電気業界の仕事とは?
電気管理技術者になるには?実務経験や独立で失敗しないための実例を紹介
電気管理技術者とは、電気主任技術者の資格を持ち、事業者から委託を受けて、電気設備の保安管理を担う専門家のことです。多くは個人事業主として活動しています。
外部委託制度の広がりにより、個人事業主として独立し、電気管理技術者協会などの専門団体と連携しながら活動する働き方も一般的になりました。
個人事業主ではありますが、電気主任技術者としての豊富な実務経験を基盤に、事業者の代わりに電気設備の保安監督する役割を果たします。
電気設備の安全確保が求められる現代において、管理と技術の両面から産業を支える職種として、注目されている存在です。
目次
電気管理技術者とは?

電気管理技術者とは「個人事業主の電気主任技術者」のことです。こちらでは、電気主任技術者の「外部委託制度」や、電気管理技術者の仕事内容について解説していきます。
電気管理技術者とは「個人事業主の電気主任技術者」のこと
電気管理技術者とは、電気主任技術者の免状を保持している、個人事業主の電気主任技術者のことです。事業用電気工作物を設置した事業者は、電気設備の保守・管理を行うために、電気主任技術者を選任しなければいけません。
電気主任技術者の選任は、事業者が自社の従業員から行うのが通常です。
しかし、自社で主任技術者を確保できない場合に、電気管理技術者と契約することで、電気主任技術者の選任義務を免れます。
電気管理技術者の側からすれば、独立性の高い働き方が可能なのが特徴です。

電気主任技術者とは?仕事内容・年収・試験内容・やりがいを解説
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電気主任技術者の「外部委託制度」について
電気主任技術者の外部委託制度は、事業者が自社で主任技術者を確保できない場合に、一定条件のもとで外部の専門家に保安管理を任せられる仕組みのことです。
外部委託が認められるのは、受電電圧が7,000ボルト以下の事業所などに限られます。これは、電気事業法施行規則第52条第2項に基づいています。
この制度を利用すると、事業者は主任技術者を選任したものとみなされ、保安体制を維持することが可能です。外部委託制度は専門人材の不足を補いながら、安全な設備運用を実現するための重要な仕組みと言えます。
電気管理技術者の仕事内容
電気管理技術者の主な仕事ですが、基本的には電気主任技術者と一緒です。
自家用電気工作物を安全に運用するために、設備の状態を継続的に確認し、異常を早期に発見することにあります。
具体的な仕事内容は「定期的な月次・年次点検」「電気事故が発生した場合の緊急対応」です。月次点検では通電状態のまま外観や計器値を確認し、劣化や異常の兆候を探します。年次点検では停電を伴う精密な検査を行い、絶縁抵抗や保護継電器の動作などを詳細に確認します。
さらに、電気事故が発生した際には緊急対応を行い、原因調査や応急措置を実施します。
これらの業務を通じて、設備の信頼性を維持し、事業者の安全な電気利用を支える役割を担っています。
電気管理技術者と電気主任技術者の違い

電気管理技術者は個人事業主のため、自分で仕事を獲得する必要があります。そのため、電気管理技術者協会に所属して、仕事を獲得するのが一般的です。
個人事業主なので自分で仕事を獲得する必要がある
電気管理技術者は、外部委託によって保安業務を請け負う立場で働く人のことです。そのため、会社に雇われて勤務する電気主任技術者とは働き方が異なります。
電気主任技術者が企業に所属して設備を常時管理するのに対し、電気管理技術者は個人事業主として独立し、自分で契約先を開拓する必要があります。
事業者との委託契約が収入の基盤となるため、営業活動や人脈づくりも欠かせません。設備点検の技術だけでなく、信頼関係を築く姿勢や継続的な対応力も求められます。
独立性が高い一方、仕事量は自らの行動で左右される点が、電気主任技術者との大きな違いです。
独立後は「電気管理技術者協会」に所属する
電気管理技術者は独立後、自分で契約先を広げる必要があり、その際に重要となるのが電気管理技術者協会への加入です。協会では技術講習や情報交換が行われ、先輩技術者との交流を通じて実務の知識や仕事の紹介を得られる機会が増えます。
個人で営業する立場だからこそ、専門家同士のネットワークが信頼構築にも直結し、安定した受託につながります。独立後の活動基盤を強めるうえで、協会との積極的な関わりは欠かせない要素と言えます。
実例|独立して頑張っている電気管理技術者を紹介
個人事業主として働くには、収入の安定や開業準備について、不安を覚える人も多いと思います。そこでこちらでは、独立して頑張っている3人の電気管理技術者の実例について紹介していきます。
電気管理技術者として独立を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
28歳で独立!岩本翔太(仮名)さん

岩本翔太(仮名)さんは28歳という若さで、電気管理技術者として独立しました。
前職では通勤に片道1時間半から2時間かかり、自分の時間が持てないことに悩んでいましたが、ワークライフバランスを確保するために独立を決意したとのことです。
開業準備として、仕事の斡旋や技術指導が受けられる「東京電気管理技術者協会」に入会しました。準備資金は移動用の車や測定器の購入、協会への入会費が必要ですが、会社員時代の貯蓄で賄える範囲であり、銀行融資は受けていません。
特別な営業活動は行わず、協会や先輩からの紹介で定期的に案件を得ています。
現場作業だけでなく事務や税務も全て自己責任となりますが、成果が直接収入につながる点にやりがいを感じています。
飛び込み営業とかするの? 開業資金はいくらかかる? フリーランス電気主任技術者になるためのいろは
最近では特定の企業や組織に就職せず、自分のスキルを活かしながら独立して働く、フリーランスで生計を立てる人も増えてきました。自分で稼働時間を決めたり、仕事の…
工場閉鎖の危機を脱出!石田浩倫さん

石田浩倫さんは、北海道電気管理技術者協会に所属して活動する、電気管理技術者です。
石田さんは、鉄鋼工場で高電圧設備を扱う技術者として働いていました。
しかし、働いていた工場が閉鎖して無職になるという危機を脱出するため、保有していた第二種電気主任技術者資格を活かして独立を決意したとのことです。
開業準備では、必要な測定器や車両の確保、事務所環境の整備など、最低限の設備投資から始めています。電気管理技術者の開業は比較的初期費用が少なく、約70万円程度で必要な計器類を揃えられるという点も独立のハードルを下げています。
また、先に独立していた先輩の助言が背中を押し、フリーランスとしての働き方に魅力を感じたことが大きな転機になったとのことです。仕事の獲得については、協会での交流や先輩技術者からの紹介が大きな役割を果たし、実務経験と信頼を積み重ねることで契約先を増やしていきました。
電気管理技術者は安定した需要があり、不況の影響を受けにくい職種であるため、石田さんも独立後に着実に案件を広げています。
不景気なんて関係ない。安定の仕事ができる、それが電気管理技術者だ!
2020年に大流行した新型コロナウイルスは、全世界に経済の低迷をもたらしました。それによって、仕事を失った方や大幅な収入減になった方も少なくはありません。…
年間1,000万円の売上!織田秀彦さん

織田秀彦さんは、理容師や塾講師を経て40歳で電験三種を取得し、電気の世界に飛び込んだ異色の経歴を持つ技術者です。
地元のスーパーで5年間の実務経験を積んだ後、45歳で独立を果たしています。
開業準備としては、個人で活動する技術者に仕事を紹介してくれる「九州電気管理技術者協会」に入会しました。
協会内のグループに所属することで、技術的な相談ができる仲間や勉強会の機会を確保し、一人で抱え込まない体制を整えたことが成功の鍵となっています。
仕事内容は、学校や工場の自家用電気工作物の点検・保守です。点検作業だけでなく、塾講師の経験を活かした顧客への丁寧な説明を心掛けており、年間売上1,000万円を達成しました。
織田さんは66歳を過ぎても「仕事が楽しい」と語り、88歳まで現役を続けることを目標にするその姿勢は、まさに電気ドリームを体現しています。

年間売上1000万も夢じゃない!? 転職2回で“電気ドリーム”を掴んだ電気主任技術者のハナシ
転職で、まったく異なる業種に就いて、そこから活躍するのは簡単なことではありません。しかし、異業種から電気の世界に転職し、現在では年間売上1000万円を達成…
電気管理技術者になるには?

電気管理技術者になるには、次のステップを踏んでください。
- 実務経験等の電気管理技術者の要件を満たす
- 実務経歴証明書等の必要書類を作成する
- 電気管理技術者協会に所属して仕事を受注する
こちらでは、電気管理技術者の要件や実務経歴証明書の書き方、仕事を獲得するために所属が必須な電気管理技術者協会について紹介していきます。
電気管理技術者の要件を満たす
電気管理技術者として独立するには、以下の要件を満たさないといけません。
①:電気管理技術者の免状交付済み
②:告示要件に該当している(第一種電気主任技術者は3年、二種は4年、三種は5年の実務従事経験)
③:告示する機械器具を有していること
④:保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること。
⑤:保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼす恐れがないこと。
⑥:53条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から2年を経過しないものでないこと。
出典:「電気管理技術者の要件」の紹介|公益社団法人 東京電気管理技術者協会
電気管理技術者として独立するには実務経験として、第一種電気主任技術者は3年、二種は4年、三種は5年以上従事しないといけません。
③の「告示する機械器具」については電流計や電圧計、絶縁抵抗計などが挙げられます。

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④の「保安管理業務を実施する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法」については、東京電気管理技術者協会の「換算係数」を参考にしていただくと分かりやすいです。
実務経歴証明書等の必要書類を作成する

電気管理技術者として外部委託承認を受けるには、必要書類を作成して、所属を希望する電気管理技術者協会に提出します。
その中で特に重要になるのが、実務経歴証明書の作成です。
実務経歴証明書とは「受変電設備の維持・運用・管理に関わった業務を記載する証明書」のことで、自分の実績を証明するための大切な書類です。実務経歴証明書は自分で作成しなければならない書類であり、勤務先からの証明を貰わないといけません。
実務経歴証明書に記載する内容は、主に次の通りです。
- 実務経験として500V以上の電気工作物の工事、維持、運用業務及びこれらの業務を監督した業務内容の記載(電気主任技術者の下でも可能)
- 勤務先の証明(代表印)
- ビルメンテナンス会社など委託管理契約に基づいた実務経験の場合は、契約会社(設置者)の証明(代表印)、もしくは実務経歴期間内全ての契約書、覚書、仕様書等の添付(写し可)
詳しい記入例、その他の必要書類については、所属したい地域の電気管理技術者協会のページからご確認ください。

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電気管理技術者協会について
電気管理技術者協会とは、自家用電気工作物の保安管理業務を委託された電気管理技術者(個人事業主)が集まる団体です。保安管理技術の向上、法令遵守、電気事故防止への貢献を目的としています。
電気管理技術者として働くなら、管轄の協会に所属してから仕事を受けることで、安定した収入につなげることができます。
全国の「電気管理技術者協会」一覧については、次の表にまとめたので参考にしてください。
| 各協会 | 支部 |
| 一般社団法人 北海道電気管理技術者協会 | 札幌、旭川、北見、帯広、釧路、苫小牧、室蘭、小樽、函館 |
| 一般社団法人 東北電気管理技術者協会 | 青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、新潟 |
| 公益社団法人 東京電気管理技術者協会 | 協会本部(麹町)、東京東南支部/東京西北支部(神田)、多摩、山梨、神奈川、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城、静岡 |
| 一般社団法人 中部電気管理技術者協会 | 名古屋南、名古屋北、愛知尾張、愛知三河、岐阜西濃、岐阜東濃、三重、静岡、長野 |
| 一般社団法人 北陸電気管理技術者協会 | 富山、石川、福井 |
| 一般社団法人 関西電気管理技術者協会 | 大阪北、大阪南、神戸、姫路、京都、滋賀、和歌山、奈良 |
| 一般社団法人 中国電気管理技術者協会 | 広島東、広島西、福山、岡山、倉敷、鳥取、島根、山口 |
| 一般社団法人 四国電気管理技術者協会 | 香川、愛媛、高知、徳島 |
| 一般社団法人 九州電気管理技術者協会 | 福岡、北九州、筑豊、大分、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島 |

まとめ
電気管理技術者は、電気設備の保守や管理を専門に担う存在であり、産業の安全を支える重要な役割を持っています。事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する実務で培った技術を生かし、事業者の代わりに設備を監督する点が特徴です。
外部委託制度の普及により、個人事業主として独立し、協会との連携を通じて活動の幅を広げる働き方も一般的になりました。電気と管理の専門性を軸に、多様な現場で価値を発揮できる職種として、今後も需要が続くと考えられます。




