電気がくれた「ご縁」を掴み、60歳からはじめた電気管理技術者のシゴト

電気がくれた「ご縁」を掴み、60歳からはじめた電気管理技術者のシゴト

人生100年時代。2021年は定年退職後も、まだまだ活動的に働いている方が多くいます。四国電気管理技術者協会に所属する西松慎也さんは、60歳になってから電気管理技術者になりました。それを機に、新しい仕事経験を積み、毎日ワクワクしながら働いているのだとか。今の仕事と出会ったきっかけは、電気との「ご縁」。西松さん自身に、電気とともに歩んできた半生を語っていただきました。


四国電力時代の最も印象に残る思い出は、エジプトで遭遇した「アラブの春」

こんにちは。四国電気管理技術者協会の西松慎也です。今は、個人事業主の電気管理技術者として、香川県内にある電気設備(自家用電気工作物)の点検・保守管理を行う仕事をしています。

 

私が電気の世界に入ったきっかけは、小学校の時に習っていた“そろばん”です。そろばんのおかげで算数と計算が必要な理科が得意になり、高校は理数系のクラスに進みました。大学も理数系である電気工学科へ進学。ここで4年間、電気を学び、卒業後は四国電力で働くことに。

 

それはそうと、電気はどういった工程を経て、皆さんの元に届くか、ご存知ですか?

発電所で発電し、送電線で電気を送り、変電所で変電。そうした経緯を経てようやく、電気が使えるようになるんです。大きく、「発電」「送電」「変電」に分けると、私は「変電」を担当していました。なぜ変電する必要があるのかというと、送電してきた電気は電圧が高すぎて、低い電圧に落とさないと各家庭やビル・工場などで使用できないためです。そして、私の最初の業務は、変電所にある設備の保守管理。様々な種類の設備を点検し、異常があれば修繕工事をしていました。

マーシャルにて。電力関係者への講義風景

その変電所などの現場には3年間いて、その後は、アメリカのゼネラル・エレクトリック社で電力系統工学訓練コース受講や、系統制御所のシステム更新業務、送変電部門の研究企画の検討業務などを担当しました。四国電力では、さまざまな部所に異動し、さまざまな業務に就かせてもらいました。この経験の中で一番の思い出は、発展途上国でのコンサル業務。発展途上国の電気環境は、日本に比べると技術の蓄積・継承が遅れています。そういった国々へ出向き、現地の人に電気設備の保守方法や計画の仕方などを教えるんです。これまで12カ国に行きました。思い出深いのはエジプトですね。現地にいた時に「アラブの春」が勃発し、民主化運動のおかげでエジプトは混乱していました。電気どころではないと、帰国することに。しかし、帰国便なんてすぐに取れないので、ホテルに缶詰めでした(笑)。

ミクロネシアにて、電力関係者へのOJTをしているところ。

電気管理技術者を探していると言われ、資格を取得

発展途上国のコンサル業務を9年間担当し、2018年からは公益財団法人に出向。ここでは電気と全く関係のない仕事に就いていました。その財団法人で担当した業務のひとつに異業種交流会の事務局業務があり、2カ月に1回位の頻度で、この交流会に参加することに。そこには多くの中小企業の社長さんが集まっており、その中の1人の社長さんと知り合いになりました。その方は太陽光発電の事業をしており、私が四国電力の社員だと伝えると、「電気管理技術者を紹介して欲しい」と言われたんです。周囲に誰かいないかと相談してみたら、「いない」と返事が。

 

その時、ふと、自分が電気管理技術者になればいいと思ったんです。電気管理技術者になるには、電気主任技術者の資格が必要です。調べると、大学で取得した単位と変電所などの現場時代の経験があれば、資格が取れると分かりました。そこで書類申請をし、無事、第1種電気主任技術者の資格を取得。

そして、その社長さんに「資格が取れたので、自分が担当します」と伝えたら、四国電気管理技術者協会に入ることを勧められました。四国電気管理技術者協会は私のような個人事業主に、仕事を紹介してくれる協会です。それで定年退職後に協会に入り、電気管理技術者として働くことになりました。今は、3件ほど担当を持っているほかに、協会の先輩方から手伝いを頼まれるので、その現場へ向かっています。仕事依頼は途切れることがないので、協会に入っていて良かったと実感しています。

色んな経験ができた。そのベースにはいつも電気があった

60歳になってから電気管理技術者として、第二の人生のスタートを切ったわけですが、仕事は本当に楽しいです。ホテルや工場などの電気設備をチェックするためには、施設の奥に行かないといけません。そんな時、ここの施設の裏側ってこうなっているんだな~と日々発見があり、好奇心が刺激されます。扱う電気設備もこれまでと違うものなので、学ぶことも多くあるんです。

 

電気はいつも私に、色んな経験を与えてくれています。発展途上国へ行けたのも電気がベースにあったから。今もいろんな施設の中へ入れるのも電気のおかげ。仕事が終わって、夕食の時間の会話に、「今日はこんな建物の中に行ってきたんだ」と家族と話せるのは楽しいですね。

実は定年退職を前に、次は何をしようかと悩んでいたんです。海外経験があるから通関士になろうとか、キャリアコンサルタントになるかとか、色々考えていて。ところが結局、電気の仕事をしています。これも「ご縁」があったから。不思議ですが、このご縁を掴んだ場所が、電気と全く関係ない異業種交流会でした。どこにどんなご縁がころがっているか分からないものですね。だから、若い人に伝えたい。真面目に仕事に取り組む中で、ご縁やチャンスがやってくる。そのご縁を大切にすると、次のステージが見えてきます。もし、いま仕事で悩んでいる人がいたら、まずは目の前の仕事に真摯に取り組んでみてください。



<西松慎也さんプロフィール>

四国電気管理技術者協会所属。香川県出身。大学は電気工学科へ進学。卒業後に、四国電力に入社。変電所での現場業務や系統制御所システム更新業務、発展途上国でのコンサル業務および3度の出向など、多岐に渡る仕事に携わる。2020年に四国電力を退職した後、四国電気管理技術者協会に入会。電気管理技術者として、電気設備の保安業務に携わる。

 

<執筆>

野田綾子

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