Q1:仕事選びにおける「専門分野」の重要性は?
専門分野を持つと収入が増えるのでしょうか? また、それらと幸福度に関連性はありますか?
[ 回答 ]
これは一概には言えないですね、専門分野と収入との関係は自分が置かれた環境で決まるので。自分が持っているのが、組織には必要とされていない分野であることもありますからね。
専門分野が活かせるところにいた場合、収入は上がりやすくなると思いますよ。複数の専門分野を持って組み合わせが増えれば、さらに可能性は広がるとは思います。幸福度はどうですかね。幸福度との相関を示すデータはいまのところないですが、自分が必要とされるぶんだけ上がるのかもしれないです。
ただ、本人が全く専門じゃないと思っていることでもある組織の中では専門になったりするので、専門分野というのは相対的なものですよね。専門分野を持つことを考えるのなら、その組織の中で活かせるのはどのようなものか考えるほうが有利かもしれないですね。
Q2:自分に似た人が多い職場では活躍できない?
『科学的な適職』1章では自分の「強み」をもとに仕事を選ぶことを否定した上で、「自分と同じ『強み』を持った同僚が少ない場合には、仕事の満足度が上がる」としています。
一方2章では仕事における「仲間」の重要性を説いた上で、「自分に似ている人が多い職場を選ぶと良い仲間ができやすい」とありました。
自分に似ている人が多い職場では強みも似てしまい、希少価値が下がって活躍できないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?(例:外交的でコミュニケーション能力の高い人が多い職場では、「人見知りしない」「トークが上手い」などの強みが被ってしまう)
[ 回答 ]
繰り返しになりますが、「強み」も「専門分野」も相対的なもの。その職場の中で活かせる自分の能力はなにか考えたほうがいいと思います。
リカードの「比較優位」という概念があります。組織のなかで相対的に優位なポイントを見つけて、そこに特化した方が活躍できるということです。
例えば、ある企業に勤めるAさんは、企画と営業のどちらの面でもBさんより能力が上だったとしましょう。一方でBさんは、Aさんには劣るものの、企画よりは営業の方が得意だったとします。
しかし、いかにAさんが万能だからと言っても、ひとりの人間ができることには限界があるので、企画と営業をすべて行うのは得策ではありません。このときBさんは「営業について相対的に優位だ」と考えられるため、企画はAさんに任せてBさんは営業に特化した方が活躍できるでしょう。これが「比較優位」の考え方です。
(bizSPA!フレッシュ「「儲かる人の特徴とは?」moto×鈴木祐が語る、自分の強みの見極め方」より)
自分の手持ちカードよりすごいものを持っている人はいくらでもいるけど、必ずしもその人たちがそのカードを使っている(使える状況にある)とはかぎらない。であれば、自分がそのカードを使ってその人たちを補助すればいいということです。
この世に「自分だけしかできないこと」はまずありません。「きみしかいない」みたいな人はいない。どんな人でも替えが効く。それでも「なぜか必要な人」になるのが重要でしょうね。
そこで重要なのが比較優位の考え方と、最終的には”人柄”ということになるんじゃないかと。
とにかく、能力の希少性を求めて行動すると死ぬと思ったほうが良いですね。希少性は集団内の能力バランスに左右されるので。
Q3:将来的なキャリアの市場価値を高めるには?
キャリア構築においては「市場価値」が重視されますが、市場価値を高め、将来的に必要とされ続けるキャリアを築くにはどうしたらいいのでしょうか?
[ 回答 ]
まず、「市場価値」だけを見ているとどこかでどん詰まると思います。先が読めないから。今「市場価値が高い」とされている能力だって、いつ風化するかもわからないですよね。これだけ変化の多い時代で、語学にしろプラグラミングにしろ、それが先々まで「市場価値が高い」かどうかは誰にもわからない。
その上で、データで一貫して出ている「市場価値」が高い、必要とされ続ける人の特徴を挙げていくと、「誠実性」「IQ」「好奇心」「健康」「楽観性」を高く持っている人、といえますね。
「IQ」と「健康」は解説するまでもないですね。「誠実性」はまじめさ、コツコツやる力。「好奇心」は、いろいろ試行錯誤するのでヒットの可能性が上がるということ。「楽観性」はメンタルの安定に繋がります。
ちなみにIQは先天的なものが9割なので、後天的に高めるのはむずかしいです。むしろ元々の数値より下がってしまうことのほうが多いんですよ。睡眠の質が悪ければ下がるし、周りに高すぎる人がいるだけでも下がる。自分のレベルにあった環境に身を置くのは大事でしょうね。
元記事「市場価値を高めるための科学的なポイント|科学的な適職Q&A『強み・市場価値』編」は2020年5月14日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。
市場価値を高めるための科学的なポイント|科学的な適職Q&A「強み・市場価値」編 | BUSINESS LIFE
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