アレルギーとの違い
食物アレルギーと食物不耐症の症状には似たものが多いですが、この2つには明確な違いがあります。
■①食物アレルギー=過剰な免疫反応
アレルギーとは、過敏になった免疫反応によって引き起こされる病態を指します。もともと体には、抗原抗体反応という働きが備わっており、ある物質が体内に侵入したときに、なんらかの理由でそれを異物と認識し、処理します。この反応には体にとって有利な反応と不利な反応があり、有利な反応は免疫と呼ばれます。「体にとって望ましくない物質は受け入れない!」という体制が整っており、防御力を持っている状態です。
しかし時として、免疫反応が過剰に働き、体にとって不利な反応となることがあります。これがいわゆる「アレルギー」です。具体的な症状としては、次のようなものが挙げられます。
・皮膚症状(じんましん、皮膚のかゆみなど)
・消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など)
・呼吸器症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳など)
特定の食べ物に対するアレルギー反応は多くの人に出る症状ですが、重篤になることも多く、簡単に考えてはいけない疾患です。
■②食物不耐症=酵素不足による消化不良症
食物不耐症とは、消化不良症の一種です。食物を消化吸収するためには酵素が必要不可欠ですが、このとき特定の成分を消化吸収する酵素が不足してしまう人がいます。それによって消化不良に陥り、具合が悪くなるのです。
食物不耐症を自覚していない人は多くいるようです。それは、食物不耐症の症状はアレルギーほど重篤になることが少ないという特性が関係しています。そんな中でも最もよく耳にするのが「乳糖不耐症」です。健常者は、「乳糖」(=牛乳の成分の一部)が体内に入ったとき、ラクラーゼという酵素が分泌されます。
しかし乳糖不耐症の人の場合、このラクラーゼが分泌されにくいのです。そのため乳糖が消化不良になってしまい、「牛乳を飲むと具合が悪くなる」という状態につながります。腹部膨脹や下痢、ときには嘔吐などの症状が出ることも。「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」という人は、「乳糖不耐症」の可能性がかなり高いと言えます。そのほか、
・「クエン酸不耐症」(野菜、果物、食品添加物に広く含まれるクエン酸が消化できない)
・「卵白不耐症」(卵のうち、特に卵白に対する不耐症)
など、数多くの食物不耐症があります。
まとめ
食物不耐症の症状は、疲労感、頭痛、皮膚の乾燥、発汗など、多岐にわたります。「原因はわからないけど、なんだか調子の悪い日が続くなあ」という方は、専門医のところで診断を受けてみましょう。
元記事「「なんとなく調子悪い…」その原因、「食物不耐症」かも!」は2022年2月17日にBUSINESS LIFEに掲載されたものです。
「なんとなく調子悪い…」その原因、「食物不耐症」かも! アレルギーとどう違う? | ビジネスライフ(BUSINESS LIFE)
https://business-life.jp/food/744「はたらく人のコンディショニング事典」(著:岩崎一郎、松村和夏、渡部卓)より 原因不明の不調、「食物不耐症」のせいかも。 「わざわざ口に出すほどじゃないけど、なんとなく調子が悪い…。」 こんな日ってありますよね。常に最高のコンディションで仕事に臨みたいビジネスパーソンにとって、歓迎できることではありません。 こんな症状に身に覚えはありませんか? ・なんとなく頭が重い…。 ・特に何かしたわけではない