再生可能エネルギーとは?再エネの仕組みやメリットやデメリットを解説!

更新日:2025.11.11投稿日:2020.09.19

再生可能エネルギー

自然の力を利用して発電する再生可能エネルギーは、電気の需要が拡大する未来に向けて非常に重要になるものです。この記事では、再生可能エネルギーの仕組みやそのメリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、その他の自然界に存在する熱、バイオマスなど、自然界から得られ永続的に利用することができると認められているエネルギーのことを言います。これらの再生可能エネルギーの定義と種類については、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」にも明示されています。

今までは石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料をおもなエネルギー源として使用しており、その多くを海外から輸入していました。再生可能エネルギーは国内でつくることができ、環境負荷低減やエネルギーの安定供給、エネルギー自給率を上げることなど、多くの期待が寄せられているのです。

再生可能エネルギーが広がった理由

再生可能エネルギーが広がったきっかけのひとつが東日本大震災です。広域にわたってエネルギーの供給が停止し、原子力発電所の事故発生に伴う避難指示や輪番停電、電力使用制限など、多くの人が電気は非常に貴重なエネルギーであることを意識するきっかけになりました。

その4年後となる2015年、フランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の中で、2020年以降の温室効果ガス排出削減を目的とした国際枠組みとして、パリ協定が採択されました。世界的な環境対策の流れを受け、国内では、2020年に「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが政府目標に掲げられ、環境に配慮した再生可能エネルギーの導入が推し進められているのです。

「FIT法(固定価格買取制度)によって再生可能エネルギーの普及が拡大!

2000年代に入り、世界的に環境問題への注目が高まり、日本国内においても再生可能エネルギーの利活用拡大のための具体的な政策が打ち出されました。

2009年、太陽光発電の余剰電力買い取りが電力会社に義務付けられ、2012年7月には太陽光、風力、水力など、日本国内で再生可能エネルギーの普及を支援するFIT制度(固定価格買取制度)創設されました。FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電力を、国が定めた一定価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務付けた制度です。太陽光発電は初期投資額が高額ではありますが、この制度が設けられたことにより、再生可能エネルギーの導入が一気に拡大します。

再生可能エネルギーの発電方法

太陽光発電

太陽光発電の仕組み図解

シリコンなどの半導体に太陽の光が当たることで電気が発生する現象を利用して発電する方法です。太陽光発電に欠かせないのが太陽電池です。太陽電池は太陽の光を吸収して電気に換えるエネルギー変換素子で、現在最も普及しているのはシリコンなどの半導体で作られています。

風力発電

風の力で風車をまわし、風車の回転運動を発電機に伝えることで電気をつくる方法で、風力発電には、陸上に風車を設置する陸上風力と海上に風車を設置する「洋上風力」があります。風の強さや向きによってプロペラの向きが変わるので、一定の速さで発電機を回すことができるのです。

水力発電

高いところに貯めた水を低いところへ落とす力を利用して水車をまわし、水車とつながった発電機に伝えて電気をつくります。日本で一番古い水力発電所は、宮城県仙台市にある三居沢発電所で、1888年に宮城紡績会社が自家用に建てました。現在は東北電力が管理と運用を行っています。

地熱発電

地熱発電の仕組み図解

地下のマグマによって熱せられた高温の蒸気や熱水を利用して発電する方法です。地下1,000m〜3,000mにある地熱貯留層から蒸気や熱を取り出し、タービンを回すことで電気をつくります。日本で最初の本格的な地熱発電所は、岩手県の蒸気卓越型の松川地熱発電所で、1966年より運転が開始されました。

バイオマス発電

バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源のこと。間伐材や林地残材、建築廃材、生ごみ、食品加工残渣、家畜の糞尿などを原料とします。バイオマス発電には、バイオマス燃料を直接燃やす「直接燃焼方式」、発酵させたりすることでガス化させる「生物化学的ガス化方式」、高温で熱処理してガス化させる「熱分解ガス化方式」があり、それぞれの方式でつくられた熱やガスを利用してタービンをまわして発電する仕組みです。

再生可能エネルギーのメリットとデメリット

再生可能エネルギーのメリット

① 温室効果ガスが削減できる
利用する際に温室効果ガス(CO2)をほとんど排出しないため、再生可能エネルギーの割合が増えると環境への負荷を低減することができます。

② エネルギー自給率を上げる
世界で比較すると一次エネルギー自給率が低く、他国へ依存している日本ですが、再生可能エネルギーは国産であり、導入を進めることでエネルギー自給率を向上できるため、安定したエネルギー供給が実現できます。

③ 非常時のエネルギー確保が可能になる
再生可能エネルギーの多くが分散型であるため、自然災害などで集中型のエネルギー供給が途絶えても継続して発電することができます。日本のように地震や台風など自然災害が多い国にとって、再生可能エネルギーは非常時のエネルギー供給源として非常に有効です。

④ 枯渇する心配がない
石油や石炭などの化石燃料は有限な資源ですが、再生可能エネルギーは自然界に常に存在するエネルギーを利用するため、枯渇することがありません。ロシアによるウクライナ侵攻以降のLNG価格が大幅に上昇するなど、エネルギー価格が高騰しています。さらに脱炭素化に伴う化石燃料開発への投資減退などで、今後さらに化石燃料の供給が変動することが予想されますが、再生可能エネルギーはそうした情勢に左右されにくく、安定した供給が可能です。

再生可能エネルギーのデメリット

① 気候などにより発電量が変動する
自然の力を利用するため、気候や季節によって発電量が変動します。太陽光の場合、晴れた日は発電量が多くなりますが、曇りや雨だと大幅に低下します。また、夜間は発電ができません。

② 発電コストが高い
日本と欧州を比較すると、非住宅向け太陽光発電システムの導入費用は日本が約28.9万円/kWなのに対し、欧州は約15.5万/kWと2倍近くの差があります。

日本国内における再生可能エネルギーの割合とこれから

資源エネルギー庁の報告によると、2024年度のエネルギー供給割合は、電気事業者の発電量のなかで火力発電が7割弱を占め、風力・太陽光・地熱・蓄電池・バイオマス・廃棄物発電などの再生可能エネルギーは2割程度でした。しかし、2023年2月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定し、エネルギーの安定供給や気候問題への対応、経済成長などを実現するための取り組みが示され、2030年までに再生可能エネルギーの発電割合を今からおよそ2倍となる36〜38%に増やすことが目標に掲げられています。

今回解説した再生可能エネルギーで作った電気を使い、水を電気分解してつくられるのがグリーン水素です。製造工程や使用時にCO2を排出しないことから、環境への負荷が少ない次世代のエネルギーとして注目されています。脱炭素社会実現に向けて、再生可能エネルギーの導入と再生可能エネルギーを活用した取り組みはますます増えていくでしょう。

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プロフィール

どわーふ

私立大学大学院(博士前期課程)卒業後、大手メーカーで電気部品の開発業務に従事。現在はとある施設にて電気主任技術者として高圧電気保安業務を担当している。また、フリーライターとして「電気主任技術者が運営する就活転職応援サイトを運営中。Twitterのアカウントはこちら

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