テスト前の徹夜勉強は非効率!
第二言語を十分に理解するためには、少なくとも3.500以上の単語を覚える必要があるといわれています(※1)が、これだけ多くの単語を暗記するには、勉強を効率的にする工夫が必要です。しかし、多くの学生が効率の悪い方法で勉強をしており、途中で挫折したり、多くの時間を無駄にしたりしているようです。
具体的に、効率の良い単語の学習方法とはどのようなものなのでしょうか。

それは、勉強をする時間は同じでも、勉強の期間を伸ばすことで勉強した内容が記憶に定着させることです。その根拠となるカリフォルニア大学で行われた実験を紹介します。学生を対象にしたこの実験では、学生は2つのグループに分かれて単語帳を暗記しました。ひとつのグループは1日で全ての単語を暗記し、もうひとつのグループは4日間のあいだに少しずつ単語を暗記。2つのグループとも同じ時間、同じ数の単語を勉強しましたが、結果としてより多くの単語を暗記できたのは後者のグループでした(※2)。
テストの前日に徹夜をして、いっきに英単語を暗記する方も多くいますが、実際にテスト直前に単語を詰め込んでも、当日には暗記した内容を思い出せなくなってしまうことも少なくはないはず。それもそのはず、実はその勉強方法が非効率なものだからです。効率よく、確実に身につけるには、勉強時間の間隔をあけて少しずつ覚えていきましょう。たとえば、英単語の勉強を1日で5時間するよりも、5日間にわけて1時間ずつ勉強すれば、勉強にかけた時間は同じですが、より多くの英単語を覚えることができるのです。

もっとも効率の良い勉強方法とは
勉強期間を伸ばすことのメリットはそれだけではありません。ワシントン大学で行われた実験では、勉強の期間を伸ばすことで、勉強した内容がより長期的に記憶に定着するということがわかっています。この実験は、ワシントン大学の学生たちが文章を読んだあと、内容をどれだけ覚えているかを試すテストを受けさせたもの。学生は2つのグループに分かれ、最初のグループは一回、次のグループは数分の休憩をはさみながら、数回に分けてテストを受けました。それからさらに1週間後に、両方のグループにもう一度テストを行った結果、後者のグループのほうがテストの結果が良かったことがわかりました(※3)。
この実験でわかったことは、同じ時間をかけて勉強しても、一度に全てを覚えようとする勉強方法に比べて、少しずつ、何日かに分けて勉強したほうがより多くの内容を覚えられるうえに、覚えた内容をより長い期間にわたって記憶できるということです。この勉強方法は、数学や歴史など、他の科目にも有効です。また、1日で何時間も勉強をしようとすると集中力が切れてしまい、勉強を習慣化することが難しくなります。反対に、1日に勉強する時間を少なめにすれば、勉強に取り掛かる際の精神的なハードルも低くなるので、継続して勉強を続けやすいというメリットもあります。
ノーベル賞作家イチオシの勉強法!
1954年にノーベル賞を受賞した20世紀を代表する作家のヘミングウェイは、仕事や勉強について「常にいいところで作業を終わりにしなさい」と言っています(※4)。その理由は、“いいところ”で作業を中断することによって、次の日はいいところから作業を始められるので、作業を効率よく、そして快適に始めることができるからだそうです。英単語を覚えるときも、全ての単語を一回で覚えきろうとするのではなく、1週間で少しずつ覚えたり、数十分の暗記時間を他の勉強の合間につくったりしたほうが、より多くの単語を覚えることができることでしょう。

まとめ
勉強は、例えるなら短距離走というよりもマラソンです。最初から全速力で走り抜けようとしても結局は体力がなくなり、他のランナーに追い抜かれてしまいます。何千、何万とある英単語のみならず、マラソン選手のように、自分の限界を見極めながらコツコツとゴールを目指して勉強していきましょう。
参考サイト
※1 Cristina Abrudan. "Vocabulary and language teaching."
https://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.971.4231&rep=rep1&type=pdf
※2 Nate Kornell ,”Optimising Learning Using Flashcards: Spacing Is More Effective Than Cramming”
https://web.williams.edu/Psychology/Faculty/Kornell/Publications/Kornell.2009b.pdf
※3 Jeffery D. Kapricke and Henry L. Roediger III, “Is expanding retrieval a superior method for learning text materials?”
https://link.springer.com/content/pdf/10.3758/MC.38.1.116.pdf
※4 Larry W. Phillip. “Hemingway on Writing”
https://www.amazon.com/gp/product/0684854295/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=dariusforoux-20&camp=1789&creative=9325&linkCode=as2&creativeASIN=0684854295&linkId=135f4acfe6a7fe97edc363dbadde141e
プロフィール
柴次郎
知識ゼロの状態で1年半受験勉強をし、偏差値42の高校から、偏差値72の大学へ入学。時間効率を最大限にあげる勉強法で、TOEIC900点、英検準1級を習得。少ない時間で最も効率よく勉強する方法を教えています。
知識ゼロの状態で1年半受験勉強をし、偏差値42の高校から、偏差値72の大学へ入学。
時間効率を最大限にあげる勉強法で、TOEIC900点、英検準1級を習得。少ない時間で最も効率よく勉強する方法を教えています。