽しみながら日々の仕事に取り組んでいます。仕事の中でも気持ちが上がるのは、今まで学んできたことが現場で実践できた時。たとえば電気設備の保護装置試験で、仕組みを理解して、実際に自分の手で操作をして動いた時なんか、よっしゃー!って心の中で叫んじゃいます」

――四国電気保安協会の電気主任技術者の女性第一号は、梶村さんだと聞きました。女性初ということで、働くうえで困ったことはありましたか?

「現場へ行くと、男性トイレしかなかったり、女性専用の着替えるスペースがなかったりするので、その点はさすがに困ることもありますね。しかしそういう時は上司がしっかり配慮してくれて、コンビニに寄ってくれますし、特段大変だと思うことはないかな。あと、大変なのは夏。汗で化粧が流れてしまうため、メイクができないんですよ〜。だから、普段からノーメイクで作業に集中しています」

――ノーメイクで仕事するのは心もとないですね。

「そうですね。いまは電気主任技術者の女性社員が後輩として入ってきたので、このような悩みを共有しています。女性同士しかわからないこともたくさんあるので、お互い話しながら『あるよねえ〜』って共感し合えるのは嬉しい。今後は私が苦労した分、後輩たちが心地よく働けるようフォローしていきたいですね」

――心強いですね。“なんとなく”の入社時からすると、責任感がかなり強くなった?

「そうですね。働く中で徐々に仕事への責任感が芽生えたのかもしれません」

――今後の目標は?

「まずは電気主任技術者として一人前になること。そして、ある程度したら違う職種にもチャレンジしていきたいと思っています。とくに興味があるのは営業職。私の元係長が営業部に異動になり、ある日、付いて行ったんです。営業っていいなって思いました。電気主任技術者という仕事は楽しいのですが、それ以外の仕事も経験してみたいですね」

――その願いが叶うといいですね。では最後の質問です。梶村さんにとって電気とは?

「なかったら困るもの。そして目に見えないから怖いものでもあります。一度、作業中に感電しそうな体勢になり先輩に怒られたことがあって、その時に電気の怖さを知りました。だからより丁寧に扱わなければならないと思いながら仕事をしています」

<梶村彩姫さんプロフィール>

2016年、女性初の保安技術職として四国電気保安協会に入協。現在は徳島支部に勤務。高校在学中に第一種電気工事士、第二種電気工事士の資格を取得し、社会人になってから第三種電気主任技術者を取得。保安点検などの応援にも意欲的に取り組み、高く評価されている。

<取材・執筆>

野田綾子

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