現場レポート
〜電気業界で頑張る人を讃えよ!〜祝!第70回「澁澤賞贈呈式」参加レポート
民間で唯一(!)となる電気保安関係表彰「第70回澁澤賞贈呈式」(主催:日本電気協会・澁澤元治博士文化功労賞受賞記念事業委員会)が2025年11月18日、東京商工会議所渋沢ホールにて執り行われました。今年は記念すべき第70回目!さて、「澁澤賞」とは一体どんな賞なのでしょうか…?この記事では、澁澤賞贈呈式に参加してきたワットマガジン事務局が、この歴史ある表彰制度について詳しく解説していきます!
※メイン画像は表彰式の様子(令和7年度第70回澁澤賞贈呈式より)。
目次
そもそも「澁澤賞」とは

賞の由来となっている「澁澤元治」先生は、今や一万円札の顔となったことで誰もが知る資本主義の父「渋沢栄一」氏の甥にあたります。「澁澤元治」先生は、明治39年に逓信省入省以来「電気事業法」をはじめ、現在の「電気設備技術基準」の前身にあたる「電気工作物規程」の制定や「電気主任技術者制度の改革」に尽力されるなど、日本国内の電気保安体制の確立に大きな功績を残しました。

また、東京帝国大学教授と工学部長を歴任した後、名古屋帝国大学の総長として同大学の創設に奔走するなど、電気工学の教育や発展に半生を捧げたことでも知られています。これらの功績により、昭和30年に電気関係では初の文化功労者として、名誉ある表彰を受けました。その栄誉を記念し、「澁澤元治博士文化功労賞受賞記念事業委員会」(略称:澁澤委員会)が設立され、翌昭和31年、電気保安に優れた貢献をされた方々を顕彰する「澁澤賞」が制定されたのです。
どんな人が受賞されるの?~研究も現場も、誰もが輝くチャンスが電気業界にある~
民間で唯一の電気保安関係表彰である「第70回澁澤賞贈呈式」(主催:日本電気協会・澁澤元治博士文化功労賞受賞記念事業委員会)が2025年11月18日、東京商工会議所渋沢ホール(東京・千代田区)で挙行され、電気保安確保に優れた業績をあげた、個人21件、グループ30件、計51件(151名)が表彰されました。
澁澤賞の表彰には、以下の5つの区分があり、各区分からそれぞれの所属会社や所属団体から推薦を受け、選考委員会の厳正なる選考審査をとおして受賞が決まります。

⑴発明・工夫、設計・施工
電気の保安、信頼度の向上について、有効なシステム、機械器具、工具、工法、その他施設等の発明・工夫、設計・施工を行い、その実用化後3年以上を経過してその有効性を実証した方。
⑵電気技術規格・基準の制改定
電気技術規格・基準関係の委員会の委員等として、技術規格・基準の制改定を10年以上にわたり行い、電気の保安、信頼度向上について顕著な功績をあげた方。ただし、年数は通算。
注)「電気技術規格・基準関係の委員会」とは、電気技術や保安について独自の規格・基準を持つ団体等(電気、電力、原子力、エネルギー、電機、機械、通信、電線、電設、土木、建設、消防、鉄道、標準、規格、品質保証等に関係する機関、研究所等)が運営する委員会組織のこと。
⑶学術研究
大学、大学院、研究所等に在籍し、電気の保安、信頼度向上のための調査、研究、およびそのサポートなどを20年以上にわたって行い、顕著な功績をあげた方。
⑷人材育成
① 学校・企業の研修所等の教育機関での教育・指導、②通信教育の添削指導、③試験実施機関での問
題作成、④専門誌等への執筆活動等を通じて電気の保安、⑤信頼度の向上のため電気関係の資格取得者を輩出させ、あるいは技術継承をはかるなど、人材育成を20年以上にわたり行い、顕著な功績をあげた方。ただし、年数は通算。
(5)長年にわたる電気保安への功労
(1)〜⑷以外、あるいは⑵〜⑷にまたがり、電気の保安の確保、信頼度の向上について長年、顕著な功績をあげ、勤続または就業年数20年以上の方。ただし、年数は通算。

澁澤賞の制定から70年~記念開催年となった今年は委員長特別賞を併せて表彰!!
澁澤賞制定から70回の節目を迎えた2025年。今年度は特別な取り組みとして「第70回澁澤賞委員長特別賞」が設けられ、(澁澤賞と同時受賞)4名が表彰されました。本賞は、組織や地域社会において大きな影響を与えた以下の4つの観点から、とくに顕著な貢献をした方が対象となりました。
1.令和7年度澁澤賞受賞者
2.災害応援・災害対応に尽力された方
3.女性活躍の推進に寄与された方
4.現場で活躍する中堅層に近い方
記念開催にふさわしい功績であり、広く称えられるべきものとして、敬意を表すためにこの賞が設けられました。

贈呈式では、日本電気協会貫正義会長、日髙邦彦澁澤委員会委員長(東京電機大学工学部電気電子工学科客員教授)が挨拶、来賓として経済産業省大臣官房審議官(産業保安・安全担当)細川成己氏から祝辞が述べられ、その後、受賞者に賞状を授与し、功績をたたえ、受賞者代表の謝辞により幕が閉じられました。


当日は受賞者の家族や会社関係者も多く来場し、会場全体が喜びを共有する温かな雰囲気で包まれていたのが印象的でした。
まとめ:努力を誇りに変える!あなたも電気業界でチャレンジしませんか?

電気業界は、社会のインフラを支える重要な分野です。普段は、“縁の下の力持ち”として人々の生活を支えていますが、このような表彰制度によって、「努力が認められる」「専門性を高めることによってしっかり評価される」仕組みがあります。コツコツと頑張る人には、その姿勢が「表彰」という形で認められるのです。
電気はこれからも必要不可欠なものであり、環境対策や技術の進化を考慮すると、今後さらに発展していくことが考えられます。可能性が未知数な電気業界に、少しでも興味を持っていただければ幸いです。
澁澤賞については、日本電気協会の公式ホームページでもご紹介しています。今回の贈呈式の様子も動画で視聴いただけますので、ぜひ、こちらもご覧ください。

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