身の回りにあるギモンを解決!「人感センサってなぜ人に反応するの?」

身の回りにあるギモンを解決!「人感センサってなぜ人に反応するの?」

人の気配を感知して、スイッチを入れる人感センサが多く使われるようになりました。人間であれば、誰かがいる気配を感じ取ることができますが、電気機器はどのように検知しているのでしょうか?


人がいる状態をどうやって判別するのか?

まず、人が「そこにいる状態」とはどんなものなのかを考えてみましょう。近くで音がする、においがする、人がいることを目で確認するなど、様々な判断基準がありますよね。その中で、人がいると体温を感じることがあります。

人感センサは人がいるということを温度で感知して、スイッチを入れています。人や動物は体から熱を発していますが、熱を伝える光の一種に赤外線があります。赤外線は太陽や火などからも出ており、熱が発生する熱源から発せられています。人感センサは人間の熱から発生する光、赤外線を捉えて反応しているのです。

人感センサは常時、計測範囲の赤外線の量を計測しています。センサの前に人が来ると、体温から赤外線の量が増えますが、この時、通常時の赤外線の量と人が前に来た際の赤外線の量を比較して、赤外線量を温度差に変えて、人が来たことを認識しているのです。サーモグラフィなどの機器は、温度が高い部分は、赤外線の量が多いことで認識して赤い表示になります。人感センサはこの技術を応用して、赤外線の量の増減を見て人が前に来たのかを判断しているのです。

実は動物が来ても反応する

玄関の照明をつける人感センサは、誰もいないのに勝手に点灯しているということがあります。中には心霊現象なのかと思う人もいるかもしれませんが、人感センサの反応の仕組みが分かれば様々なケースが考えられます。

赤外線を放っているのは人だけなく動物も同じです。センサの計測範囲に動物が来ても、人が来た時と同じように赤外線の違いに反応します。照明がある玄関の前を、猫や犬が通りかかった場合にも人感センサは反応して照明を点灯させてしまうということです。人感センサと名前はついているものの、温度のあるものすべてに反応するという構造上の特性を持っています。本当の意味での人感センサは、カメラによる顔認証での反応といえますが、導入には費用が掛かります。その分、導入には安価なため、様々なシーンで活用されているのです。

プロフィール

西海登

本業の技術職の傍ら、webライターとして活動。小説家になりたかった過去を引きずりながらも、本業でも関わりのある技術分野の解説と経済分野を結び付ける記事を得意とする。

本業では、ビルメンテナンス業界から産業用機器の電気設計職へ移り、設備関連の保守点検から構築に関する職業を一通り経験、近年ではIoT関連の仕事にも携わり、ライターとしてもIoT分野の記事執筆の実績も増えている。2015年頃から、小説家になりたかった過去を生かせるのでは?と考え、ライティング業務をスタート。朝4時に起きて執筆活動をする日々を送っています。

note

この記事のWriter

WattMagazine編集部 編集長

関連するキーワード


電気のしくみ センサー

関連する投稿


電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

いま、世の中には燃料を動力にして動く乗り物以外に電気の力を利用して動く乗り物が数多くあります。とくに「電気自動車」は、環境問題への取り組みが急務になっていることから、今後さらなる普及が予測されます。 今回は、電気自動車のしくみから、他の電気を活用して駆動する乗り物、未来に活躍するであろう乗り物を紹介します。


月の光で発電ができる?月の光の可能性と太陽光発電の最新研究

月の光で発電ができる?月の光の可能性と太陽光発電の最新研究

夜空に輝く綺麗なお月さま。雲が多いと隠れますが、天気が良いと月からの光がより強く感じたりもします。そんな月の光は、実は月から光を発しているのではなく、太陽の光が反射して私たちの目に映っているのです。 「太陽からの光なら、反射した月の光でも太陽光発電のように発電ができるんじゃないの?」 今回は過去に行われた月光を利用した「月光発電」の実験と、現在なお進められている太陽光発電の研究について解説していきます。


電気と生物は密接に関わりがある…?自分で電気を生成する生物とは。

電気と生物は密接に関わりがある…?自分で電気を生成する生物とは。

私たちの生活に不可欠な電気は、火力や風力、原子力などの動力を経て発電し、各家庭に配電されます。昔理科の実験などで電気を作ることに挑戦した経験がある人もいるかもしれませんが、自然界にも電気を生成する生物が存在するのです。


虹やオーロラ、空をいろどる自然のアートと電気の関係性

虹やオーロラ、空をいろどる自然のアートと電気の関係性

雨上がりの空を見上げると、綺麗な虹がかかっています。この美しい虹はどのようにして作られているのでしょうか。空の現象と電気の相関関係はあるのでしょうか…?


電気予報士・伊藤菜々さんが解説!エアコンに使われている「ヒートポンプ」のしくみ

電気予報士・伊藤菜々さんが解説!エアコンに使われている「ヒートポンプ」のしくみ

入力するエネルギー以上に熱を作ってくれる、省エネ効果抜群のヒートポンプ。エアコンやお湯を作るエコキュートなどにも使われています。どうして効率がいいのか、省エネ効果や、今後どういう場所で活用されるのか、現在研究されている内容も合わせて解説します。


最新の投稿


電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

電気は移動の未来も変える〜電気自動車や電気で動く乗りもの

いま、世の中には燃料を動力にして動く乗り物以外に電気の力を利用して動く乗り物が数多くあります。とくに「電気自動車」は、環境問題への取り組みが急務になっていることから、今後さらなる普及が予測されます。 今回は、電気自動車のしくみから、他の電気を活用して駆動する乗り物、未来に活躍するであろう乗り物を紹介します。


<見逃し配信あり>堀内健さんと一緒に社会科見学!関東電気保安協会が案内する電気保安のオシゴトと電気のハナシ

<見逃し配信あり>堀内健さんと一緒に社会科見学!関東電気保安協会が案内する電気保安のオシゴトと電気のハナシ

「電気を守るお仕事って、どんなことをするんだろう?」 ネプチューンの堀内さんがスタジオを飛び出し、関東電気保安協会へ!わかりやすく、楽しく、電気のお仕事を紹介してくれました。


【第二種電気工事士】勉強に必要なモノまとめ【2024年最新版】

【第二種電気工事士】勉強に必要なモノまとめ【2024年最新版】

本記事は「第二種電気工事士の資格勉強で必要な物が分からない・・」という受験者さんに向けの内容です。ネットや書店を調べると多くの教材がある中で「結局どれがいいのかわからない」というのが本音なんじゃないでしょうか。 結論から言うと、私が実際にお世話になった「すい〜っとシリーズ」が1番理解しやすく、勉強を継続しやすい教材です。 工具については「ホーザンの工具セット」が鉄板で、材料は3周練習できるセットをご紹介します。本記事では失敗しない教材選びを厳選。ぜひ参考にしていただければ幸いです。


生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

生ごみや下水汚泥、家畜糞尿からエネルギー?バイオメタンの知られざる実力

石油や石炭などと同じ化石燃料として、温室効果ガスを発生させる液化天然ガス(LNG)は、カーボンニュートラルを目指した次世代において、使用を削減していかなければならない燃料のひとつです。 しかし、LNGは都市ガスに代表されるような一般家庭のガスや火力発電などにも毎日使用されておりすぐに使用を停止することができません。そこで、LNGの代わりとまではいきませんが、利用量を削減できる可能性のある新たなエネルギー源として、バイオメタンが注目されています。


電気工事士の魅力・やりがいとは?【現役電気工事士が解説します】

電気工事士の魅力・やりがいとは?【現役電気工事士が解説します】

電気屋さんの魅力とかやりがいってどんな時に感じるものなの?未経験の人にも分かるように教えて欲しい… 今回はこういった悩みに答えます。


人気記事ランキング


>>総合人気ランキング