2冊目 舟を編む
そして、13年後。「大渡海」はようやく本格的な編纂作業に入ることができ、さまざまなトラブルや別れを乗り越え、ようやく刊行にこぎつけることができました。しかし、「辞書の編纂に終わりは」ありません。刊行記念パーティーで「改訂作業」へと気持ちを新たにして物語の幕が降ります。
タイトルにある「舟」とは辞書のこと。本の中では、「大渡海」の名前の由来がこんな風に語られています。
「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」
「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮びあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」
私たちは、日々の生活の中で、何かを学ぶ中で、仕事の中で、「言葉の大海原」を渡っていかなければならない存在です。そのとき、ほんの少しだけでも「より良く」思いを伝えたい――。この本の登場人物の人生に触れると、自然とそんな気持ちになるでしょう。そこから生まれる新たな出会いや可能性は、これからのあなたの人生を広げていってくれるはずです。
プロフィール
水無月游(みなづき・ゆう)
人文系の大学を卒業、大学院修士課程を修了後、教育関連の出版社に編集者として勤務。副業でライター業をときどき。主な関心分野は教育、福祉、政治など。読書は雑食、本棚が容量オーバーで本がいつも床に積まれています。
文学系の大学学部を卒業、社会学系の大学院修士課程を修了後、教育関連の専門書出版社に編集者として勤務。
副業でライター業をときどき。主な関心分野は教育、福祉、政治など。読書は雑食、本棚が容量オーバーで本がいつも床に積まれています。