やる気が起きない…「9月病」の原因
9月病の原因は2つ、考えられます。
1つ目は夏の生活習慣から身体や心が抜け出せず、生活リズムが崩れて疲れていること。たとえば、冷房の効いた部屋で1日中過ごすと、その時は快適でも実際は多くの体力を使っています。また、冷たい飲み物や食べ物の大量摂取、薄着で過ごす、長期休暇や日照時間が長いことによる夜更かしは、心身の不調の原因になりやすいのです。
2つ目は気候の急激な変化です。秋は朝晩涼しく、日中は夏並みに暑い日もありますよね。台風も頻繁に発生します。このような1日の変化や、夏から秋にかけた気候の変化に身体は無意識に対応しようとして、身体が追いつかず疲れてしまい不調が起きることもあるのです。

9月病の代表的な症状とは
過ごしやすい気候ではあるものの、夏の疲れが残っていることで心身に影響が出てきます。ここでは代表的な症状である「精神症状」と「身体症状」を解説するので、当てはまるかチェックしてみましょう。
精神症状
• やる気が出ない
• 不安が強い
• 疲れがとれない
• よく落ち込む
• イライラする
• なんか焦っている
身体症状
• 眠れないなどの睡眠トラブルがある
• 頭が痛い
• 動悸やめまいがする
• 食欲がない
• 肩こりなど身体のどこかが凝っている
これらはあくまでも代表的な症状ですが、このような不調が続いて生活に支障で出た場合は「9月病」をうたがってみましょう。

秋の不調を解決するには
■対策①適度に運動しよう!
9月病対策には適度な運動がおすすめです。毎朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びることからはじめてみましょう。それから5~15分程度の散歩もおすすめです。
日光を浴びて、身体を動かすことはセロトニンという神経伝達物質が分泌されます。セロトニンとは幸せホルモンと呼ばれるもので、増えることで精神が安定して前向きな気持ちが湧いてきますよ。準備や時間的に散歩できない人は、窓を開けて風と日光を感じながらストレッチやヨガに取り組んでみましょう。

■対策②食事を大事にしよう!
理想は栄養バランスの摂れる食事。特にトリプトファンの多い食材を意識してほしいところですが、食欲がない人は消化によいものから食べ始めて欠食を防ぎましょう。実はトリプトファンにはセロトニンを増やす効果が期待されています。ヨーグルトや牛乳などの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品、白米、卵、バナナ、肉や魚にもトリプトファンは多く含まれています。
ただし、同じトリプトファンが含まれる食材でも大豆製品などの「植物性タンパク質」から食べ始めてください。肉や魚、乳製品などの「動物性タンパク質」はトリプトファンを体内に取り込みにくいため、もし先に摂取するなら白米などの穀類やイモ類と一緒に食べると体内に吸収しやすいです。
東洋医学の観点からも、穀類やイモ類、豆は「気(私たちのエネルギー)」を補うので、9月病対策には特に大切な食材といわれています。

生活習慣を見直し、秋は心身の回復に努めませんか?
対策を解説しましたが、何よりも「無理をしない」ことが9月病には重要です。仕事や学校、家事などで、がんばらないようにするのは難しいかもしれませんが、がんばりすぎることで心身の不調をきたす可能性が高まります。「ここまでやったら休憩」「がんばったからデザートを買おう」「今日はゆっくりしよう」。このような気持ちが9月病対策のマインド面として重要です。少しずつ生活習慣を立て直しつつ、自分に厳しくしすぎないことで気力を取り戻しましょう。
プロフィール
いけやさき
臨床心理士・公認心理師。大学院修了後、病院やクリニック、療育現場などでカウンセラーとして勤務。3年前からオンラインにて、主に20〜40代女性の自己理解・仕事・恋愛などに関するカウンセリングを行いながら、webライターとしても活動中。Instagramのアカウントはこちら
WattMagazine編集部 編集長