不眠症と4つの症状
単なる寝つきの悪さだけを不眠症だと捉える人も多くいますが、不眠症は4つの症状に分けられます。
・入眠の特徴…寝つきが悪い
・睡眠の持続の特徴…眠りの浅さや、夜中に何度も目が覚める
・起床の特徴…予定よりも早くに目が覚めて困る
・睡眠の質の特徴…眠ったはずなのに熟睡感がない
「明日、大事な発表会がある」「部活動の試合だ」など、何かがある前夜は誰でも寝付きにくい症状を体験することがありますが、不眠症の場合は1ヶ月以上症状が続き、集中力や意欲の低下、体のだるさ、めまいなど身体にも変化を感じることがほとんどです。

睡眠のメリット
睡眠不足はライフスタイルの質を下げるというデメリットがありますが、十分な睡眠を確保することができれば次のような4つのメリットが得られます。
■①疲労回復
十分な睡眠をとることで身体の疲れを取り除くことができます。また、睡眠中は身体機能をオフモードにする副交感神経が優位になるため、身体的な疲労だけでなく脳の疲労も回復。
心身を休めて体力がつくことで免疫力も増し、風邪などにも強い体になれるのです。
■②記憶力の向上

睡眠は記憶力とも関係が強く、眠っている間に人の記憶は整理されます。一夜漬けは短期的な記憶が可能ですが、長期的な記憶にはつながらず、数日で忘れてしまうのもそのためです。効率的な学習のためには睡眠時間もしっかり確保して長期的な記憶力を手に入れましょう。
■③体の成長を促す
実は睡眠中は成長ホルモンの分泌が活発になるため、身体の成長を促すメリットも。成長ホルモンは疲労回復のほか、筋肉や骨の強化、身体の代謝を整えるなどの役割があり、健康な身体づくりに適しています。また、肌のターンオーバーを促し、細胞の修復も行われるため、思春期の肌トラブルにも効果的です。
■④気持ちが安定する
睡眠は身体へだけでなく、イライラやストレス、不安を低下させるなどの心へのメリットもあります。「ぐっすり眠れた」という熟睡感は安心につながり、日中の眠気を解消し、毎日落ち着いて過ごす基本です。不眠症になると「寝つけない」「目が覚める」などそれだけでも大きなストレスを感じてしまうため、十分な睡眠は気持ちの安定のためにも大切と言えるでしょう。

質の良い睡眠をとる3つの方法
「夜だから何となく寝る」という人も多いはず。しかし実は、10代の睡眠推奨時間は8時間ほどで、1日の約3分の1の時間を占めるほど大事なもの、週末や休日の寝溜めは効果がほとんどありませんから、睡眠の質を上げるために日頃から睡眠環境を整えていきませんか。
■睡眠リズムを決める

不眠傾向にある人は睡眠リズムがバラバラなケースが多い傾向にあります。「0時には寝よう」など、自分で睡眠リズムを決め直すだけでも睡眠の質を上げられます。平日と休日で起床時間を大きくずらすと体内時計が狂ってしまうため、起床時間も決めておくことをおすすめします。
■寝る前のブルーライトをカット!
スマホやPC、ゲームなどからはブルーライトという青白い光が出ており、これを浴びると脳は日中と錯覚するため、寝つけない状態が発生します。睡眠の質や入眠効率を上げたい場合は、寝る1時間前には画面を見ないようにしてブルーライトを避けてみましょう。布団に入っても眠れない場合は、スマートフォンの代わりに一旦起き上がって眠くなるまで読書などでまったり過ごしてみてください。「寝つけない!」という焦りを取り除くことが大切ですよ。
■日中は適度に動く

「全く眠れない」という人の中には運動不足気味の人も少なくありません。人間はエネルギーを消費しないと寝つきが悪くなります。外出や屋内での体操など、日中適度に身体を動かすことでエネルギーを消費し、睡眠の質を上げることができるでしょう。
十分な睡眠をとって心身ともにスッキリ過ごそう
眠れば調子が完全に良くなるというわけではなく、心身をしっかり回復させるには睡眠環境を整え、質の良い睡眠をとることが大切です。毎日気持ちよく過ごすためにも、日頃から良い睡眠をとってくださいね。
臨床心理士・公認心理師。国立大学院修了後、精神科クリニックや学校現場にてカウンセラーとして従事。専門領域は臨床心理学、心理アセスメント。
また、心理系大学院を目指す人のために『サイコロブログ』にて情報発信中。
https://saikolodsm.com/