電気業界とは?電力インフラを整備する主な業種を知ろう

電気業界とは?電力インフラを整備する主な業種を知ろう

普段、当たり前のように使っている電気。現在ではインフラ設備として欠かせない存在です。そんな電気のインフラは、どのように整備されているか知っていますか? 今回は、ビルに電気が巡り、使用できるようになるまでの必要な手順と、それに伴って必要な資格をご紹介いたします。


電気業界の仕事はどんなものがある?ビルに電気が通るまで

私たちの生活に、なくてはならない電気。この電気が、どのようにして私たちに届いているのか、それに携わる職業を解説します。

① 発電所から電気を運ぶ仕事

発電所で作られた電気は、鉄塔や電線を伝ってビルへと運ばれます。
この時、鉄塔の組み立て工事や鉄塔間に電線を張る架線工事を行うのが「ラインマン」の仕事です。

ラインマン

 仕事内容:鉄塔の組み立て工事や鉄塔間に電線を張る架線工事


 必要資格:なし

ラインマンは電気を送るための送電線を作り、維持しています。各地に張り巡らされた送電線を守るため、人の立ち入りにくい場所や災害復旧でも活躍しています。また、鉄塔の建設や電線の架線工事を迅速かつ安全に進めるためには、地上で働くラインマンもいらっしゃいます。

写真や詳しい業務内容が知りたい方はこちらをご覧ください。

【地上50mの仕事場所】あなたの知らないラインマンという職業

https://www.watt-mag.jp/articles/233

 通称「ラインマン」と呼ばれている送電線のスペシャリストが働いている場所は普段、私達は見ることができません。ラインマンの活躍の場は地上での設計業務や工程管理から高所での作業と多岐にわたります。  そこで今回、鉄塔の建設や鉄塔間に電線を張る架線工事の様子を写真で紹介。そこには私たちが見ることのできない景色が広がっていました。

② ビルに電気を巡らす仕事

ラインマンが運んでくれた電気を実際に使用できるようにするためにはビル内に配線がしっかりと巡るよう、工事をしなくてはなりません。ビルの全体を把握し、設備図を作った後に、工事に取り掛かります。
また、電気や通信、消防設備など工事する箇所によって、必要な資格が異なります。1つひとつご紹介いたします。

電気工事施工管理技士

 仕事内容:あらゆる工程を管理し、電気工事をする人たちを統括する


 必要資格:電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は、電気工事を行う人を総括する仕事です。工事全体を見て管理を行うだけでなく、技術者としてのスキルを持ち合わせている必要があります。各現場に必ず
1人以上の電気工事施工管理技士がいなくてはならないという決まりがあるため、高いニーズがある仕事です。

CADオペレータ

 仕事内容:電気設備図などを作成する


 必要資格:なし
 (CAD利用技術者など持っているとよい)

CADオペレータは電気工事士もしくは設計者の指示で、図面作成を行っています。指示をもらい、図面に書き起こすので、高度な知識・技能が要求されることはありません。しかし、設計者の指示を的確に図面に反映する必要があるので、CADや設計の基本的な知識があった方が良いでしょう。

電気工事士

 仕事内容:電気工事を実際にする人


 必要資格:電気工事士

電気工事士はビル内にある照明やコンセント、エアコン、配電盤、さらにはビル外の電線設備などを工事、設置する仕事です。電気に関わる幅広い作業を行っています。また、より上級な電気工事士の資格を取ることで、鉄道電気工事などを行うことができます。

詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

写真で見る『電気工事士』の活躍現場と素顔

https://www.watt-mag.jp/articles/244

私たちがスマホやパソコンなどを使ったり充電したり『電気』を使うために必要なコンセントや配線などをはじめとする電気設備の工事を行っているのが『電気工事士』さんたちです。電気工事士は、一般住宅、ビル、工場、商店などの電気設備の安全を守るために工事を行っています。内容によって、一定の資格のある人でなければ、電気工事を行ってはならないことが、法令で決められています。

電気通信主任技術者

 仕事内容:電気通信ネットワークの工事、維持、運用における責任者


 必要資格:電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、電気通信を可能にするネットワークの工事や管理を行う仕事です。ビル内の無線設備や伝送回線を整備しネットワーク環境を構築します。
また、電気通信主任技術者の資格は「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」に分けられます。前者は伝送回線のほか、交換設備、電力設備などを工事することができ、後者は線路設備や電柱内の電話回線などの工事にあたります。

電気通信工事担任者

 仕事内容:電気通信回線と端末設備等を接続する    

 
 必要資格:電気通信設備工事担任者

電気通信工事担任者は、回線と端末を接続する仕事です。電気通信主任技術者が工事した設備にパソコンや電話などを接続し、実際に利用できるようにします。また、会社内で使われるLANなどの配線を整備するのも電気通信工事担任者の仕事です。
電気通信工事担任者の資格は種類が多くあるので、整備する内容に沿った資格が必要です。

消防設備士

 仕事内容:消火、警報、避難などの設備を設置、点検を行う
 (電気工事士と合わせて取ると活動の幅が広がる)


 必要資格:消防設備士

消防設備士とは、消火や警報などの設備設置、点検を行う仕事です。ビルには消防設備の設置が義務付けられているので、ビルの管理や保守の業界で活躍しています。
また、電気工事士の資格を持っていても、消防設備士の資格がないと、消防設備に関する電気工事は行うことができないので、電気工事士と合わせて取得する方が多い資格でもあります。

管工事施工管理技士

 仕事内容:配管工事の計画を立て、工程や品質、安全などの管理を行う


 必要資格:管工事施工管理

エアコンの排気管やガス管など、管工事の施工計画を立て、管理を行います。電気工事をする際、エアコンや空調などの設置を行うため、管工事を行うのであれば、なくてはならない資格です。

③ 電気を保安する仕事

建物内に電気が通り使用できるようになっても、電気は管理や点検などを繰り返さなければ、使い続けることはできません。
また、電気は管理がきちんと出来ていないと火事や感電などの事故を起こしてしまう可能性があります。そのため、消防設備の点検も必須となっています。

電気主任技術者

 仕事内容:電気設備を安全に使用するための保安業務


 必要資格:電気主任技術者

電気主任技術者は、電気設備を安全に使用していくための保安業務を行います。
必須資格である電気主任技術者は「電験」と呼ばれ、電気保守ができる唯一の資格として、社会的な評価が高い資格です。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

電気保安って具体的にどんな仕事?を解説します!

https://www.watt-mag.jp/articles/157

電気保安とは、言葉のとおり電気を安全に利用するために定期的な点検や検査を行うことです。このお仕事が適切に行われないと、漏電や火災事故が発生する危険性が高まります。つまり、電気保安を行う電気主任技術者は、そうした危険から日々、私たちの生活を守っているということです。本記事では、電気主任技術者の資格を有する僕が、電気保安のお仕事について詳しくお伝えしていきます。

消防設備点検資格者

 仕事内容:消防用設備等の点検

 (消防設備士の点検のみが行える資格)


 必要資格:消防設備点検資格者

消防設備点検資格者は、消防設備の点検を行います。消防設備士と異なり、消防設備を設置することはできませんが点検をし、安全を守ることができます。

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