「保安法人を独力で立ち上げた日日是好日さん」 ~ 実務経験証明の壁 & 仲間たちと働ける場所としての保安法人 ~

「保安法人を独力で立ち上げた日日是好日さん」 ~ 実務経験証明の壁 & 仲間たちと働ける場所としての保安法人 ~

東京で保安法人を独力で立ち上げた驚くべき人がいる…そんな噂を聞きました。それは最近、Twitterでそのリアルな葛藤を描写し話題を呼ぶ、日日是好日(ハンドルネーム)さん。Twitterを見てみると、とても熱い方だという事が分かります。どうも電気主任技術者のお仕事をしながら今年、保安法人を立ち上げたようです。しかも一人で… どんな風になぜ立ち上げたのか、気になること実情をきいてみました


日日是好日さんの元で働こうとする技術者が保安業務担当者になるために、その必要条件とされる実務経歴書への捺印をもらうため、悪戦苦闘している様子がTwitterで書かれていました。その方は4年でもともと勤めていた会社の異動があったりなどで、経済産業省に実務経歴書を出す手続きが大変…など とても参考になる内容です。

保安業務担当者(電気管理技術者)になるために必要な実務経験の証明

折角なので詳しく説明します。

保安業務担当者?電気管理技術者?

受電設備といった自家用電気工作物(キュービクル等)を設置するオーナーは、保安管理をする電気主任技術者を自社の電験資格を持つ社員で選任する必要があります。

しかし社員の中で電験という難しい資格を持っていない場合が多いので、電気主任技術者を外部に委託するやり方も認められています(外部委託承認制度)

ここで、外部からの委託契約が許された保安法人のもとでお客様の電気主任技術者になり変わる者を「保安業務担当者」、または委託契約を個人で受けた者を「電気管理技術者」といいます。

この、保安業務担当者や電気管理技術者になるためには、経済産業省(中部近畿産業保安監督部など)で審査を受けなければならないのです。

必要条件として大きな障害となるものとして、実務経験の証明が必要となります。

基本的には5年以上の経験が必要なので、4年では足りません(厳密には、電験3種で4年の実務経験があれば300kVA以下のキュービクルで主遮断装置が、高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて用いる形式 (PF・S形)設備のみ、受託可能)

今回のケースですと、受電設備の維持管理運用を業務として働かれた2つ以上の前職企業から、実務経歴書に捺印(しかも代表取締役の印)を頂く必要があります。しかし、ここに大変な現状があります。

勤められていた企業によっては、その経歴書へ捺印が頂けないのです!

理由は様々。

「押す必要の無いものだ」とか「社内の稟議が面倒だ」「辞めた人間のことなど知ったことではない」「在籍証明しか出す必要は無い」など、様々な理由をお聞きします。

中には、裁判で争った例もあると。

日日是好日さんは

「経産省が、労働基準法で提出を義務付けられていない書類を我々、これから保安業務担当者を目指そうとする者に対して義務付けるってどうなんでしょう… 断られたらどうなんでしょう?実務経験を緩和する前に、その辺を是非とも是正してほしいです」

とTwitterでも言っています。まさにその通りです。電気保安業界への入職者数を増やすことを訴えている経済産業省に対して、なぜ労働局(厚生労働省)はその提出を義務づけない…国としての大きな矛盾…

そういった大変なやり取りを日日是さんは点検の実務を行いながらも、雇う方のため、共に働く方のため、保安法人を立ち上げるため行動を続けたのです。ものすごいバイタリティです。

前職の片方の企業では経歴書への捺印を頂けましたが、別の前職からは頂けず、交渉の日々… 
弁護士にも相談、といった様々な活動を経て、ようやく認定を頂けたようです。

本当にお疲れ様でした。そんな行動的な日日是好日さんに、そういった苦労をされても保安法人を立ち上げる理由はなぜなのか。お話を伺いました。

仲間たちと働ける場所を作るために立ち上げた 保安法人

――― どうして保安法人を独力で立ち上げたのでしょうか?

「個人の電気管理技術者さんの知り合いが多いのもありますが、特に昔一緒に電験を取る時にできた仲間のための箱を作りたい。4,5年後にはその仕事場を作っておきたいんです」

やはり熱い方です。それに今まで関わった仲間のことを考えてらっしゃいます。きっといい技術者が多いんでしょう。聞くとたくさん勉強を教えて頂いていたようです。そんな恩をくれた周りのためにもそのお返しとしてその場所を作る。だからあれだけ辛抱強く審査のための行動もするんですね。そして、それに欲張らない。

「お客さんは手に持てるだけでいいんです」

自分の身の回りの人たちが幸せになるために必要な場所を作る。そのためだけに動いている方です。

――― しかし、保安法人を立ち上げても、保安をする場所がないとできません。どこから探してきたのでしょうか?

「飛び込みです」

技術者でありながら、飛び込み営業をして、そこで知り合ったオーナーさんのビルの保安を任されるという力強さ。そうやって現在、取り扱わせて頂く件数を増やしていると。出会ったオーナーさんに情熱を買われて保安業務をお願いされているようです。

「技術者として、腕を上げたいです。腕がないのに仕事だけあって、お金をもらうのは悲しい。それと同じように会社を作って、会社のレベルを上げていきたい。それに今やらないとみんなついて来ないと思っています」

本気です。

「やれると思ったから、今立ち上げています」









想いがあれば、保安法人は立ち上げることができる。


それを日日是好日さんは示してくれました。


Twitterをのぞいてみて下さい。


保安法人を立ち上げてからの動きも注目です。


なんと、保安法人日記が始まっています(twitterに続く…)

https://twitter.com/perehairimasita



参考:
関東東北産業保安監督部
https://www.safety-kanto.meti.go.jp/denki/jikayou/data/PDF/04_01.pdf

経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/tenkenhidokokuji.pdf

株式会社ミズノワ

電気業界に特化したCAFÉ カフェジカ東大阪を運営
https://mizunowa.jp/
電気業界を盛り上げる技術者や求人企業情報
他にも電気業界を明るく照らす話題を「電気通信ピカリ⚡」にて発信している。
https://mizunowa.jp/pikali/

関連する投稿


電気保安って具体的にどんな仕事?を解説します!

電気保安って具体的にどんな仕事?を解説します!

電気保安とは、言葉のとおり電気を安全に利用するために定期的な点検や検査を行うことです。このお仕事が適切に行われないと、漏電や火災事故が発生する危険性が高まります。つまり、電気保安を行う電気主任技術者は、そうした危険から日々、私たちの生活を守っているということです。本記事では、電気主任技術者の資格を有する僕が、電気保安のお仕事について詳しくお伝えしていきます。


不景気なんて関係ない。安定の仕事ができる、それが電気管理技術者だ!

不景気なんて関係ない。安定の仕事ができる、それが電気管理技術者だ!

2020年に大流行した新型コロナウイルスは、全世界に経済の低迷をもたらしました。それによって、仕事を失った方や大幅な収入減になった方も少なくはありません。しかし、経済の変動を受けない職業がここに。それが電気設備を点検する、“電気管理技術者”です。参入するには資格と経験年数が求められる技術職ですが、北海道電気管理技術者協会に所属する石田浩倫さんは、「やる気さえあれば誰でもできる」と熱弁。石田さんのキャリアと共に、仕事の魅力を語っていただきましょう!


年間売上1000万も夢じゃない!? 転職2回で“電気ドリーム”を掴んだ電気主任技術者のハナシ

年間売上1000万も夢じゃない!? 転職2回で“電気ドリーム”を掴んだ電気主任技術者のハナシ

転職で、まったく異なる業種に就いて、そこから活躍するのは簡単なことではありません。しかし、異業種から電気の世界に転職し、現在では年間売上1000万円を達成した電気主任技術者がいます。それが、九州電気管理技術者協会に所属する織田秀彦さんです。理容師と塾講師を経て電気の世界に飛び込み、66歳(2020年11月現在)になった今でも現役として活躍し、「仕事が楽しい!」と語る織田さんの“電気ドリーム”とは?


関西電気保安協会の若手ホープが語る、「25歳の僕が見つめる電気業界の未来」

関西電気保安協会の若手ホープが語る、「25歳の僕が見つめる電気業界の未来」

「電気業界で働く人は40代や50代が多そう…」なんとなくですが、そんなイメージを持っている人も少なくないのでは。しかし、そんなことはありません! 毎年、多くの若手がこの世界の扉を叩き、切磋琢磨しながら働いているからです。その一人が関西電気保安協会の“若手ホープ”里本樹さん(25歳)。18歳で入社し、今年で8年目。今回は里本さんに、電気業界の現在、そして未来について伺いました。実務経験を積む中で気付いた、働く上で大切なこととは?


偏差値50未満だった僕が電気主任技術者になるまでの話 後編

偏差値50未満だった僕が電気主任技術者になるまでの話 後編

高校、大学と電気と向き合ってきた僕。それから社会人になり、さらに電気の魅力に気づいたのです。


最新の投稿


10年後に求められるスキルってなんだろう〜多様化する働き方を知る〜

10年後に求められるスキルってなんだろう〜多様化する働き方を知る〜

今後、AIやロボット技術、VRや5Gなどが当たり前になることで、私たちの生活は大きく変わってくることが予測されます。この激変する環境下で、この先を見据えたスキルや考え方を身につけておけば、10年後にも活躍できるはず。この先の環境変化や求められるスキル・考え方を理解し、経験や学習を通して必要なスキルを身につけませんか。


電気保安って具体的にどんな仕事?を解説します!

電気保安って具体的にどんな仕事?を解説します!

電気保安とは、言葉のとおり電気を安全に利用するために定期的な点検や検査を行うことです。このお仕事が適切に行われないと、漏電や火災事故が発生する危険性が高まります。つまり、電気保安を行う電気主任技術者は、そうした危険から日々、私たちの生活を守っているということです。本記事では、電気主任技術者の資格を有する僕が、電気保安のお仕事について詳しくお伝えしていきます。


不景気なんて関係ない。安定の仕事ができる、それが電気管理技術者だ!

不景気なんて関係ない。安定の仕事ができる、それが電気管理技術者だ!

2020年に大流行した新型コロナウイルスは、全世界に経済の低迷をもたらしました。それによって、仕事を失った方や大幅な収入減になった方も少なくはありません。しかし、経済の変動を受けない職業がここに。それが電気設備を点検する、“電気管理技術者”です。参入するには資格と経験年数が求められる技術職ですが、北海道電気管理技術者協会に所属する石田浩倫さんは、「やる気さえあれば誰でもできる」と熱弁。石田さんのキャリアと共に、仕事の魅力を語っていただきましょう!


有資格者が簡単に解説する「電験三種」の試験の中身

有資格者が簡単に解説する「電験三種」の試験の中身

電気保安には欠かせない国家資格である「電験三種」。名前は聞いたことがあっても、試験の内容までは知らない方も多いかもしれません。今回は、有資格者の僕が、なるべくわかりやすく解説します。


「キャリアって何だろう」 キャリアカウンセラーが解説!豊かな人生のための「働く」についての考え方

「キャリアって何だろう」 キャリアカウンセラーが解説!豊かな人生のための「働く」についての考え方

仕事とは何でしょう。10代を過ぎると、仕事に向き合う日がどんどん近づいていきます。いつかは直接携わることになる仕事、その仕事に向き合う準備を少しずつはじめてみませんか。この記事では、身近な「もの」から仕事を想像する、身近な「ヒト」がどんな仕事をしているのか聞いてみるという、2つの方法で仕事への理解を深めていきます。


人気記事ランキング


>>総合人気ランキング

今月のおすすめ
































最近話題のキーワード

Watt Magazineで話題のキーワード


筋トレ 筋トレ 効果 睡眠 ストレッチ