どうして人は怒るんだろう
怒りという感情は2次的なもので、何かに対するストレスや不満がたまることで生じやすくなります。
コップと水でイメージしてみましょう。コップがあなたで水がストレスや不満とします。水を注ぐと少しずつコップの中にたまり、水はコップいっぱいになるとこぼれそうになりながら表面で保ちます。しかし、水を注ぎ続けると水はこぼれてしまいますよね。
このように、日常生活でストレスや不満が少しずつ積み重なっていき、限界まで積み重なったときに些細なことに反応して怒るという流れです。
アンガーマネジメントとは
「怒る」は人が持つ特有の感情であり、完全に止めることは難しいとされています。アンガーマネジメントは、「怒ることを止める」ではなく、「怒りを上手にコントロールすること」に注目した方法です。
アンガーマネジメントでは、まずカッとなる自分を抑える方法を探します。怒る感情のピークは、怒りたくなることから6秒と言われているため、はじめの6秒で自分の感情をコントロールする方法を身につけましょう。
イライラしたときに実践しよう「3つの対処法」
イライラとした感情が積もっていくことで、怒りが爆発します。イライラは怒りの一歩手前の状態なのです。これから紹介する3つの対処法はどれもすぐにできる方法。6秒以内にできますから、イライラしたときに試してみてください。
①自分に「落ち着こう」と唱えてみる
イライラしているときは心に余裕がなく、ついつい悪い方へと考えがちです。自分がイライラしているなと感じたときは、「大丈夫」や「一旦落ち着こう」など自分に自己暗示をしてみましょう。もちろん、家族や友人など人に言ってもらっても大丈夫です。
「落ち着こう」と言葉にするだけでも、人は安心して心に余裕が少し生まれます。自分の心を落ち着かせるために、深呼吸をして身体をリラックスさせるのも効果的ですから、まずは心と身体の緊張状態をほぐしてあげましょう。
②その場を離れる
友人とケンカをしたり、物事がうまくいかったりしてイライラを感じたときは、いったん手を止める、その場を離れることもおすすめです。
ケンカをした友人の顔や、思い通りにいかないグッズなど、イライラしているときは見れば見るほどどんどん鬱憤が溜まりがちです。イライラの原因となるものから距離を置くことで、一気に気持ちを落ち着かせることができますよ。
別室へ行き、全く異なることへ意識を向けると気晴らしにもなりますので、より心を落ち着かせることができるのです。
③出来事や怒りを紙に書いて客観視してみる
3つ目の対処法は予防法です。
人は意外と些細なことで怒ってしまうので、実は「私って、一体何に怒っていたんだっけ?」と混乱することもしばしば。自分が何に怒ったのかを紙に書いて振り返ることで、怒りのパターンを知りましょう。客観視してみると、「このときこうすればよかったかな」など気づくことが出てきます。
たとえば、「Aさんと話すといつもケンカで怒っているな」など気づくことができたら、「しばらくAさんと話すのは控えよう」と行動を変えることができますし、イライラしたことに0点(イライラしていない)~10点(すごくイライラした)の点数をつけることで、「これくらいなら我慢できるかも」という限界を知り、怒りをコントロールしやすくなります。
例:
・大好きなお菓子を弟に取られた…7点(結構イライラした)
・急いでいるときに先生に呼び出された…4点(少しイラっとした)
・急な小テストがあった…2点(一瞬イラっとした)
このように点数化してみると客観視しやすくなり、自分が何にイライラしやすいのかを把握できます。
6秒で落ち着ける自分になろう
「怒り」は、普段からのストレスや不満が積み重なって、ある日突然爆発する感情です。そのため、怒ること自体は止めがたくコントロールしづらい感情と言えます。
しかし、逆を言えば「怒り」は最初の6秒を乗り越えることでコントロールができるものです。今回ご紹介したアンガーマネジメントで怒りをコントロールして、心穏やかに過ごしていきましょうね。
臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。
また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。
https://saikolodsm.com/