あがり症とは
大勢の前で話すと緊張し、その緊張から赤面や心拍数の上昇、発汗などの症状が見られる場合があります。あがり症は、過度な緊張によってこれらの症状が強まり、さらに人の目が怖くなったり、自分の気持ちを表現しづらくなったりするなど、悪循環が目立つ状態のことを言います。
とくに、思春期など周りの目線が気になる10代後半に、あがり症を自覚する人が多いようです。
あがり症の原因は

あがり症の代表的な症状である「人前での過度な緊張」は、1回の失敗体験や周りからの評価を気にする不安からくるものです。「また失敗したらどうしよう」といった不安が、さらにあがり症を悪化させる原因となります。
不安や苦手は意識すればするほど人前での緊張を強めてしまい、あがり症が悪化すると「人目が怖くて話せない」など、恐怖心へと変わっていきます。学生生活では挙手をして発言したり、人前で発表したりするなど、周りからの注目を浴びやすい時期でもあるため、人目にふれやすい環境もあがり症のきっかけになりやすいと考えられます。また、もともと不安が強くて心配性な人、完璧主義な人は、他人からの評価を気にしやすい一面があるため、あがり症になりやすい傾向があります。
あがり症を克服する2つの方法

あがり症の症状は誰にでも起こりうることですが、あがり症が悪化する原因の多くは過去の失敗体験にあります。あがり症の悪循環を断つためには小さな成功体験を重ねることが重要であるため、以下2つの具体的な行動であがり症を克服していきましょう。
①自分のイメージを捉え直してみよう
あがり症の人は自分自身に対し、「人前で話すと緊張で頭が真っ白になる」「周りから笑われているかもしれない」など、ネガティブなイメージを強く持っていることが多いようです。あがり症を克服するために、まずは自分のイメージをポジティブに捉え直してみましょう。
・人前で話すと頭が真っ白になる→注目を浴びる方が上手に話すことができる
・周りから笑われているかもしれない→周りは静かに見守ってくれているだろう など
ポジティブなイメージトレーニングをすることで、少しの安心感や自信を感じやすくなり、成功体験につながりやすくなります。人は、「緊張しないようにしよう」と意識するほど余計に緊張してしまうため、ポジティブなイメージへと捉え直すことで少し自己暗示の効果が期待できる可能性もあります。
②自分からあえて行動してみよう
また、自分からあえて行動することも有効です。とはいえ、ただ場数を踏めば克服できるわけではありませんので、事前にポジティブなイメージトレーニングを十分にしたり、実際に人前での発表練習をしてみたりするなど、少しずつ行動へうつしてみましょう。
たとえば、「クラスメートの前で発表すると緊張して怖い」場合、いきなりクラスメート全員の前で発表するのではなく、まずは友人数名の前で発表の練習をしてみるでも十分有効です。無理なく、自分がチャレンジしやすいことから練習してみましょう。

自分のペースで行動すればあがり症は克服できる
あがり症は誰でも体験する可能性がありますが、自分のペースで向き合うことで克服は可能です。人前での緊張や発表時の赤面などは完全になくすことができませんが、誰にでも起こりうることです。ですから、今回ご紹介した対処方法で、なんとか乗り越えられる状態を目指しましょう。
臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。
また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。
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